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    すいまやmiina

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    すいまやmiina

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    テスト投稿。pixivの形式でアップできると見たので。ギザバビでほんのりギタバビでジェイバビ。

    #ギザバビ
    #ジェイバビ
    #ギタバビ

    背中の傷「行くぞ」
    自室で軟体化する部位を細かに調整しているバビロンを見下ろしギザルムが命じる。
    「はいはい」
    目の前に突然現れる存在に驚かなくなったことも、"何処に"と尋ねなくても分かってしまうことも、ロードストに還る前からバビロンにとって当たり前になっていた。
    ゆっくりと歩みを進めるギザルムの背を追いながら、すでに準備しているギザルムが好むフワフワのタオルと寝巻きを二人分手に取る。なお、七狼温泉のお客様用タオルは一度使って二度と使いたくないと却下された(薄さではなくロゴが嫌だったのかもしれない)。
    風呂上がりの水もデキャンタに充分あることを確認して小走りで駆け寄る。
    すぐ後ろに追いついても何も言わないのはいつもの事で、バビロンにとって無言の空気も慣れっこだったが、ギザルムの思考が内に篭っているような違和感に何かあったかな?とバビロンも思考を巡らせる。

    ーーギザルムが警戒するような事は特別起きていないと思うが…コイツの言っていた"目的"で何かあったのだろうか?

    黙々と歩く二人はすぐに男湯の暖簾の前にたどり着く。
    ガラガラと趣ある音を立てながら引き戸を開けば、硫黄の香りが一気に鼻腔に広がった。

    ーーま、何かあれば言ってくるだろう。

    さっさと温泉リラックスモードに切り替え棚へと向かうバビロンの背後では、棚の籠が全て空の事を確認したギザルムが入り口に結界を張る。
    実は初日にロイド第七に侵入されてから温泉は他人も入ってくる場であると学び、結界を一極ほど重ねる術式を半日で練り実現していた。
    薄くてバリカタ、かつ、ようやく一枚破ったと思っても、その壁が10の48乗程待ち受ける一極の結界。一発で破れるロイド以外に、無限とも思える壁をわざわざ破って入ってくる奴はいないだろう。

    ーー第七も二日連続で態々現れまい。

    「おい下僕……その傷はなんだ」
    すでに上半身裸になったバビロンの背中を見つめ、初日に訊けなかった言葉を発する。
    "答えろ"と発動しかけた呪言はすんでのところで止めた。

    ーー胸糞が悪い……神聖魔術の気配が色濃く残るソレ

    「あーコレは……前に…闘いで…ちょっとな」
    「………随分と問答無用にヤられたみたいだな」
    超軟体と言っても限界があるだろう。運と実力が無ければ死ーーその際際を狙ったイヤラシさ。
    「治さないのか」
    「ロイド様が傷までは消せなかったと言っていた…別に私は背中の傷の一つや二つ気にしないしな」
    一つや二つといったところではないだろう…というツッコミは、こめかみに浮かべた血管に留め、ギザルムも服を脱ぎ始める。
    「後で俺にもヤラセろ」
    「…………ナニヲデスカ?」
    「治癒魔術が無理でも魔力で直接消せるかもしれん」
    「……ロイド様でも無理だったんだぞ?」
    「…………ニオイだけでも消し去る」
    「匂い?」
    え?臭い?と焦るバビロンを置いて、ギザルムは慣れた手つきでタオルを巻くとさっさと浴場へ入って行く。

    ーーあの傷をつけた奴はまだ生きている。傷だけではない。その上から下僕が気づかない程の僅かな神聖魔術を織り交ぜた魔力のマーキング……なんのつもりだ? 昨日はあの第七糞餓鬼と一緒になったが……アレがマーキングに気づかないはずがない。それにも関わらず放置しているということは、あえて敵の出方を探っているのか、それともかつての敵で今は味方陣営の奴か……

    さっさと髪も体も洗い流したギザルムは、俯いて髪を洗うバビロンの背後に立つ。
    「…………ギザルム?」
    突然ポカポカと背中が優しい温もりに包まれる。
    「気にするな、洗ってろ」
    「いや、気になるって」
    閉じていた目をうっすらと開くと、鏡に背後にしゃがみ背中を睨みつけるギザルムが映っていた。
    「チッ…本当に厄介だな神聖魔術…」
    魔力が無効化される。流し込む側から自身の魔力が拒絶される。魔力量を増やしても何の手応えもなく無意味とすぐに理解する。

    ーー薄い膜…薄皮のような

    バビロンがピーラーを使って野菜の皮を剥いていたことを思い出す。魔力を極限まで薄い刃に変化させ密度を増やし干渉レベルを魔力の最小構成範囲まで落とし込めば…

    ーーそろそろシャンプー 流したいんだけどなぁ

    背後でブツブツとやけに真剣に呟きながら自分の背中に集中するギザルムのせいで、髪を洗い終わってもシャンプーを流すタイミングが掴めず、とりあえず気が済むまで付き合うかと目に垂れてくる泡を拭うバビロンだった。

    *********************
    結局自分が湯冷めしそうになったタイミングでギザルムを止め、温泉に浸かる。
    「気にしてないからこのままでいいのに」
    「俺が嫌だ」
    「よほど神聖魔術がイヤなんだな」
    「所有物に勝手にマーキングされたら嫌だろう」
    「マーキングって…ただの傷跡だが……」
    気付いていないバビロンにあえて教える必要はないので勘違いはそのままにしておく。
    結局傷は消えなかったが、上塗りされていた神聖魔術とその魔力は先ほど思いついた魔力の薄い刃で全て刮ぎ落としたのでよしとした。
    「傷跡は魔力で無理なら次は術式で治癒魔術か……なんだ?下僕ニヤニヤして」
    「いや 別に……ただ楽しそうだなと…」
    「楽しそう……?」
    眉間に皺を寄せて思考を巡らせている自分のどこが楽しそうに見えるのか。
    「今のアンタの方が前よりずっとカッコいいと思う」
    「……………のぼせたのか?」
    ホワホワと頬を上気させ微笑むバビロンに、ジェイドの心臓の鼓動が早くなっていく。
    「いやスタンピードの時から思ってた……そういえば、あの時アンタが止めてくれなければ、私は正気を失って終わっていたかもしれないんだな 改めて礼を言うよ ありがとうギザルム」
    「………………………っ」
    「どうした? 心臓押さえて 痛むのか?」
    「違う 大丈夫だ 問題ない」
    そう、問題ない。心臓がドクドクと脈打つのも今すぐこの腕で抱きしめそうになるのも、自分ではなくジェイドの肉体の持つ記憶のせいだろう。
    「のぼせた」
    「え?お前が …大丈夫か?」
    「いい、一人で大丈夫だ。お前はもう少し浸かってろ」
    心配する視線から逃れるように、浴場を後にする。
    「………………可愛い」
    手で口を覆ったにも関わらずそれは声になって出てしまった。
    魔族の“可愛い“は“可哀相“や“児戯“と同義のようなものだったが、この心臓がキュゥと縮こまるような感情は人間の言う“愛しさ“というものだろうか。
    「何で魔族の俺が人間なんかに……」
    言葉にしてはみるものの、それほど嫌な気持ちではなかった。
    「………成程。可愛いし愛しい…か」
    魔族は純粋である。
    自分の感情を偽ったり蓋をしたりはしない。
    理解し認めてしまえばそれでいい。
    「フッ……下僕にしておいて良かったな」
    背中の傷のことは気になるが、それはそれとしてさっさと心身ともに自分のものにしてしまえばいい。

    *********************
    翌日には基礎の治癒魔術、さらに応用して魔力や気を練り込んだ術式も試したが、バビロンの背に刻まれた十字の傷は薄くなることすらなかった。
    神が許した傷は絶対の証とでも言うかのようなソレ。
    まだ見ず知らずの奴が付けた傷であること、バビロンに付けられたマーキングも消し去ったことで、ギザルムは冷静に傷を消す手段を考えることに集中できていた。

    傷を付けた男ーーギタンがロードストに帰還するまでは……

    ーーコイツか!

    何処ほっつき歩いてたんだよと和やかに盛り上るロードストの面々の後ろで、射殺すような視線をギタンに向けたギザルムが自身の腕に浮かびかけた口を塞ぐ。
    中途半端に封じられた呪言が体の中で暴れる激情に任せ、瞬間転移でその場を去った。
    無闇に飛んだからか、心中とは裏腹な美しい花畑に着き、苛立ちのまま餓狼を放つ。
    無惨にも地面ごと抉られた花畑は地平線に一直線に散った。

    らしくない。
    あのまま呪言で殺してしまえばよかった。かつての自分ならそうしていた。
    ただ、そんなことをすれば下僕から笑顔が消え、隣に立つこともなくなるだろう。

    「クソっ」

    先ほどのギタンに笑いかけるバビロンが脳裏に浮かぶ。
    何か食べたい物があるかと訊ねるバビロンに、そうですねぇと呑気な声で微笑む男は自身のマーキングが消されていることに気が付いたのだろう。男の瞳の底に仄暗い闇が浮かび、自身の魔力の代わりに残された色を探る視線がギザルムをひたりと捉えた。

    ーーアナタデスカ

    挑発するように嘲笑いギザルムが代わりに残した魔力が消し去られ、バビロンの背に残る歪な十字架の傷に重ねるようにギタンの魔力がバビロンの魔力に塗り込まれていく。
    『死ね』
    その一言を抑え込むのに精一杯で、逃げるようにここまで来てしまったこと、下僕にあの男がマーキングするのを許してしまったことに腑が煮え繰り返る。

     “俺の“という第七の声が耳奥で響く。

     “私のモノ“と主張するように刻まれた十字の傷と魔力が目に浮かぶ。

    ーー否……下僕バビロンのモノだ。

    その肉体も心も魂もその存在全て。

    闇に染まっていたギザルムの瞳に隠し続けた欲望が灯る。
    ジェイドが初めて下僕バビロンと出会った時の記憶を盗み見る思い出す
    攫われた子供を助けるために単身で忍び込み、ヘマをして男たち今にも嬲られそうなバビロンの姿にジェイドの血液が沸き立ったあの、瞬間ーー

    他の奴らに奪われる前に、今夜この欲望のまま喰らい尽くして全て手に入れてやろうじゃないか。
    オマエもそう思うよなジェイド。
    美しく咲き乱れる花を踏み躙り、遠く見える城へ歩み始める。

    ーー嗚呼……やはりアイツは俺のモノじゃないか。

    駆け寄ってくる小さな一つの影を見つけ満足気にギザルムは微笑んだ。

    終わり
    ++++++++++
    場所妄想は温泉&お花畑。
    本当は初夜話の中の回想でちらりと傷とギタンの話を入れるつもりで書いてたんですが、どうしても筆が思うように進まず、時系列に直して温泉の話を膨らませて書いていったら、あらびっくり。
    温泉で恋心と独占欲を自覚したのね、ギザルムさん。
    ちゃんと恋してから嫉妬セッがいいもんね。そうだよね。と書きながらニヨニヨしました。
    最後に駆け寄ってくるバビロンは、急にギザルムが姿を消したと思ったら餓狼の気配察知して、急いで一人で様子を見にきたよ。
    ギザルムは自分の方に優先的に走ってきた下僕に大満足だよ。ただやっぱり他の男のマーキングは許せないよ。
    問題がある。エロいの描くの苦手だ…読みたいのにな。

    …書いている人間はちょっとアホなので書かなきゃ思いついたネタ忘れるし、書いても何書いたか忘れるので毎回振り返り作業が必要です。賢くなりたい。
    ロイドが乱入した温泉ネタはマンガの3コマで書いたやつ。
    バビロンの全裸見て勃起したギザルムさんですが、実はその背中の傷に怒りと欲情と独占欲湧いて勃ったというオチ(?)でした。

    ところでギタンxバビロン戦後の復活バビロンの背中傷跡、あれ全部ギタンが付けたでいいんだよね?
    治療できなかったの?一生残るの?ギタバビなの?ジェイバビからのギタバビデスカ?
    読み返すと、ギタンさんバビロンのことかなり意識しちゃってるし。
    と言う妄想から生まれた小説ネタ設定的には、仲間になった後にギタンさんがバビロンの背中の傷に自分の魔力をマーキングしました。
    バビロンにつけたマーキングが消えるような異変があったらすぐに駆けつけることができるように & 幸運度アップの神聖魔術織り交ぜて、戦いの最中致命傷は避けられるみたいな効果付与。
    ギタンは自分がバビロンを死ぬほど怪我させた事への贖罪と思っているけど、実は独占欲もありっていう。
    今回もロードストへの帰還で迷子だったけど、ギザルムがマーキング消した事でバビロンの位置情報が発信特定できて、急いで帰ってきた感じ。だと激アツ。

    ここまで読んでくださりありがとうございました。
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