現代の夏祭りに行く倫欠若ウスとロ
タイムスリップしてきた若いドラウスが居座りだしてから三日目。満足したら帰ると言っていたがどうやらまだご満足いただけないらしい。さっきまでのセックスで無体を強いられていて、殴られた頬は痛むし叩かれたケツはひりひりと熱い。新横浜を案内すると言っても、こんな新幹線の駅しかないような街二日もあれば案内しきってしまった。部屋の中にいるとろくなことにならないだろうし、どこか連れださないと。
ロナルドはふと思い出す、そうだ、今日はお祭りがあったじゃないかと。幸い見回りからは外れてるし、連れて行ってもいいだろう。ドラウスは若いころでも誰彼かまわず襲うタイプではないし、最悪の場合は刺し違えてでも殺そう。
「なぁ、お祭りに行かないか?」
「祭りか、いいじゃないか。」
「OKドラウス様、首輪とリードしまって。つけてかねぇから。」
さて、なんとか交渉(肉体言語)の末首輪とリードを回避し、喧騒の中を二人で歩く。しゅるり、とドラウスの腕が腰に回った。
「すみません腰の手やめてもらっていいですかねぇ!?俺、退治人なんだよ吸血鬼に腰抱かれてたらおかしいだろ」
ドラウスはそんな言葉お構いなしにぐっと腰を抱き寄せる。そして耳を食むように囁いた。
「お前がどこか行ってしまわないか不安なんだよ」
その寂し気な表情に、ロナルドの心が揺れる。この人は狂おしいほどに俺を求めたのに、結局俺はこの人のものにはなれなかったのだ。ロナルドは、ドラウスの手を取ると、腰から外し、指を絡めた。いわゆる恋人つなぎ。
「し、知り合いにあったらすぐ外すからな」
「絶対離さん……」
「痛い痛い痛い痛い手が砕ける!!!!!!」
ぎちぎちと握りしめてくる手に爪を立てて抵抗しつつ、屋台の波を漂う。ロナルドがあれこれ説明するのを、ドラウスは嬉しそうに聞いていた。
どん、と大きな音。ロナルドはそれが花火の音だとわかって空を見上げたが、その視界はドラウスのマントに包まれた。
「なんだ!?砲撃か!?」
そうか、ドラウスにとって、この音は戦いの象徴なのか。そして、とっさに庇われたことに気づき、ロナルドは急に恥ずかしくなった。ドラウスのマントから抜け出すと、空を指さす。
「あれだよ、あれ、花火っていうんだ。綺麗だろ」
「ああ……そんなものがあるのか。……今は、平和な世の中なんだな……」
「ふふん、花火も知らねぇのかよドラウス様」
照れ隠しで憎まれ口を叩いたら、普通にみぞおちを殴られた。