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    三月です

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    三月です

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    絶対年末を一緒にガッちゃんと過ごしたい伊月が書きたかった

    ##がとうる

    年末は一緒に ピーキー・ピッグ・パレスが終了した数ヶ月後。ジョイキッチン人気のない店舗でのこと。牙頭と漆原はいつものように談笑していた。
    「そういえばガッちゃん、今年の年末はどうするんだ?」
     唐突に漆原は牙頭に問いかける。
    「ん?いや、特に決めてねえけど。今年も仕事してんじゃねえかな。繁忙期間中だし、俺が休むわけにはいかねえだろ」
     牙頭は小さくためいきをついた。仕事を嫌と思ったことはない。けれど忙しい時期は伊月と会う時間が減る。それは少し残念であると感じていた。
     そういうお前は、と牙頭は頭に浮かんだ感情を振り払い、伊月に問いかけた。
    「うん……僕は今年休むつもり」
    「お、そうか。毎年仕事ばっかしてたのに、よく休みとれたな」
    「ああ、上司に相談したら『働きすぎなんだから休みなさい』ってむしろ倍くらい休みを取らされそうになったよ」
     呆れたように漆原は笑う。
    「ねえ、ガッちゃん、今年の年末は一緒に過ごそう。できれば一週間くらい」
    「あ?」
     突然の提案に驚く牙頭に対して漆原は続けた。
    「この間の試合で実感したんだ。もっとガッちゃんと一緒に居たいって。でも僕たちももう社会人だし、忙しいし休みも合わせるのも難しい。それでも、たまには一緒にいられないかなって」
     そう思ったんだ……、と声を窄ませた漆原に「なるほど」と牙頭は頷き「伊月」と呼びかけた。
    「お前の提案は嬉しい。俺もお前と一緒に居たい。けどな、流石に繁忙期にそこまで長く休むことはできねえ。下の奴らに顔向けできねえからな」
     残念そうに言う牙頭に対して「そう言うと思ったよ」と首を縦に振った。
    「ガッちゃんはそういうところきっちりしてるからね。だから僕もそう言われることは織り込み済みさ」
     そうだよな、と漆原は側に立っていた従業員たちに話しかけた。
    「「牙頭さん」」
    「あ?なんだよ」
     突然口を挟んできた二人に対して牙頭は訝しげに声を上げた。
    「牙頭さんが年末休めるよう、既に本社の人間には話を通してあります」
    「……は?」
     突然何を言われたのか分からず、ぽかんと口を開ける牙頭に向けて、伊月はにやりと笑う。
    「という訳だ。年末は一緒にゆっくりしよう」
    「いやいやいや!何突然言ってんだよ!どういうことだよ!」
     混乱して頭を抱える牙頭に対して、漆原は従業員たちを指さしながら得意げに告げる。
    「少し前に彼らを通じて本社の人間に掛け合ってもらったのさ。働きすぎの社長にたまの休みをくれてやってくれないかってね。思った通り、みんなすんなり協力してくれたよ」
     へらへらと笑う漆原。それを無視して俺の知らないところで何勝手にやってやがる、と牙頭は従業員たちを睨んだ。
    「牙頭さん、毎年現場の俺たちよりも働いているじゃないですか。たまにはゆっくり休んでください」
    「本社の人たちも『漆原先生に言われたらしょうがない』って笑いながら言っていましたよ」
     牙頭の渾身の睨みに対して、彼らは平然とした様子でそう返した。
     はぁっ、と牙頭は大きくため息をついた。これはもう、自分の敗北を認めなくてはならない、そう思った。
    「伊月、俺の負けだよ」
    「……!じゃあガッちゃん!」
    「ああ、年末は二人でのんびりするぞ」
     ついでに社員には特別賞与だ。笑顔で言い放った牙頭に、伊月と従業員たちも続けて笑った。
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