昨日今日あすあさって 夏。
太陽が張り切って、人を焼いて煮て殺す夏。
東京はコンクリートジャングルである。
ビル風という名の熱風が吹き荒れ、地面からの輻射熱は容赦なく足を焼き、日陰にいようとも湿度がひと息つくことを許してくれない。
慣れたふうに学生服を着込んで登校するシロウを、まるで化け物を見るかのように眺めれば、視線に気がついた彼が穏やかに笑って、「ほら、タイが曲がっているよ」と、涼感のためにわざと曲げたネクタイをきっちり締めてくれた。
そんな怪物が観測される季節である。
さて、猛暑を通り越して酷暑と言っても過言ではない東京の夏において、観測される怪物は一人だけではない。
練馬からわざわざやって来た、自称・柄にもなくハイテンションなジャガーの獣人は、上機嫌で直射日光と輻射熱を全身に浴びていた。
3013