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    つちだ

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    つちだ

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    ⚠︎︎コガネガワ夢 交換する話🤳

    「なぁなぁ!メアド交換しようぜ」

    そう声をかけてきたのは隣の席の…確か名前は、こがね…なんとか君。
    先程男子生徒に「こがね〜」なんて呼ばれているのをちらっと聞いたのだ。下の名前までは知らない。
    まだクラスメイトになって間もないのに、メアド交換だなんて、そんな。いや、逆に新学期が始まった今だからだろうか。入学式とオリエンテーションと…初日特有の諸々を経たHR後の出来事であった。
    純粋に行動力がすごいな、と思う。同性相手ならまだしも、私なんかと交換したところで頻繁に連絡を取る訳でもないだろうに。

    「俺、友達百人目指してんだ」
    「…ふ、そうなんだ」
    「だからお前も友達になってくれよ!」
    「…まぁ、うん。よろしく…」

    そう言ってこちらに手を差し出してくる彼に、ぎこちなく握手を返す。

    「おう、よろしくな!」

    笑顔が眩しい。そして人懐っこいな、というのが第一印象。なんか金髪だし、こういう言葉で括るのは失礼かもしれないが、所謂陽キャというやつだ。その持ち前の明るさで、今後彼はこのクラスの輪の中心にいるのだろう。自分から交流を広げようとしない私とは真逆だな〜、なんて思いながら大きな手の先を見上げる。

    彼は背がとても高い。椅子に座ってる今だって、その座高の高いこと高いこと。今でこそ出席番号順の座席であるものの、しばらく経ったら後ろの子が黒板が見えない〜と席を替えられそうである。そうなったら、私はもう隣の席の女子生徒からただのクラスメイトに成り下がるのだ。友達になれるかはわからないが、一応返事をしておく。

    「んで、俺のメアドなんだけど…」
    「あ、せっかくなのにごめんね?私まだ携帯持ってなくて……家電なら教えられるんだけど」
    「うおっ!そうなのか…それはちょっとハードル高ぇかも」
    「…ふ、だよね」
    「ならさ、携帯ゲットしたら教えてくれよ!」

    俺がお前の連絡先1号になる、と言い張る彼に思わず瞬きを返す。
    そこまでして、私と交換したいのだろうか、いや、違うな…彼がそういった意図で言ってないのはわかっている。わかっているけれど、なんというか照れくさかった。私のまだ見ぬ連絡先に価値が生まれたような、そしてちょっとだけ、交換する未来が楽しみだと思ってしまっている自分がいて。不思議な感覚だった。

    「いや、1号は多分家族だと思うけど…うん、そうだね、クラスメイト1号にはしてあげる」
    「そこは友達1号だろぉ!?」

    なんて、他愛のない会話をしちゃったりして。あれ、なんか普通に会話出来てるな私。
    中学の入学式の後なんて、早々に帰った記憶しかない。大体周りは小学校から一緒だったとか、もう既にグループが出来てたりだとか。私の入れそうな隙は全然無かった。皆同じスタートラインだと思っていたのに、なんだか私だけ出遅れていた気がした。そこに声を掛けるのも忍びなくて、つるむ相手を作るために自分を取り繕うのもなんだか面倒だな、と思って。休み時間はひたすら本を読み、放課後になればそそくさと家に帰っていた。言わずもがな帰宅部である。
    辛うじて給食の時間は、班で机をくっつける方式だったおかげでぼっち飯は回避できたものの、なんとも味気ない三年間だった。
    そんな私が今、目の前の彼と会話をしている。やはり不思議な感覚だった。会話できているのも100パーセント彼のおかげなのだけど。
    とはいえ、私にとっての友達になってくれたとしても、黄金川君にとっては友達の中の1人になるのだろうと考えたら、過度な期待はするべきではないなと思った。だから先程の言葉は照れ隠しであり、逃げ道でもある。
    それにしてもなんだよ、してあげるって。図々しいにも程があるだろう私。
    家族以外とのコミュニケーションを久しく取っていなかった弊害が、ここに来て出てしまった。あ〜あ、上から目線の奴だと思われただろうな。
    自責の念に駆られていると、途端、目の前がスッと白くなる。

    「え、何!?」
    「これ、読めるか?」
    「???ちょ、近すぎて何もわかんない…何?」
    「あ、悪ぃ…ほい!これ!」

    私の眼前に差し出されていたのは、ノートの端を急いで破ったであろう白い紙だった。罫線を無視した大きさで、”黄金川貫至”という文字が書かれている。

    「…こがね…がわ、かん…じ?」
    「おおー!当たり!よく読めたな」

    地味に下の名前読めないって言われたりすんだよ〜、と彼。

    「これ、俺の名前な!」
    「え、あ、うん。黄金川君。でもなんで急に?」
    「いや、連絡先聞いたのにさ、自己紹介がまだだったなと思って」
    「あ、そっか。私もまだ名乗ってなかったね」

    私の名前は__と答えようとすると、待って!と大きな声で遮られる。なんだなんだ。

    「名前、この紙に書いてほしい!」
    「………え?」
    「いいから、書いてくれ!」

    促されるままシャーペンを手にし、自分の名前を書く。…そんなにじっと見られると地味に緊張するんだけど。

    「書けたよ。これ、私の名前」
    「おう、サンキュな!…ミョウジナマエ、よし、覚えた!」
    「…うん、…ていうか、なんか意味あるのこれ?自己紹介くらい別に…」

    しまった、また言葉を間違えてしまった気がする。おそるおそる彼の方を向く。パチリ、と目が合った。

    「メアド交換できないならさ、物理的に交換しようって思ったんだよ」
    「???」
    「だから、俺の名前があるこっちはミョウジちゃんが持ってて」

    はい、と手に置かれる”黄金川貫至”の切れ端と、入れ違いで彼の手に渡る”ミョウジナマエ”の切れ端。
    というか待って欲しい。ミョウジちゃん、なんて初めて呼ばれた。どうしよう、顔が熱いかもしれない。一体私をどうする気だ、黄金川貫至め。

    「なぜ、初日でそこまで…?」
    「?初日とかよくわかんねーけど、俺達もう友達だろ?」

    なんともゴリ押し。トントン拍子で理解が追いつかないが、私はもう彼の友達ということでいいらしい。切れ端を持つ指先が、少し震えた。

    「メアドの連絡先一覧見てるとさ、あ〜友達増えたなって嬉しい気持ちになんだよ」
    「…そういうもん?」
    「そういうもん!なんか証みたいだろ?だから、この紙は、ミョウジちゃんと友達になった証」
    「…そっか」

    目に見える形なのがいいのだという。
    意外とそういうのにこだわるタイプなんだろうか?まだ、彼のことは全然知らないので何も言えないが。これから、知っていくことができるのだろうか。これが証だと言うのならば、私は彼の友達でいていいのだろうか。
    初めてできた”友達”とやらに、私も大抵浮かれているらしい。少し火照った頬が、教室内に響くチャイムの音によって引き戻された。

    「げ、時間経つの早いな!これ完全下校のチャイムだよな?」
    「まぁ私たち一年生だし…部活とかないからもう帰らなきゃだ」
    「だな…あ、俺帰る約束してるやついるんだった!じゃ、また明日な!」
    「…うん、また明日」

    大きく手を振る彼に、切れ端を持ってない方の手でそっと振り返す。
    もう帰る約束をする相手がいるのは、さすがと言わざるを得ない。すごいなぁ黄金川君。コミュ力高いなぁ。
    カサリ、と手元にあるものを見つめる。…これ、なんか持ってるだけでパワー貰えそう。財布の中に入れておこう。
    いつも憂鬱だった帰り道も、その日はなんだか浮き足立っていて。明日も学校に行くのが楽しみになっていて。彼のことだからおはようって言えばおはようって返してくれるんだろうなとか、そんなことを考えていたらあっという間に家に着いていて。
    自分の部屋に入り、財布からもう一度例の紙を取り出す。あの時はよくわかってなかったけど、確かに証が手元にあるのって嬉しいかもしれない。

    「そっかあ…私、友達できたんだな…」

    なーんて。実感がひしひしと、じわじわと、遅れてやってきた。ああ、明日はどんな話ができるだろうか。口角が上がる。
    こうなったら、黄金川君の隣の席を満喫してやろうではないか。
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    つちだ

    MOURNING⚠︎︎コガネガワ夢 交換する話3

    ※初手から捏造いっぱい
    4月○日
    今日は入部届けを出した!
    バレー部に入ろうと思ってる!
    俺、身長それなりにあるから誘われてさ、見学もさせてもらったんだ!
    バレー部の先輩たち、すげーかっこよかった!
    俺もあんな風になりたい!
    体動かすのは好きだけど、バレーやるのははじめてだからワクワクしてる!
    ミョウジちゃんは、何部に入るんだ?もし決まってたら教えてくれ!

    「部活、かぁ……」

    気になって気になって休み時間にこっそりと見てしまった例のノート。
    「おはよう!これ、書いてきた!じゃ、また後でな!」といつもよりバタバタしていたのは、朝練に行くからだったのだろうと今納得した。
    そうか。黄金川君、バレー部に入るんだ。
    それにしても、全部語尾に!マークが付いていて面白い。文にも性格出るよなあと思いながら”部活”の二文字に目をやる。正直、今回も帰宅部かなあと思っている。部活となると嫌でも人との関わりが発生するからだ。作業する時はひとりでいたいタイプである私には、どれも向いていないように思う。ましてや運動部なんて、チームスポーツがほとんどだ。仲間意識とか連帯責任とか、私が最も苦手とするところである。
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