五くくVSろじくく(仮)① まさか五年生にもなって川で溺れるとは思っていなかった。
それは雨上がりの夜に裏山の川で行われた、水練の学年合同訓練での事故だった。まず俺、竹谷八左ヱ門と尾浜勘右衛門が深みに足を取られ、「どうしたどうした」と追いかけてきた不破雷蔵と鉢屋三郎も気づかず落ちてしまった。馴染みのある川だった。しかし夜の水流は黒くつめたく、朝方降った雨のせいでかさも濁りも増していた。忍びたる者、いかなる状況にも対応する訓練は欠かせない。だが豹変した自然を前に、パニックを起こしたたまごはあまりにも無力だった。こうして俺たち四人は川面に落ちた葉っぱ同然に流されてしまったのである。
気がつくと全員、学園の医務室に寝かされていた。
9862