【玲夜】深夜2時夜。病室の天井には、ぼんやりとした非常灯の光が滲んでいた。
玲夜は仰向けのままスマホを開くと、時計の表示は午前2時を過ぎていた。
SNSを開き、タイムラインを無言で流していく。
楽しそうな声。騒がしい映像。祭り、喧嘩、誰かの恋人とのツーショット。
確かに今起きていることばかりのはずなのに、どれも遠い映画の一場面のように感じられた。
自分には関係のない出来事。
生きている世界が違う。
そう思うのは、きっとずっと外に出ていないから。
でも、ほんとうにそれだけだろうか。
楽しそうな写真。誰かの独り言。様々な知らない誰かの投稿。
その内容は玲夜にとっては遠い世界の営みで、なぜかそれが羨ましかった。
──ぼくも、なにか投稿しようかな。
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