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    miyu_me

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    完結させる予定は特にないプロセカホラー続き。
    類くんのターンと彰人くんのターン。
    彰人くんのターンは名前付きのモブ女子同士の暴力(物理)的な表現があるよ。

    ##二次創作小説

    4、神代類、とある日の遭遇


    昼休み、神代類はいつものように舞台用の装置をいじりがてら昼食を取ろうと屋上に登る。ガチャリと重たい扉を開けて頬を撫でる風にぶるりと体を震わせた。

    (風邪を引く前兆かな…気をつけないと)


    珍しく誰もいない屋上でいつもの場所へと腰を落ち着けた類は、購買で買ったゼリー飲料と、コンパクトな機械を取り出した。ぱきりと封を開け吸口を咥えると胸ポケットから取り出した工具を使い、故障を直すために機械の解体を始める。
    早々に不具合を見つけ出し修繕したところで顔を上げると、屋上の扉から女子生徒が姿を現した。どこかふわふわとした足取りで類の前を素通りして、屋上のフェンスへと手をかける。
    俯いている顔は長い髪に隠されて表情は読み取れない。
    類や瑞希のように教室に居づらくなって屋上に来てしまったのだろうか。人を笑顔にするのが仕事だと、直したばかりの機械を起動させようと手を伸ばしたところで、ガシャン、と大きくフェンスを揺らす音がして女子生徒を見れば、足をあげてフェンスに上靴の先を掛けていた。
    地面に着いていた方の足が浮き上がり、フェンスにかけ、手を伸ばして、ぎし、みしりと金属が軋む音が

    「、」

    ぶわ、と機械から勢い良く飛び出した大量のシャボン玉が一斉に女性とへと照射される。


    「宇宙へ、」

    ー宇宙へ飛びたいと強く願った少女は、国で1番高いとされる塔の上に登りましたー

    ーさよなら、翼を広げて飛び出そうとした彼女の手が彼女のものではない大きな手のひらに包み込まれましたー

    ー隣で手を繋ぐ誰かの体から溢れた彼女への思いが色を成し、彼女の横を通り抜けて高い空に登っていきますー

    ー彼女は理解しましたー

    ー暗く淀み重たい感情を抱えた私には空を飛ぶことが出来ないということをー


    フェンスを乗り越えようとしていた女子生徒の動きが視界を埋め尽くすシャボン玉に奪われる。
    即興ででっち上げたストーリーを朗々と語りながら走りよった類が目を奪われる生徒の体に手を伸ばす。

    「つ゛」

    ばちんと弾けた静電気の衝撃と急激に襲い来る吐き気に鈍い声をあげた類は、ふらつく勢いのまま女生徒の体をフェンスから引き剥がした。

    「ぐ、ぅ………」

    女子生徒を支える余裕はない。どしんとかなり派手な音を立てて床に転がった生徒の横で、四つん這いになり吐き気をやり過ごした類が再び生徒に目線を向ける。

    「………………」

    痛がる様子もなくただ虚ろな目でぼんやりと空を見上げている姿に、体を起こして声をかける。

    「大丈夫かい?」
    「………………ま…」
    「え?」
    「………と………み………」

    かくんと力が抜けて生徒の意識が落ちたのが分かる。兎にも角にも保健室に連れていかなければ、けれど類には今起きた吐き気に覚えがあった。これは風邪ではない。

    「フフ…」

    顔色を青くしたまま類は愉しそうに笑い、スマホを取り出してメッセージを送る。

    『放課後、フェニックスワンダーランドに行く前に話したいことがあるんだ』

    …………………………………


    5、同日、東雲彰人と三人娘


    「何やってんだ!」

    目の前で起こる異常な光景を見て、止めようと手を伸ばす。触れた瞬間に電撃を浴びたように跳ねた躰が地面に転がり、四肢を投げ出して、口をかぱりと大きく開いた。

    「コーーン!」

    甲高い叫びが響き、ざわりとその場に居た生徒たちの騒ぎが大きくなる。

    「東雲、大丈夫か!?」
    「あ、ああ…」


    それは昼休みの事だった。東雲彰人はサッカー部の昼練習に付き合わされることになり校庭に出ていた。ドッチボールや鬼ごっこをする活発な生徒達と混じってパス回しの練習をしていた昼休憩も終盤に差し掛かった頃、彰人は一旦水を飲むためにその場から離れた。ほんの少し歩いたところで、陸上部が使う砂場にぽつんと立っている女子をみかけて首を傾げる。その子に向かって2人の女子が歩きながら声をかけた。

    そんなところで何してるの?どこに行ったかと思った。
    近づいてくる声に振り向くこともせず、突っ立っていた女子は地面にしゃがみこむと、手を砂場に突っ込んで柔らかな砂を掴みあげる。
    え?何砂遊びしてるの?城でも作っちゃうの?
    からかい混じりの2人は、そのすぐ後に目の前で起こったことに動きを停止させる。

    じゃり、ざり、

    「………は?ちょ、何砂食べてんの!?」
    「…え、待って待って!」

    口元に持ってきた砂を徐に口の中に突っ込んで咀嚼する。それは1度だけじゃなく、次々と砂を掴み口に含み、ごくんと飲み込んでいく。
    顔を真っ青にした二人が慌ててその女子へと駆け寄って止めさせようと手を伸ばす。

    「う゛ああああぁアぁぁぁ」
    「ッぎっ!?」
    「!かなっ!!!まなみ、何してんのっ!」

    突然叫び出した女子、まなみが肩に触れるかなの手を掴み、地面へと叩きつける。

    「フーー!フー!」
    「いたい、いたい、やめて!やだ!はなしてやだぁっ!」

    暴れるかなを体重をかけて押さえつけて再び砂を掴み、かなの口へと押し付ける。

    「うぶ、ん、ンー!!んんんぅ!」
    「何やってんだ!」

    まなみが叫び声をあげた時に校庭に出ていた生徒たちのほとんどがその光景を見ていた。
    たまたま、ほんとうにたまたま一番近くに居た男子生徒が彰人だったから、押し倒す光景を見た瞬間に走り出し、砂をかなの口元に押し付けるまなみの体を引きはがそうと手を伸ばす。相手が女子だとかそういったことは関係ない。体をホールドするために腹の方へと手を回そうと触れたその瞬間。

    「ヒギャッ!?」

    潰れたような悲鳴を上げながら電撃に撃たれたように跳ね上がったまなみがぼとりと地面に転がる。人形を落としたかのようにばらばらの方向へ四肢を投げ出して。

    「コーーーン!!」



    「うげ、うぇ、げほっ、うううう、うえええぇ…」

    開放されたかなが砂を吐き出しながら痛みと苦しさに泣き出して、2人の名を呼んだ女子は地面にへたりこんで呆然とした表情で呟いた。

    「…オトガミ様の、祟りだ……」


    彰人へと声を掛けたのはさっきまで一緒に練習していたサッカー部の生徒で、呆然と返事をした彰人を見て心配そうに顔を覗き込む。

    「東雲?」
    「ん、ああ、いや、誰か先生呼んだのか?」
    「おー、とっくにな」
    「バックれるかな」
    「いやそれは無理だろ、事情聞かれんじゃね?」
    「だよな…クソめんどくせぇ」
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