叔父甥の平和な朝
眉間に皺を寄せ動かない叔父。向かいに座ると「どういう意味だろうか」と自分のスマホを見せてきた。
『どすけべ診断結果♡満点♡ あなたにピッタリな職業はAV男優』
「は?」
なんの診断してるんだ、ツッコミどころが有りすぎて言葉に詰まる。
叔父は更に深刻に頷き、「スクロールしてみてくれ」
『ただ、本当のあなたはとても純粋無垢。
変態度 0% あなたの心の中にスケベの悪魔は1人もいません。純粋無垢の体現者。透明で明るいあなたは、まさか、天使??』
「は?」
「どういう意味だろうか」
休日の朝から難しい顔してる原因がくだらなすぎる叔父と付き合ってあげる甥っ子なのでした。
叔父甥食事事情
集中してしまうと食事を忘れてしまう長谷部。
今晩もすっかり忘れてしまい広光に呼び出される。何度目かのノックに振り返れば不機嫌さを隠そうもせず腕を組みドアにもたれ掛かる甥っ子。
「長谷部、飯」
いつもなら素直に従うのに今日に限ってなんとなく言い返してしまった。
「俺は飯ではない」
ドロリ、一瞬で変わる空気。
「は?長谷部は飯だが?」
いつの間にか両肩をベッドに縫い留められていた長谷部。目前には涎を滴らせた広光の口。ポタリ、ポタリと涎が長谷部の頬を濡らしパカリと赤く大きく開いた口に、、、
コンコン、
「長谷部」
控えめなノックの音と静かな甥っ子の声。
「飯、」
「食べるぞ!いつもありがとう!さあ行こう!!」
キョトンとする広光の腕を掴みダイニングへ。
この日からご飯の時間には必ず部屋から出てくるようになりましたとさ。
無自覚ポンコツ叔父さんは、たまーーに狼の気配を感じる事が出来るのでした。
休日
ベランダで二人分のシーツを抱えた長谷部の視線の先には風に揺れるカーテンの影と洗濯物をたたむ甥っ子の背中。
見慣れた光景がこそばゆい。
ちょっと前まで俺の腕の中にすっぽり収まっていた背中。
今は…。
背後からシーツ越しに抱きしめる。
「これはキャラメルバター広光かチョコバナナ広光か?」
ちょっとしたイタズラだったのに。
「…確かめればいい」
次の瞬間にはシーツがふわりと長谷部を包み込んだ。長谷部の視界は白に染まり片方の耳にトクトクと振動が伝わる。
リビングで洗いたてのシーツに包まる二人。黄昏色のメープルシロップがたっぷりかかった甘い甘いクレープができあがった。
まだ恋人の関係に慣れない叔父さんからの精一杯のスキンシップ。