朝食を御一緒しませんか ドーム越しの〈朝日〉は、薄灰色の空をぼんやりと照らしていた。窓は密閉され、空調ユニットが低く唸りをあげる。かつて「大気」と呼ばれていたものは、有毒なガスに取って代わられている。
イーグルは遮蔽ガラスの内側、静寂の中で一人、人工皮革のソファに、くてりと横になっていた。呼吸は浅く、体温は低めだ。精神エネルギーを送る治療装置は今日も起動しっぱなしだった。
扉が無音で開く。静音機能が作動しているのは、部屋主の病状への配慮だった。
「おはようさん、イーグル。精神エネルギー値はお前としては正常。体温も昨日より少し上がってる」
声の主はジェオ。ラフな深緑色の服の上から、袈裟懸けに黒いベルトを通し、片手でカートを操作していた。カートの上には銀色のトレイと、熱伝導素材でできた二つのマグカップ。
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