桜の下で、君と春の穏やかな午後、シャリアとエグザベは満開の桜並木をゆっくりと歩いていた。
戦場から離れたこのひとときは、二人にとって貴重な安らぎの時間だった。
「⋯桜、綺麗ですね⋯中佐に似合います」
エグザベがふと立ち止まり、桜の花びらが舞い落ちる中でシャリアを見つめた。シャリアは少し驚いた様子で微笑む。
「そう⋯ですか?何だか恥ずかしいですね」
エグザベは優しく微笑みながら続ける。
「フフ、似合いますよ。確か桜って種類によって花言葉が違うんですよね、『精神の美』『優れた美人』『しとやか』『優美』『ごまかし』⋯⋯僕も随分と誤魔化したりはぐらかされたりしました、中佐に」
シャリアは少し首をかしげながら答える。
「おや?そうでしたか?」
エグザベは軽くため息をつき、シャリアの目を見つめる。
「そういうところですよ」
シャリアは微笑みながら、桜の枝を見上げる。
「それと『あなたに微笑む』『美しい心』『純潔』でしたね、君らしいですね」
エグザベは頬を赤らめながら、視線を逸らす。
「僕らしい⋯ですか」
シャリアは優しく頷く。
「ええ」
エグザベはさらに顔を赤くし、少し戸惑いながら言う。
「って純潔はやめてください!⋯⋯確かに初めては貴方でしたけど⋯」
シャリアはその反応を楽しむかのように微笑む。
「フフ⋯⋯あの時の君は可愛らしかったですねぇ」
エグザベは恥ずかしさのあまり、顔を両手で覆う。
「うっ⋯⋯中佐ぁ⋯⋯」
シャリアは優しくエグザベの手を取り、そっと顔から離す。
そして、彼の目を真剣に見つめながら言う。
「エグザベ君⋯⋯君とこうして穏やかな時間を過ごせることが、私にとってどれほど幸せなことか⋯」
エグザベはシャリアの言葉に驚き、しかしその真摯な眼差しに心が温かくなるのを感じた。
彼は静かに頷き、シャリアの手を握り返す。
「僕もです、中佐。貴方といると、戦場のことも、すべて忘れられる気がします」
シャリアは微笑みながら、エグザベの頬に手を添える。
その手の温もりに、エグザベは目を閉じ、安心感に包まれる。
シャリアはゆっくりと顔を近づけ、エグザベの唇に優しく触れるようにキスをした。
桜の花びらが二人の周りを舞い落ちる中、時間が止まったかのような甘美な瞬間が流れる。
エグザベはシャリアの背中に腕を回し、キスに応える。
二人の心が一つになるような、深く、そして甘いキスだった。
やがて唇を離し、シャリアはエグザベの額にそっと自分の額を寄せる。二人の呼吸が重なり、互いの存在を確かめ合う。
「⋯⋯来年もまた一緒に見に行きませんか?」
エグザベが静かに問いかける。
「⋯⋯いいですね、是非見に行きましょう」
シャリアは優しく微笑みながら答えた。
二人は再び手を取り合い、桜並木をゆっくりと歩き始める。
その背中を、春の暖かな陽射しと舞い散る桜の花びらが優しく包み込んでいた。
-END-