ルゥ書(叩き台)ーークンクン。あ、いい匂い。
アイツが朝飯の準備を始めたんだと、美味しそうな匂いが寝ているオレの鼻を刺激する。
今日も今日とてあの旨い飯を朝からたらふく食いたくて、コイツを起こすのがここ最近のオレの日課。
「ワンッワンッ!」
「…………。」
ーーそう、コイツはこれくらいじゃなかなか起きない。
でも、こうすれば起きる。
鼻や口をペロペロって嘗めるんだ。
「……ん、んぅ……ルゥくん…? あ、おはよ。今日も早いね。」
ふぁーぁ、と、呑気にあくびをしてまた寝そうになるところを吠えることで、目覚めへと畳み込む。
「わかった、わかったから。まだ皆は寝ているから静かに、ね?」
そう言って、フワッと抱え込まれた。
思わずブンブン尻尾が振れてしまう。
オレ、嬉しいのか?
支度をするからちょっと待っててね、と、言われ下ろされた。
なんだかちょっと、さみしくかんじた。
「さ、じゃあ行こっか」
そういってまた抱き抱えてもらったオレは、コイツの腕の中でクンクン甘えてた。
「おいオマエ、書記生は用事があるから暫くは俺が預かるからな。」
メガネのヤツの抱っこはキライ。
なんかあんまり良くないモノを向けられてる気がするし、腕も身体も固くてどうにも居心地が悪い。
ただの抱っこだ、それなのに、抱く人間によってこんなに違うのものなんだなってしらなかった。
こんな時、やっぱり思い浮かぶのはアイツの顔。
(早く、アイツに迎えに来て欲しい。)
自然とそんなことを思うようになっていた。
ねぇ、オレが犬の姿じゃなくても同じようにしてくれる?
今みたいに、優しく撫でて、笑いかけてくれる…?
その唇に口付けしても、受け入れてくれる…?