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    sirom_9393

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    sirom_9393

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    テーマ:毛
    また謎時空で同居している。
    銀高練習中。

    #銀高
    silverGlance

    銀高ss⑨迷い犬を捕まえた。依頼にあった通りの、真っ白で黒い首輪の犬。飼い主に電話を入れてやり、後は引き渡すのみ。
    室内で飼われていたのだろう、粗相もせず行儀良くしているのはいい。いいの、だが。
    白い毛玉は、きゅうきゅうと甘えた声を出しながら高杉に撫でられていた。
    「……いいこだな。」
    良く知るデカい犬より随分小型なので収まりがいいのからなのか。随分とやさしい手つきで毛並みに触れている。
    「あと1時間しないで引き取りに来るってよ。」
    「そうか。よかったな。」
    「………。」
    こたらを見もせずに答える高杉。もちろん視線は毛玉に釘付けだ。クソ、そんな毛むくじゃらの何がいーんだよ。毛量なら下も合わせれば俺だって負けねーから。
    「昼メシ、何にする?銀さん今なら高杉くんの好きなもの何でも作ってあげるよ〜。ふわふわオムライスとかどう?」
    「まだいい。」
    「………。ふーーん!あっそ!!」
    「なんだよ。デケェ声出すな。こいつが驚くだろ。」
    「ウッセー!」
    「テメーがな。」
    銀さんのとっておきの優しさより毛玉を優先しやがったよこいつ!腹立たしい。ぽっとやって来てなんの苦労もなく高杉を占領する毛玉も、簡単に優しさを向ける高杉も。
    此方の気も知らず穏やかな空間を醸し出す二人(一匹)に感情をぶつけることもできず。
    手を振るわせて悶えていた所で、来客を告げるチャイムが鳴った。


    予定より早く到着した毛玉の飼い主は、泣いて喜びながら帰っていった。後ろ姿を見送って、多くはないが報酬を懐にしまい込んだ。
    「行っちまったなぁ。」
    「…………。」
    もう見えなくなった背中を見続ける高杉に顔が引き攣った。こいつ、背中に残念ですと書いてある。今後ペット探しは犬禁止にしたろうか。
    羨ましかった。あんな穏やかな手つきで高杉に触れられた犬が。高杉はこちらに滅多に触れてこない。てかデレたりしない。なのにあの毛玉には。
    「何してんだお前。」
    気づいたら、高杉に頭を差し出していた。何してんだろ俺。
    「…高杉くんが、毛を撫でたいみたいだから。貸してやろうと思って……。」
    「はあ?」
    「ほら有り難く撫でやがれよ。銀さんのフッサフサのヘアーを!」
    ほんと、何してんだ。自分でも思う。でも、高杉から触れられたい。俺だって。
    「……。バカなやつ。」
    くしゃり、と髪がかき混ぜられる。それは一瞬で終わってしまった。いや、もっとあいつは触ってたじゃん!と抗議したくなり、顔を上げると。
    「ん。」
    ちゅう、と高杉の薄い唇が触れた。高杉から。キス。脳が現実を処理しきれていないのを感じて固まってしまう。
    「いいこ。」
    ふっと笑った高杉は、硬直する俺を抜けてさっさと家の中に入っていった。
    「ええええ!ちょ、もっかい!今の、もう一度お願いします!!!」
    「うるせえ。さっさと昼飯作れ。ふわふわのオムライス、だろ。」
    「オイイイ!自分のリクエストだけ通すつもりか!」
    きいきいと喚く俺に目もくれず、高杉がふぅ、と煙を吐き出した。
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