星の路を逝く絞首台の足場が落ちる音と同時に夜空がぶれた。
瞬間、落とし穴に落ちたような不快な浮遊感がオクジーを襲った。
足が地面につく前に、首と胴体が千切れるほどの衝撃が走る。
「ぐうっ」
息がつまる。気道を広げる為に咳をしようにも息を吸うことも吐くこともできない。
溜まった空気が頭に滞留し、鼓膜が破裂しそうになる。
オクジーが認識できたのはそこまでで、ブツンと音がでそうな勢いで意識が遮断された。
自分の頬をなんだか柔らかいものが撫でている。オクジ―が目を開くと目の前に満点の星空が広がっていた。
すごい。ここが天国なのか。
オクジ―は深く息を吸った。
指で口端に触れると雑に縫われた縫い口がない。
指先に伝わる皮膚の感触に、オクジ―はやはりここはこの世ではないと確信した。
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