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    はるしき

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    はるしき

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    落涙(フウモク)

    自主練。
    『モクマが泣いている姿を一度も見たことがないので、いつか俺が原因になって泣けばいいのにとちょっと思うフウガ』
    #お題ガチャ #攻めが片想い気味ガチャ

    ##フウモク

    また、モクマは逃げた。
    どこへ逃げた、など探す気も失せた。
    駒共は私に媚び諂い、モクマなど弱虫だ、モクマは逃げ足だけは速い、など姦しい。
    モクマは私に背を向けること無く、いつも忽然と、その場に初めから居なかったように、消える。
    それがやけに腹立たしい。
    奴は私の姿を察した瞬間、消える。
    なんといじらしいことか。あぁ、憎い。貴様が憎い。
    捕まえようにも消えてしまう貴様が、憎い。
    モクマ。
    モクマ。
    モクマ。
    いずれ貴様をこの手で捕まえて。
    傅かせ。
    フウガ様、と呼ばせ。
    その目に涙を流させ。
    忠誠を誓わせてやる。
    私や駒共に何をされても泣かずに逃げるお前を。
    この手で、私が、必ず!




    「……」
    大樹の上に、モクマは一人。
    その木は大きく枝を伸ばし、モクマをすっぽり自らの内に取り込んでしまう。
    モクマは枝葉の陰に隠れるように身をかがめ、幹の皺を撫でる。
    「俺は、お前が分からないよ」
    フウガ。
    ぽつりと呟いたモクマの声は、微かに震えていた。
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    #お題ガチャ #同棲カプのゆるい話
    (栗ご飯@にほさに) 夏が終わった。
     南国の海の写真が載ったカレンダーを、慎重に破れば月が変わる。新しい写真はイチョウ並木が綺麗な写真だった。未だ暑さが伴うものの、暦の上では既に秋。スーパーでも果実の種類が増えて来ている。今まで店頭に鎮座していた西瓜は成りを潜め、梨、桃、葡萄に無花果が立ち並ぶようになった。茸の種類も増えた。旬を迎えようとしている茸たちは、徐々に売り場を占拠し始めている。
     秋。一年で最も実りのある季節。
     あぁ、今年も来てしまったと言わざるを得ない。大きく溜め息を溢した後ろで、恋人が笑っている。

     同棲をし始め、互いに料理をするようになり、私よりもちょっぴり――いや、かなり料理が得意な恋人が、いつの間にか冷蔵庫の管理をするようになるまでには時間がかからなかった。それはいい。それはいいのだ。誰だって美味しいものを食べたい。料理の腕前に自信がある訳でもなかったから、彼が台所の主になるのは賛成だ。それはいい。それはいいのだ。
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