ねことわがままねことわがまま
「……猫?」
にゃぁ、と細い声が鳴った。霊幻はスーツが汚れるのを一瞬躊躇ったが、犬派とはいえ猫だって可愛い。可愛がってやろうとその場にしゃがみこむ。
「はは、人馴れしてんなお前。どこの子だ?」
わしゃわしゃと猫を撫で回す。嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らす猫の姿を見て、俺もこうなれたら、と少し考えてしまう。
それは、恋人であるエクボとの事だ。
「……お前さん何してんだ。」
「あ?エクボか。」
今俺はこの悪霊と恋人関係にある。どうしてこうなったか、考えてみても奇跡としか言いようがない。だってそうだろう、悪霊を自称しておいて面倒見が良く大人なエクボと、画して薄っぺらい言葉ばかり並べ、本心を隠す子供っぽい自分。
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