銀高ss「土産」
「お、アイスじゃん」
「セールしてた」
ふらっと出かけていた高杉がスーパーの袋をぶら下げて帰ってきた。どれどれと見てやれば箱のアイスと、個包装アイスが幾つか入っている。あ、このチョコのやつ俺が好きなやつだ。
今日も日中は暑かったから丁度アイスが食べたかったところだ。しかも前に好きだと言ったやつをわざわざ。素直な優しさをじんわりと味わって、おかえりと外帰りの体を抱きしめた。
「うめ〜。やっぱコレだわ」
中もチョコ、コーティングもチョコ。そしてチョコソースも入ってる。好きなもの尽くしのアイスに舌鼓を打つ。やはり疲れを癒すには甘いものに限る。今日はなんもしてないけど。
二人分の茶を入れた高杉がソファーの隣に着席する。スプリングが一人分沈み込む感触に胸がほわとして、更に浮ついた気分になった。
「お前、食べないの?」
「いい。夕飯の後によく食えるな」
「甘いもんは別腹なの。」
ず、と高杉が茶を啜る。せっかくなんだから茶菓子とか食べりゃいいのにと高杉を横目で見つめた。
ご機嫌で甘いアイスをぺろりと平らげて、さあ茶でも飲もうかと手を伸ばした時。
「飲むな」
「えっ」
なんでと声に出そうとしたが出来なかった。高杉に唇を奪われたから。
舌の表面が唇をなぞる。茶を飲んだからか、いつもより熱い温度。珍しい行動に胸が躍ってぬるついた舌を受け入れる。
舌の裏をぐっと舐めて歯列をなぞられる。くすぐったいとやわく抗議するように、好きに動く舌を喰んでやる。ぴくんと反応して今度は上顎へ。唾液が交わり合って、ごくんと高杉の喉が上下した。
角度を変えながら何度も口付け合う。小さい喘ぎ声が息継ぎをする度に混じって興奮が増した。最後にちゅうと口の端にリップ音を立てて、高杉が離れていった。
「随分えっちなキスじゃん。どこで覚えてきたのさ」
「お陰様でな。毎日タコみたいに吸われてりゃ覚える」
「誰がタコだ」
むっとして耳たぶに手を伸ばし、軽く摘んでやれば高杉が肩を跳ねさせた。弱いところなんて知り尽くしている。
「あま」
べ、と高杉が舌を出して目を細め、再び茶をあおった。こいつ、人のこと茶菓子扱いした?
湯呑みの中身を飲み干した高杉はさて風呂でも入るかと立ち上がろうとしたので、その腕を掴んで上半身を押し出す。
「こーんなあつあつのキスかましといてこのままで済むと思ってんの?」
「風呂まで待てねえのかよ」
「風呂でやりたいって?いいよそれでも」
でも、と形のいい輪郭を両手で包む。
「まずはここで味見させて」
今度はお前が食われる番だと、高杉の唇に食らいついた。