ぜいたくな休日 目を覚ますと隣にいるうつくしい男は、カーテンから差し込む朝の光にわずかに眉根を寄せていた。
衣ずれの音、寝返りを打ってふっと顔がゆるむ。流れるようなまぶたのライン、長い睫毛の下に潜んだほくろ。世界中のイケメンパワーを集めて捏ねて神様が形作ったものがユキなんじゃないかってオレは思った。だって、こんなに寝顔が完璧なひとって、ユキ以外にきっといない。
曖昧な弧を描いている、薄いけれど柔らかいくちびるにそっと触れてみると、小さく声を漏らしてオレの指を食んだ。赤ちゃんみたいなダーリン。かわいい、かわいい、かわいい。
「ユキぃ……」
空いている方の手で零れた髪を一房掬って持て余した。持ち上げて、さらさら流れる。もう少しこうしていたいけれど、朝の時間って一瞬だ。
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