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    horizon1222

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    horizon1222

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    一日うんうん悩んでたけど上手いこと繋げられそうにないので半端だけどあげます

    キスディノ/キースのキースが元気な話

     ディノが復帰してからというものの、キースを取り巻く環境は向上していた。ウェストのメンターが二人になったことで、最初は少し戸惑いもあったジュニアやフェイスもやや落ち着いたような気がする。元々四人で行うことを想定されているからパトロールやLOMの準備もやりやすくなった。
     キース自身も精神的にかなり落ち着いた。タバコの本数も少しだが減ったし、前のように飲み歩いてその辺の路地で潰れることや、浴びるように飲んで次の日に二日酔いで動けなくなっていることも殆どなくなった。飲酒量が減ったことに伴って、体の調子もいつもどこかしら具合が悪かったのがだいぶよくなった。総合的に、キースの体は心身共に健やかになったといえるだろう。



     「キース、キース! そろそろ起きろよー」
     ぼんやりと睡眠から覚めつつあった意識が、同室の相方の声で急速に浮上する。時間だ、というのは分かってはいるがどうにもベッドから出る気にはならない。
     「ん~……ん、あと、一時間……」
     「コラ、いいわけないだろ」
     もう!という声と共に、痺れを切らしたらしいディノがシーツをめくった。
    「さむ……おいディノぉ……ちゃんとシーツめくったら戻せよ……」
    「寒くしてるんだから当然だろ! 開けたドアは閉めるみたいな言い方するなよ」
     身体を包んでいた温かい空気が外気に晒されて、ぶるりと背筋が震える。ベッドの脇に立っているディノの視線から逃れるようにキースはもぞもぞと背を丸めた。
     「ごふん……五分経ったら、ちゃんときがえてそっちいく……」
     ディノはしばらく黙っていたが、苦笑したような声で約束だからな、と言い残して出ていった。気配でそれを察したキースは、おもむろに身体を起こす。
     「あっぶな……」
     ガシガシと頭をかく。目はとっくに覚めていたのだが、ディノの前で起きる訳にはいかなかった。
     「おー……今日も元気だな……」
     寝間着の下から主張する股間。ここ最近、キースのキースはやたらめったら元気だった。というか、それ以前が元気がなさすぎたのだ。精神的にも追い詰められていたし、肉体的にも不摂生なことばかりしていたので当然だが、年齢を考えればまだ枯れるような歳ではない。
     (……めんどくさ)
     枯れるような歳ではないが、オナニーを覚えたての思春期でもない。いちいち生理現象に付き合っていたらキリがないので適当にやり過ごしている。朝の準備をしていたら治まるというのはわかっていたので、これまでもそうしていた。ただ、
     (やっぱディノがいるとやりづれぇな~……)
     長い付き合い、同性なのでもちろんわかってはくれるだろうが、わざわざ起こしてくれる友人に朝から元気な下半身を見せつけるのもなかなかしんどいものがある。ディノより早く起きればいい話なのだが、わざわざその為に朝の幸福な一時を削るのはつらいものがある。
     しかも困ったことに、最近のそれはなかなか治まってくれないのだ。いや、放っておけばさすがに平常時のサイズには戻るが、時間はかかるしやたらめったらみなぎっているのだった。
     (やべ、そろそろマジで着替えねぇと……)
     キースは起き上がった格好のままぼんやりしていたが、時計の針と、ようやくやや落ち着きを取り戻した股間をみて、ようやくベッドから下りた。



     一人の時間というのは大切だ。隣のスペースががらんと空いていた頃は物悲しさを感じたこともあったが、今となってはその余白が恋しい時もある。
     けれども、ディノがいなかったらとか、距離をとりたいとかそういう考えは当たり前のようにキースの頭にはなかった。現在の共同生活を強いられてる仕事上無理だというのもあるが、自分の空白はディノによって埋められているという自覚はあったから、共同生活の不便さと相殺してもディノが生きて隣に戻ってきてくれたという現状はお釣りが大きすぎるほどある。
     夜、共用スペースでビールをあおりながら、キースはぼんやりとそんなことを考えていた。
     終業後、フェイスはクラブへ、ジュニアはライブハウスへ、そしてディノはノヴァ博士の元へ定期健診に、とそれぞれの理由で不在にしていた。ここのところ誰かしらは共用スペースにいたから、こんな風に広い部屋で一人きりでいるのは久しぶりだ。
     手慰みに、手元のスマホで特に見たくもない動画サイトを巡りながらビールを飲み干す。まだ冷蔵庫にストックがあったはずだと追加を能力で持ってこようかと思ったが、また明日も朝からパトロールだしな、と思い直してやめた。
     ほろ酔い程度の頭で考えるのは、明日の朝のこと。またガッチガチになってしまったらどうしたものか。ディノに対する恥ずかしさやもし見せつけるようなことになったら申し訳ない、という気持ちもあるが、とにかく面倒だ。朝の貴重な時間、一分でも多く睡眠に割きたいというのに。
     (……朝抜いてる暇がないんなら、今のうちにやっときゃいいんじゃねぇの?)
     いわゆる溜まっている状態と朝に元気なのに因果関係はないと聞くが、それはそれとして試しておいて損は無いだろう。キースがグダグダ思考で自分の股間に手を伸ばしたその時――
     「ただいまぁ~!」
     健診とやらを終えたディノが元気よく部屋に戻ってきた。
     (あ、あっぶねー……)
     冷静に考えれば住人不在とはいえ共有スペースで自慰をしようというのが非常識な行為なのだが、キースは平静を装い挨拶を返す。ディノはそんなキースの内心には全く気づかず、ソファーの隣のスペースに腰掛けた。
     「おっキース、飲んでるのか? 俺にも少しちょうだい!」
     「いーけど……冷蔵庫に冷えてるのがあるから、勝手に持ってけよ。俺はもうお開き」
     そうなのか?とテーブルに転がるビール缶とキースを見比べたディノは、目を見開く。普段ならこの倍は飲んでいるだろうに、とでも言いたげな顔だ。
     「我慢してるのか? それとも、どっか具合悪いとか?」
     「あー……まあ、そんなとこだ。明日もパトロールだしよ」
     まさか今から自慰をしようと思っていたとは言えず、適当に濁す。そっかぁ、えらいなキース。と隣で膝を立てて座ったディノがにひひ、と笑いかけてきた。
     この笑顔。共同生活でどんな不便を強いられようと、これだけで全てが帳消しになる。四年間の行き場のない苦しさを思えば、今キースが感じている窮屈さなんて屁でもない、と思えた。
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    Replies from the creator

    horizon1222

    DONEモブ女は見た!!新婚さんなあのヒーロー達!!
    という感じの(どんな感じ?)薄~いカプ未満の話です。一応キスディノ
    ディノにお迎えにきてほしくなって書いたよろよろとモノレールに乗り込み、座席に座ったところで私はようやく一息をついた。
    月末。金曜日。トドメに怒涛の繁忙期。しかしなんとか積み上がった仕事にケリをつけられた。明日の休みはもう何がなんでも絶対に昼まで寝るぞ、そんな意識で最後の力を振り絞りなんとか帰路についている。
    (あ~色々溜まってる……)
    スマホのディスプレイに表示されているメッセージアプリの通知を機械的に開いてチェックし、しかし私の指はメッセージの返信ボタンではなくSNSのアイコンをタップしていた。エリオス∞チャンネル、HELIOSに所属のヒーロー達が発信している投稿を追う。
    (しばらく見てなかったうちに、投稿増えてるな~)
    推しという程明確に誰かを応援しているわけでないし、それほど熱心に追っているわけではない。それでも強いて言うなら、ウエストセクター担当の研修チーム箱推し。イエローウエストは学生の頃しょっちゅう遊びに行っていた街だからという、浅い身内贔屓だ。ウエストセクターのメンター二人は私と同い年で、ヒーローとしてデビューした頃から見知っていたからなんとなく親近感があった。
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