8月2日のくりへし(再
「…なんだそれは」
夕暮れの近侍室にぴるぴると揺れる煤色の長い耳とカソックからはみ出たもふもふの丸い尻尾。
「コレか、コレはな、」
ふふんと得意気な恋刀。
「主がな、昨日な、明日はウサギの日だからと俺にくださったのだ」
報告書を握りつぶし絶句している俺に得意げに語る。
「完璧なウサギ姿を主に見せようと思うのだが、」
しかし、と小首を傾ける。
「ウサギはどのように鳴くのか、わん、は犬だろ?猫はにゃー?にゃん?ウサギは?知ってるか?」
コテン、と頬を染め小首を傾げる。
「……ブッ」
「え、」
「……ブッブッだ。」
「なるほど!助かっ、」
言い終える前に景色は天井になり畳に転がされる。長谷部の耳に触れる柔らかな熱と低音。
「発情期の、な」