場所妄想:寝室0.5 *月光(ジェイバビ)ロードストにギザルムがきてから二日目の夜。
同じベッドで眠りにつくバビロンとギザルムを未熟な月が白く照らす。
月光に炙られるようにギザルムの輪郭が歪み、ブレ、ズレていく。
ズレは大きくなって行き、やがて淡い月明かりで顕現化したかのようなもう一人のギザルムーー否、隣で穏やかに眠るバビロンを見つめる優しくも闇を含んだその眼差しはジェイドのものだった。
バビロンはジェイドの気配を察知できないのか、変わらず夢の中にいた。
一瞬何かを考え込むように眉間に皺を寄せたが、隠すように照れたような微笑みを浮かべる。
ーーどんな夢を見ているのだろう
ジェイドが疑問に思えば、そこはすでに眠るバビロンの夢の中。
答えを求めるジェイドの欲望は、理性が思考する間を与えず最短で行動する。
バビロンの夢の中では、過去の記憶を再生するように、サタナエルと闘うギザルムの姿があった。
ーーバビロン、さっきの微笑みは……アイツへのものか?
チリリっと無いはずの心臓が小さく鳴いて火花が散るように痛みが弾ける。
ーーキミは、ヤツに惚れたのか?
チリチリと実体のない体が炙られる。こんな感情は今まで知らなかった。
あの男ーーギザルムではなくせっせとグリモ人形を作るバビロンに怒りに似た感情を向けていることに気づく。
ーー大切な仲間なのに…アイツに言われるがままキミが素直に作っているその人形すら……憎い……憎しみで復活できるのなら、その時俺は……キミをどうするだろう?
ーー壊したい……キミのその淡い憧憬も未熟な信頼もーーキミが彼に向ける全て……バビロン、キミは全部俺のーー
グリモ人形を作るバビロンの項に口付け強く吸い上げる。
夢の中にも関わらず、あまりに現実的な刺激に思わず声をあげたバビロンが振り向く。
「ジェ、イド……?」
まさか、と目を見開くバビロン。
夢の中のギザルムもグリモ人形も瞬時にかき消える。
見開いた鮮やかな黄緑の瞳が涙で揺らぎチカチカと光る様に、業火で焼かれたかのような心臓は温かな鼓動を思い出す。
「ジェイド……」
はらりと一筋の涙を流す彼が愛おしく、細い体を抱きしめる。
ーー目覚めれば、キミはまた忘れるだろう。
ーーそれでもいい。
紅く咲いたうなじの小さな斑に満足する。
ーー僕はまたキミの隣に戻って来る……その日までソレは消えずに残るだろう。
ーーー今度は後悔しないよう、キミの全てを手に入れるため。
深く深く情念に染まった笑みは、抱きしめられているバビロンからは見えなかった。
了
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月光は死者と生者の境を曖昧に変え、禁断の交わりを可能にする。
ってこれ書いた時188話未読だったんですが、188話読んでしまうと、バビロンさんのギザルムへの甘えっぷり?なんか男の子っぽさ?が限界突破してて、これ、スタンピード終わるのを待たずに、二人にメラッと嫉妬したジェイドがギザとバビの出会って何日目かの夜寝てる時に夢枕すでに立ってるヤツだ、と確信しました。
下手したらジェイドに見せてない顔見せてそうで、ギリィィィィってなりそう。
それはそうと、Blu-ray2巻おまけコミックゲットした!ジェイドの凄さとギザルムこの野郎ってのが改めて来るから、感情処理が難しくなりました。
ジェイドがキレた顔がいい。優しさ可愛さだけじゃないジェイド。
バビロンに欲情した時はキレ顔と≒になりそうで、バビロンはギャップで止まるんじゃないかと心配です。