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    poppokyo

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    poppokyo

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    学パロ。カラオケ店の個室でイチャつくkkobシリーズ〜告白編〜、一区切りです。この後デート編と学祭編とえっㄘ編を書きたい。早く高校生にしたい。ちょこちょこ書きます。

    カラオケ店の個室でイチャつくkkobシリーズ〜告白編〜 午前のみの早上がり。期末テストの最終日をやり過ごした教室は、一様に騒がしくなった。途端に生徒達は浮足立つ。
     ホームルームが終わるやいなやスクールバッグを肩にかけ、それぞれが決まった友人達と語らい、廊下へと向かい出す。そんな中、教室の出入り口に一番近い、一番後ろの席にいたオビトは、振り返ったクラスメイトに声をかけられる前にそそくさと教室を抜け出した。
     下駄箱のロッカーからくたびれたスニーカーを取り出し、スマホの画面をタップする。

    『いま終わった』

     すぐに既読が付いたのを確認して、オビトはふにゃりと口元を緩めた。横のボタンを押して画面を暗くし、ポケットにしまう。ついでにポケットの中にあった鍵を取り出した。
     チャリ、と十本の尾を持つ、一つ目のキャラクターが揺れる。何の生き物がモチーフなのかわからないそれは、オビトがここに通学することになった当初、サボり先のゲームセンターでゲットしたキーチャームだった。
     それを手のひらで包みながら潰れたかかとを指で立て起こす。トントン、とつま先を整え、タイル張りの昇降口を抜けて向かった先は、生徒達が使用する駐輪場だった。

     今月14歳になったオビトがここ──中高一貫の私立学園暁中学校に通い始めて、もうすぐ一年が経つ。
     独善的な養い親に逆らえず、無理やり編入させられた進学校だったが、何人か友人もできた今、それなりに学園生活を満喫していた。

     不満があるとすれば、幼小中とずっと一緒だった幼馴染と学校が分かれてしまったことだ。
     親友であるその男は、全国統一模試トップ。スポーツ万能。果てには顔もイイといった、才色兼備。全てにおいて成績が良く、周囲おけるオビトの評価とは正反対の立ち位置にいた。
     それは性格も同じく。二人は昔から喧嘩の絶えない間柄だったが、気が付けばいつも一緒にいた。まるで魂が惹かれ合っていると言ってもいいくらい、お互い離れることなど考えられなかった。

     カンカンと鳴り出した踏切を越えたところで、オビトはスマホのバイブレーションに気が付いた。ペダルを漕ぐ足を止め、かじかんだ手でブレーキレバーを握る。電信柱の横に停車して、ポケットからスマホを取り出し、ロック画面をスワイプした。
     そして開かれたメッセージアプリには、へのへのもへじのアイコンが表示されていた。

    『着いた 先に入ってる』

     その連絡にオビトは『OK』のスタンプを送った。
     件の幼馴染とオビトは、まったく会えていないわけではなかった。これまで通っていた塾は変わっていない。だから違う中学校になった今でも、オビトは週に数回、その彼と顔を合わせていた。


     ◇ ◇ ◇


     エレベーターを降りたカカシは、最新の曲が流れる店内で扉越しに漏れる客の歌声を耳にしていた。
     受付の近くに置かれたビリヤード台を通り過ぎる。学校指定のローファーをコツコツと響かせながら、紙マスクの鼻部分まで覆ったマフラーを解き、濃紺色のダッフルコートを脱いだ。それらを腕にかけてスマホの画面を見下ろす。
     通知はない。
     表示されたメッセージは『OK』を象ったキャラクターのスタンプで終わっている。よく見たらウサギに見えなくもないそれは、オビトが一年前からよく使っているスタンプの一つだった。
     暇になった指先でそれをタップする。『尾獣シリーズ 十尾編』というスタンプショップが開かれた。

     あいつのことだ。十中八九遅れて来るだろう。先に受付を済ませて部屋の中で軽食と温かい飲み物でも注文しよう。

     スッ、スッ、と液晶画面に触れるカカシの指は、まだ冷たく強張っていた。
     カカシは受付の店員に「後から一人来ます」とを伝え、渡された紙に記された番号の部屋へと向かった。

     個室の扉が開かれる。カカシは扉のガラス部分にコートを引っ掛け、廊下に響く音と光を遮った。それから艶感のあるソファーにスクールバッグを置き、ライトダイヤルをひねって部屋を明るくした。エアコンの暖房をつけて腰掛け、ラミネートされたメニュー表に目を落とす。

    『D○Mチャンネルをご覧の皆さん〜』

     高めの位置にあるモニターから、ドムドムと騒がしいアーティスト紹介が流れる。手元のリモコンで音量を下げつつ、室内の壁に設置された受話器を手に取った。

    「───以上でお願いします」

     ガチャ、と通話を切ると同時に、テーブル上のスマホがブブッと振動した。光る画面に目を向ける。棒付きキャンディのアイコンが『もう着く』とメッセージを残していた。

    『部屋どこ』

     思ったよりも早い。スマホを持ち上げたカカシの親指が"返信"に触れる。

    『506』
    『り 何頼んだ?』
    『枝豆とうどん』
    『しぶ おれラーメン みそな』
    『はいよ』
    『あとポテトとからあげ』
    『飲み物は?』
    『いつもの』

     『フロートでいいの?』と返したメッセージに既読は付かない。カカシはふぅ、と息を漏らし、再び受話器を手に取った。


     ◇ ◇ ◇


     オビトが506号室に辿り着いたのは、ちょうど店員が注文の品を運んできた時だった。

    「あ、このまま貰うんで。後はいいっすよ」

     そう言って扉を足で押さえ、盆の上に乗ったグラスとカップを手に取ったオビトは、店員と入れ替わるように部屋の中へと入ってきた。

    「ほら」
    「ん」

     オビトからカップを渡される。受け取ったカカシは付けていた紙マスクを下げて、湯気立つ緑茶に口を付けた。一息ついて、指を温める。カカシは少し鼻を啜って、自分とは違うブレザーを脱ぐオビトを見上げた。

    「どうだった?」
    「一応、解答欄は全部埋められた。自信はある。じじいの言う及第点は超えられると思う」
    「そうか。じゃあ後は結果を待つだけだな」
    「ああ……やっと終わった」

     どっかりと、カカシの隣に腰掛けたオビトは学校指定のネクタイを緩め、コーラフロートの入ったグラスを持ち上げた。そして「あ」と大きく口を開けて、氷の上に乗ったソフトクリームにがぶりと齧り付いた。

    「あー、甘いもんが脳に沁みる」
    「外寒かったのによく食えるね」
    「手は冷てーけど。ここ暖房効いてるし。チャリ漕いでる間はあちーくれーだよ」

     だからヘーキ、とオビトの黒い目が細まる。幼い頃と変わらない表情にカカシは「そ」と笑みを返し、隣にある肩をポンと叩いた。少し汗ばんだ、白いワイシャツ越しの背中に目を落とす。

    「お疲れさん」
    「おう。早くメシ食おうぜ」

     何の選曲もせず、二人は手元の碗に浸かっている麺を啜った。真ん中に置かれた枝豆をカカシが半分に分ける。オビトは空いた皿にポテトやからあげを置きつつ、カカシとの会話を続けた。

    「カカシもお疲れ。サンキューな…つーか悪かった。オレの勉強に付き合わせちまって…」
    「いーよ。オレも勉強になったし」

     珍しく嫌味のないカカシの返事に照れくさくなったオビトは、赤くなった鼻先を掻きつつ「そういえば…」と首を傾げた。

    「集まるなら、別にここじゃなくてもよかったんじゃね?」

     復習でもすんの?と嫌そうに眉を寄せたオビトに向かって、カカシは「まさか」と返した。訝しむオビトの様子に失笑する。

     オビトは昔から、テストで良い点を取れる方ではなかった。
     学園編入当初、最初のテストで赤点を連発したオビトは、塾で会ったカカシに『助けてくれ』と縋り付いてきた。聞けば、養い親であるマダラから『行く意味のない塾はやめろ』と脅されたらしい。

    『愚かな砂利を遊ばせておく時間などいらん。今後すべての科目で学年十位に入らなければ、貴様のスマホをへし折って家庭教師を雇う』

     ただでさえ自分の希望を退けられ、知り合いが一人もいない学園に通わされているオビトだ。内心はずっと不安だった。

    『じじいは本気だ……どうしよう…っ、カカシィ…っ』

     生来の泣き虫が表に出てしまい、『もうお前と会えなくなる』とぐすぐすと泣き出した幼馴染を前に、眉根を寄せたカカシは『学年十位に入ればいいんでしょ』と肩を叩いた。

    『遊ぶ時間は減るかもしんないけど…その分、オレがお前の勉強見てやるからさ』

     そうして、オビトと共にマダラを説得しに行った。二人の決死の説得に、マダラは『一年待ってやる』と猶予をくれた。それからカカシとオビトは、お互いに時間を作っては、一緒に勉強するようになった。
     初めは塾の自習室や図書館で勉強していた二人だが、静かにしなければいけない公共の場でオビトの声はうるさ過ぎた。お互いの家では馴染みもあってつい怠けが勝ってしまう。何よりも空腹に、オビトの集中力は度々切れてしまっていた。
     勉強と遊びのバランスがとれ、オビトが集中でき、小遣いの範囲内。カカシが考えた結果、最終的に総合施設のカラオケ店に落ち着いた…という訳である。
     そんな勉強会を続けたおかげか。オビトの成績は徐々に上がり、今では学年上位にその名を連ねている。カカシの教え方が良かったのもあるが、元々はやればできるタイプなのだ。現状科目によっては学年一位も夢ではなかった。

    「言っとくけど…今日はもうオレ、勉強しねーかンな!」

     歯を剥いたオビトに、カカシは苦笑いしつつ「わかってるって」と肩をすくめた。

    「さすがのオレもテスト終わりにそんなこと言わないよ……それよりも今日ここに呼んだのは、お前に伝えたいことがあるからだ」
    「伝えたいこと?」
    「ああ。この場所ならお前も、人目を気にしないで聞いてくれると思って…結果の学年順位がどうであれ、もうすぐ約束の一年が来るしな…」

     カカシは碗と箸を置き、両手を組んだ。それから少し迷うように指先を動かし、オビトをじっと見つめた。

    「…オビトはさ、オレと遊べなくなるのが嫌だから…苦手な勉強、がんばったんだよな?」
    「え……まぁ…うん…」

     いつもの眠たげな目とは違う。真剣な眼差しを向けられ、オビトは変に身を固くしてしまった。

    「学校が変わってもこうやって会うくらいだ。オレもお前と遊ぶのは楽しいよ」
    「……何だよ急に。改まって」
    「まあ聞け。お前の初恋が保健室のリン先生だったってことは知ってる。オレ達が小6の時に結婚して辞めちゃったけど………いや、お前は小1の頃からリン先生に惚れてたから、もしかしたらまだ好きなのかもな…」
    「なッ!?そ、それが何だよ!」

     オビトはカッと顔を赤くした。その頭に疑問が浮かぶ。何だかカカシらしくない。まどろっこしい話し方をする。

    「言いたいことがあるならさっさと言え!」

     待ちきれず、詰め寄ってきたオビトに、カカシは眉を下げて困った顔をした。

    「ああ、そうだな…古傷を抉って悪い。本題を言うとオレは……別に男が好きってワケじゃないんだが……オビト。お前とならキスできる」
    「…は?」
    「というか、したい。オレはずっと昔から…お前のことが好きなんだ」

     オビトは絶句した。カカシの表情から察するに、決してふざけているわけでない。突然の告白に、オビトの頭の中では大混乱が起きていた。

     今こいつ、何つった?
     オレを好き?昔から?どういう意味で?
     ていうかさっきキスって───。

     視界がぐるぐると回る。その視点は自然とカカシの唇で止まった。ほくろの添えられた唇と、先程告白された言葉の意味が脳内で繋がる。それを理解した途端、呆けていたオビトの顔面は一気に熱くなった。

    「……困るよな」

     カカシは目を伏せ、組んだ手で口元を覆い隠した。告白に至った経緯は単純明快で、オビトと会う機会が減ったのが原因だった。
     何の心の準備もなく、ずっと一緒にいると思っていたオビトが急に転校してしまった。それでも同じ塾で会えたが、その親友が泣きながら話す内容に耳を傾ければ、このままでは会うことすらできなくなると言う。
     ──また会えなくなる。
     そう思った途端、カカシの心は途轍もない喪失感に見舞われた。自身の胸の内を自覚したのも、この頃だった。

    「驚かせてごめん。でもお前にはオレの気持ち…知っておいて欲しかったんだ」

     学校で会えなくなった分を埋めるように他で会う時間を増やしても、他校に行ったオビトの口からはだんだんと知らない名前が増えていった。

    『遅れてワリィ。今日は隣の席の長門に代わってもらった掃除当番があるの、ギリギリまで忘れてて。同クラの弥彦が教えてくれたんだけど、掃除場所に居合わせた小南って女子がすげーキレててよ。バトってたら遅くなっちまった』
    『知ってるか?カカシ…水族館にいるサメはな、腹がいっぱいだから他の魚食べねーんだって。昨日校外学習で同じ班になった鬼鮫って奴が、めちゃくちゃ詳しくてさぁ』
    『部活動?ああ…必須だったから、幽霊部員でも入れるところにしたぜ。どこって……美術部だよ…おい。笑うな。たしかに絵は描けねーよ。つか聞いてくれ!そこのデイダラって一年の先輩が部室で爆発事件起こして…ヤベーよな!そん時オレも巻き込まれそうになってよォ!』

     さざめく心を隠し、いつも通りを装ってみても、胸の虚空は広がり続けるばかりだった。目の前のオビトがどこか遠くに行ってしまうような感覚。そんな状況に、カカシは耐えられなくなってしまった。

    「……返事はいらない。今以上は望まない……だからオビト、これからもオレの傍にいてくれ…」

     離れていかないで欲しい。けれど、告白することで今の関係を壊したくない。甘えた考えだったが、オビトならこの気持ちをわかってくれると思った。

    「……言いたいことは、それだけだ」

     室内はしん、と静まり返る。壁越しに誰かの歌声が聞こえた。
     俯いていたカカシがゆっくりと視線を持ち上げる。隣に座る想い人は、顔を赤くしたまま口の端を下へと歪めて、眉間の皺を濃くしていた。

    「……何だよ、それ…」

     ややあって、オビトの口からそんな言葉が放たれた。

    「黙って聞いてりゃカカシ、お前…オレを舐めてんのか?」

     つり上がった眦に、カカシが「ごめん」と顔を伏せると、オビトは即座に「謝んな!」と返してきた。それから黒い短髪をガシガシと搔いて、深い溜め息を吐いた。

    「そうじゃねェよ……ったく、お前はまた……オレが断る前提で話を進めやがって…」

     ぼそりと聞こえた最後の言葉に、カカシはバッと顔を上げる。オビトは焦った表情でキッとカカシを睨みつけた。

    「待てッ!今のは"YES"と答えたワケじゃねーからなっ!オレはただ……こ、告白したのに、すでに諦めてるお前にムカついてるだけだ!」
    「…?つ、つまり…?」

     困惑するカカシを横目に、オビトはフンッと顎を反らして唇を尖らせた。

    「たしかにお前の言う通り、オレはリン先生のことが好きだよ……本気だった」
    「…だろうね。結婚したってオレから聞いた時、お前マジ泣きしてたし」
    「うっせェ!!……あーもー!そうじゃなくて!あん時オレは、告白すらできなかったから!好きな人に意識してもらえるよう…もっとこう…努力できなかったこと!後悔してんの!」

     唾を飛ばしたオビトに、カカシは「それって…」と目を見開いた。

    「オレは……期待していいの?」
    「……おぅ。やるだけやれよ。そんでダメなら木っ端微塵にフってやる」
    「ヒドイな」

     ふは、とカカシが笑う。オビトはへっ、と鼻の下を擦って「望み薄だぞ」と付け足した。カカシは口元を覆って、「望み薄、ねぇ…」とオビトを見つめた。

    「……ンだよ」
    「イヤ…自信過剰じゃなければ、オレの告白を否定しないあたり…お前も相当、オレを好きな気がするケド…」
    「ハッ、おあいにくさま!オレはおめーみたいに趣味悪くねーから!そもそもホモじゃねーし!」
    「別にオレもホモじゃないんだけど……あとその言い方だと、オビトが自分を貶してるみたいだよ?」
    「うっ……そうか…」
    「ま、お前の趣味が悪いのはホントだけどね」

     ククッと笑いを漏らしたカカシに対し、オビトは「ハァ!?」と肩を怒らせた。

    「オレのどこが趣味悪いってんだよ!」
    「だって、毎回送ってくるスタンプ見てればわかるよ。自転車の鍵にも付けてるよな、アレ…」
    「何で!十尾いいじゃん!カッコイイだろ!」
    「え〜……どちらかいえばキモカワじゃない?」

     緊張の解けた室内で、カカシは自分のスマホを手に取り、SNSを開いた。

    「そういえば…来月その尾獣シリーズのカフェイベントやるって、今日公式が投稿してたよ」
    「マジで!?」
    「うん。ほら」
    「わっ!行きたい!!」
    「じゃあ一緒に行こっか」
    「おう!」

     オビトが笑顔になってカカシのスマホを覗き込む。すっかりいつもの調子になった親友に苦笑しつつ、カカシは三日月のように目を細めたまま、その顔を近付けた。

    「その日はオレとデートだね」

     カカシの唇から囁かれたフレーズに、オビトはバッと体を離して、熱くなった耳を押さえた。

    「デ…!?はぁ!?」
    「だって、アプローチしていいんでしょ?」

     詰め寄るカカシにオビトが仰け反る。カカシは妖しく微笑んだまま、空いていた手でソファの上にあるオビトの指先に触れた。

    「これから毎日、告白するから。お前の返事を楽しみにしてるよ」

     空間を埋めるように手のひらを合わせ、指同士を絡める。強張っていた二人の指先はお互いの熱を食らい、じわりと汗ばんでいた。
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