蚕食した愛への形骸化 ここではないどこか遠い──もう二度と行くことの出来ない地で暮らしていた感覚が抜けきれないまま、時間が過ぎていく。
夢から覚めた後は兎劉と暮らすようになっていた。
あれからもう7日は経つらしいが、白亜──否、“夢から覚めた”亜瑠はまだ3日ほどの時間しか感じられていなかった。あれから一睡も出来ていなかったからだ。眠らないと一日が終わった気がしないのだが、どんなに横になって目を閉じていても眠気すら来ない。そんな感じでぼんやり一日を過ごしていると、気がついたらあっという間に朝から夜になり、また朝を迎えているのだ。
もしかしたら自分は、あれで一生分眠ってしまったのかもしれない。
最初は夢であったことが受け入れられず、一日中兎劉に質問攻めをした。
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