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    yakinasupoipoi

    創作のヴィー(男→女←男)を書いたり描いたり

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    通称兄の珍しい自分語り

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    #オリジナル
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    空気を纏う 教育係だった男から聞いた話だ。物心がつき、部屋の中を自由に歩き回るようになった頃から、母の遺品の香油の小瓶に興味を示したらしい。他にも似たような玩具や瓶はあったが、香油瓶を特に眺めていたそうだ。
     香油瓶の中を確かめることを許可されたのは12の時だ。覚えている限りでは、小瓶は三十本程はあった。一日に一本ずつ香りを確かめ、自分にだけ香りが分かるように付けた。
     一日の中で不意に香りが鼻に届くと、よく分からない気持ちになった。快いか不快かも分からなかったが、それでも香油を付けることは止めなかった。
     14になると、世継ぎの為に女が当てがわれるようになった。媚薬のような物も幾度となく飲まされ、ベッドに上がってくる女達は皆むせ返るような香油をつけてくる。今思えば、魔除けのつもりだったのだろう。夜になり、女が来る前には必ず香油を付け足した。
     血生臭い場所へ赴く時も、香油は欠かさなかった。二瓶を懐へ入れ、人目のつかない所で小瓶を開けて香りを嗅ぐことがあった。

     彼女──エレンナと出会い、それから城へ戻り、俺は、身につけている物以外の所有権利を放棄した。自室の棚に仕舞っていた香油も、懐に入れていた二瓶も、欲しがる者に渡した。
     香油を手放した理由か、必要がなくなったのだろうな。だが、彼女と旅をする中で、いつの間にか香油を買うようになった。彼女の故郷へ辿り着く頃には、大小含めて十数本は持っていた。嵩張る物をよくも割らずに持ち歩いたものだ。
     三人で旅立つ時、それまでに買い揃えた香油瓶は彼女の部屋へ置いて行った。そしてまた旅先で買い集め、持ち帰ってきた。そして、今に至るという訳だ。数か。四、五十個程だろうかな。
     趣味でもあり、嗜みでもあるな。好きな香りか、エレンナの匂いだ。体臭だけではない、彼女が纏う空気を吸い込むのが落ち着く。……香油の話か。特に好みの物はない、強いて言うなら買った物全てが気に入って買った物だ。
     弟の匂いか。………………例えるなら、大型の犬だな。
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