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    tamu_999

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    マフィ始祖とはとちゃんの日常

    「え?はとが?」

    アジトに帰宅して早々部下から伝えられたのは、
    はとが起きて待っているという報告だった。

    時刻はてっぺんをとうに過ぎている。普段のはとならばとっくに夢の中だ。

    足早に自室に戻ると、大きな二人がけのソファの上にはとがクッションを抱きしめ、アーム部分にもたれ掛かるように座っていた。否、ほぼ寝転んでいた。

    見れば寝ているようにしか見えなかったが、ドアが開いた音でわずかに意識が覚醒したのか、閉じそうになるまぶたを懸命に持ち上げて、顔だけこちらに向けた。

    「はと」
    「ん……と…」

    はとと視線を合わせるように膝をつくと、短い腕をこちらに伸ばしてきたので、
    届くように体を寄せると、ぎゅうと抱きついてきた。

    「つばめ…つばめが……」

    なるほど、つばめになにか言われたらしい。
    詳細はわからないがその一言で大体のことは理解が出来た。
    本人は懸命になにかを伝えようとしてくれているが、朦朧とした意識のままでは何を言っているかよくわからない。

    「わかったから、もう眠ろう」
    抱き上げると、体は眠気ですっかり温まっている。子供体温というやつだ。
    「ここでねる…」
    「わかった」
    ここ、というのはおそらく俺の部屋で寝る。ということだろう。
    違ったとしてもこれだけ意識が朦朧としているのだからおそらく明日には覚えていない。
    そんなことを考えながらベッドに寝かすと、はとは再び何かを思い出したかのようにこちらに向き、口を開いた。

    「おかえり」

    「…ただいま」

    そう返すと、はとは何かをやりとげたように満足そうに微笑んで夢の中へ旅立った。


    ***

    後日、つばめになにを言ったのかと訪ねてみると俺が帰ってくる時間まで起きていられないのではないかと言ったら出来ると反論してきたので、それを実行したのではないかということだった。

    こちらとしては俺が帰宅するまで起きていろと言うつもりは毛頭ないのだが、


    『おかえり』


    本人がそうしたいというのなら、好きにさせようと思う。



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    koyubikitta

    DOODLE一緒にいても何とも思わないけど一緒にいなかったらなんとなく不安になる夜帳と比鷺
    #お題ガチャ #男ふたりの色んなシーン https://odaibako.net/gacha/1739?share=tw

    早野の夜鷺さんへ贈るタイトルお題は、『書を捨てよ、此処を発とう』 です。
    #shindanmaker #同人タイトルお題ったー
    https://shindanmaker.com/566033
     浪磯の部屋を引き払って別の部屋を借りる予定だと聞いたのは、その部屋を明け渡すほんの数日前の事だった。というかつまり、今日初めて知った。
     萬燈夜帳が契約している部屋はいくつか存在しており、浪磯にあるマンションの一室もそうだった。バルコニーから海が見えるその部屋に、比鷺は何度か足を運んだ。山ほど本やCDがあるんだろうと思ったが、それほど物はなかった。当然だ。彼の自宅は別にあるのだから。広くてシンプルなのに殺風景ではない、趣味の良い部屋だと思った。
     良い風じゃん、日当たりも良さそう、トマトでも育てれば? なんていい加減なことを言いながら不思議な気分になったのをよく覚えている。出会ったばかりの頃はずっと萬燈に怯えていた。今は……今はどうだろう? 怯えたって仕方がない相手だとは思う。怖い部分もあるし、可愛い部分もある。人間らしいな、と思うときも人間らしくないな、と思うときもある。まあだから、つまり、慣れたんだろう。慣れた比鷺はふかふかのソファに寝そべってテレビで洋画を見たりもした。自分が介入できない映像を二時間も見続けるのは大変だな、と思って、次はあまり使ってないゲーム機を持ち込んだ。萬燈と対戦して、勝ったり負けたりする。……まあ、トータルでは俺が勝ったけどね。
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