ファイ穹(ねんどろ)設定色々不明 ふわっと読んでください「んーー・・え、何・・?」
ファイノンが目覚めると、拳くらいの大きさで小人のような小さい生き物が目の前にいた。
『きゅう・・』
その小人は彼にとっての愛しい恋人ーー穹の名を口にし、寂しそうな表情を浮かべたのだった。
「おはよう、丹恒。ねぇ、起きたら奇妙な生き物?が居たんだけど、何かしらないかい?」
ファイノンの指し示す奇妙な生き物ーーそれは彼の頭部に座り込んでおり、寂し気な表情を浮かべてポツリと言った。
『きゅう・・』
「しかも何故かずっと穹の名前を呼んでるみたいなんだ・・」
「・・・小さいな・・。これはお前か?」
「え?」
「見た目はお前にそっくりだろう」
「えっ、これが・・!?あ、イタタタっ・・髪の毛引っ張らないで!」
ファイノンが驚いた拍子に、小さいファイノンはバランスを崩したのか、彼のチャームポイント(本人曰く)である毛を引っ張り落ちない様に必死に耐えていた。
「お前と同じように、こいつも穹が恋しいんだろう」
「えぇ・・僕はこんなに穹穹言わないよ・・」
ファイノンは胡乱げな眼差しを丹恒に向けてるが、丹恒は自覚無いのか・・と内心呆れていた。
「お~い、ファイノン。なんか面白いものがあるって丹恒から聞いたんだけど」
ファイノンが小人ーもとい、小さいファイノンをどうするか思案していると、背後から声がかかる。
「穹ー・・!」
彼がぱっと振り返った瞬間、頭部に居座っていた小さいファイノンは穹を見やると顔を輝かせた。
『きゅう~!』
小さいファイノンは何処からともなく背中の翼をパッと広げると、パタパタと穹の元へと飛んで行った。
「うわっ、なんだこれ・・!?」
穹が驚いている間に、小さいファイノンは穹の頬にピタリとくっつくと、嬉しそうにすりすりと頬を寄せている。
「あははっ、擽ったいって・・。何こいつ・・?ちっこい、ファイノン?」
穹は小さいファイノンを両手でそっと包み込むと、それを眼前にやりまじまじと見つめていた。
穹の視線を受け、彼の掌に納まる小さいファイノンはとても嬉しそうに彼を見つめ返していた。
「さぁ・・?丹恒が言うにはそうらしいけど・・・」
「ふーん。なぁ、お前ファイノンなのか?」
穹が小さいファイノンに尋ねると、それは満面の笑みで彼に答えた。
『ぼく、ふぁいのん!』
ファイノンは悶々とした気持ちで、目の前の光景にただ視線を送っていた。
それは、穹が小さいファイノンに「はい、あーん♡」と食事を与えている光景だ。
ちなみに、ファイノンは「はい、これお前の分な」と皿を置かれてからは放置されっぱなしだった。
「美味しいか?ちびファイノン」
『うん!』
「あはは。素直で可愛いなぁ、お前」
穹は柔らかな笑顔を浮かべ、小さいファイノンの頬をつんつんと突いていた。
小さいファイノンは構って貰えて嬉しいのだろう、照れくさそうに喜んでいる。
それを目の当たりにし、ファイノンの気持ちは急降下するばかりだ。
「僕はあーん♡なんて、されたこと無いのに・・・」
思わず口に出てしまったが致し方ない。
大好きな恋人は、自分をそっちのけで得体のしれないものに無我夢中なのだから。
夜ーー・・
「んっ・・ぁ・・ちょっと、待って・・」
穹と二人ベッドへと入り、放置されて寂しかった分を取り戻そうと、ファイノンは彼に触れキスをしていたのだがーー・・。
『きゅう~きゅう~・・』
二人の頭上でパタパタと翼をはためかせ旋回している小人ーーちびファイノンが寂し気に穹の名を呼んでいたのだ。
「ーー・・鬱陶しいな・・」
ぼそりと呟いたファイノンの声には怒気が混じっていた。
一日中大好きな穹を占領されてしまったのだ、無理もない。
だが、穹はそう思わなかったようだ。
「こんなに可愛いのに、酷いこと言うなよ!もう、どけったら!」
「あっ・・」
覆いかぶさっていたファイノンを無理やり退かせると、穹は頭上に手を伸ばした。
「ちびファイノンごめんな。ほら、こっちおいで」
『きゅう~』
ちびファイノンは顔を綻ばせ穹の掌の中に納まった。
「放っておいてごめんな。お前も俺と一緒に寝るか?」
『うん!』
ちびファイノンの返事を受け取ると、穹は大切そうにそっと枕元へ彼を寝かせた。
「潰さない様に気を付けないとな」
「穹・・」
ファイノンが穹の背に手を伸ばしたのだがー・・。
ちびファイノンが居るんだから、変な事するなよ!と牽制されてしまうのだった。
数日後ーーちびファイノンに続き、なんと、ちび穹も登場したのだった。
「うわ、今度はちっさい・・俺?あ、でもこれってーー・・」
穹はちび穹を掌に収めると、ちびファイノンの元へと向かった。
「お~い、ちびファイノン!お前の仲間を連れてきたぞ~!」
穹は喜々としてファイノンの部屋の扉を開けた。
すると、ちびファイノンは見たことも無いくらい瞳を輝かせると、一目散に掌の中のちび穹の元へと飛びついたのだった。
『きゅう~!きゅう~!』
『うわっ・・ふぁいのん』
穹の掌の中で、ちび達は可愛らしくじゃれ合っていた。
「あはは、良かった。ちびファイノン嬉しそうだな」
穹はそっと二人をテーブルの上へと降ろす。
すると、背後からファイノンが近づいて来た。
「穹。それって、小さい君・・?」
「そう、朝起きたら目の前にいてさ。それで、仲間が出来たってちびファイノンが喜ぶかと思って連れてきたんだ」
「へぇーそうなんだ」
頬を寄せ合い仲睦まじく触れ合う可愛らしいちび達を、二人は温かい目で見ていた。
しかし、彼らの触れ合いは徐々に熱いものへと変わっていきーー・・。
『ぁっ・・ふぁいのん♡・・ぁんっ・・♡』
『きゅう・・♡きゅう・・♡』
すっかり二人の世界に入ってしまったちび達。
それを形容しがたい気持ちで目にしながら穹は思った。
どんなに愛くるしい姿になったとしても、ファイノンはファイノンなのだと。
そして、不穏な気配を察知したため、ここから立ち去る事を試みた。
「あー・・俺、用があるからーー・・」
しかし悲しいかな、言葉は途中で遮られてしまう。
逃さないと、それはそれはとても強く、肩を掴まれたからである。
指が若干食い込んでいる気がするーー・・少々痛みを感じながらも、穹は恐る恐る背後のファイノンを振り返った。
「ふふ、彼らがこんなに愛し合っているのに、僕達が負けるはずないだろう?ねぇ、相棒♡」
いや、一体何の勝負だよそんなのどうでもいいだろーーと言いたかったのだが。
有無を言わせない笑顔の圧力に、穹は口元がひくついた。
彼はベッドへ拉致され、抵抗も虚しく衣服をひん剥かれてしまうーー怖いくらいの笑顔を浮かべるファイノンの手によって。
ファイノンは数日間放置された鬱憤と寂しさを晴らすため、穹を思う存分占領するのであった。
数刻後ーー
すっきり顔のファイノンとちびファイノンに、ぐったりとした穹とちび穹が居たのは言うまでもないだろう。
Fin.
ちび達のセリフは『』にしてます。単語で話すくらいかなぁのイメージで^^