事後 意図せず漏れた溜息に、傍らのその人が顔を上げた。
「どうかしたのか?」
「別に、どうもしていないよ」
長義は再び溜息をついて目を閉じた。
「そろそろ起きないと遅刻するぞ」
「起きれないんだよ……」
眠そうな声が隣から聞こえる。
「具合でも悪いのか?」
じっ、と国広は長義の顔を覗き込み、首筋に指を当てた。
「熱はないが、脈拍は安静時にしては少し速いな。他に症状は?」
「腰が痛い……」
「腰痛か。それなら湿布を用意しよう。いつから痛みがある?」
「昨晩から。でも、原因はわかる」
「原因?」
「お前だよ。一晩で何回俺とヤッたと思ってるんだ……。お陰で寝不足だし腰が痛い。激しすぎる」
「そうか? 俺は平気なんだが」
国広はベッドを出た。
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