Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    0307_mhyk

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 20

    0307_mhyk

    ☆quiet follow

    2部後、ネロとシノのお話。(2人の間に恋愛感情はないです)筆者がブラネロ脳の人間なので匂わせがあるかもしれません。

    #魔法使いの約束
    theWizardsPromise
    #ネロ・ターナー
    neroTurner
    #シノ
    chino

    真夜中の訪客 ドアをノックする音が聞こえる。
    「いいぜ、入ってこいよ」
    真夜中にネロの部屋を訪れたのはシノだった。

    「…」
    「どうした、小腹でも空いたのか」
    部屋に入っても何も話そうとしないシノに問いかけると、首を横に振った。

    「…怪我、治って良かった」

    シノはゆっくりネロに近づくと、背中に手を回した。


    「怖かった。こんな怪我…二度としないでくれ」

    彼らしくない、震えた声が聞こえた。顔は見えないが、今にも泣きそうな表情をしているのだろう。

    「お前の自分を卑下する癖はヒースに似ている。どうせ、自分には価値がないとか思っているんだろ」
    「お前はお前が思っているよりも、愛されている。ヒースやファウストだって、ネロのことが好きだ。……勿論、オレも」

    「だから、もっと自分を大事にしろ。大切な人が傷つく姿なんて、見たくない」
    『大切な人』。シノの言葉に、くすぐったい気持ちになる。
    けれど、素直に受け止められない。

    「…俺は、俺の作った料理を美味そうに食べてくれたら、それで十分なんだ」
    「俺自身に価値があるような言い方をするのはやめてくれ。…勘違いしそうになる」

     人には到底言えないような悪いことを散々してきた。大切だったはずの人を裏切ったくせに、過去を捨てきれない。醜い過去を背負いながら、魔法舎の新しい仲間と信頼を築こうとしている。そんな自分のことを許すわけにはいかなかった。

    「ネロがそう思うなら、今はそれでいい」
    「…」

    「…オレは、絶対にネロを否定したりしない。たとえネロが自分のことを嫌いでも、オレが『大好き』『ありがとう』って、たくさん伝えたい。いつか、未来のお前が、今のお前を馬鹿らしいと思うくらいには」
    「だからネロも、『ネロ』として接してほしい。オレは、『ネロ』が好きなんだ」

     シノの真っ直ぐな言葉に胸が暖かくなる。自分を好きになれなくても、自分を認めてくれる人がいるだけで、少しだけ心が軽くなった気がする。

    「…ありがとう、シノ」
    「ふふん、どういたしまして」

     俺も彼自身に、たくさん温かい言葉を掛けよう。

     そう決めた、夜だった。




     

     
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works