本当の強さ「マグニスさま! ご報告です……っ!?」
急げ急げ、急いで報告しないと。マグニスさまの執務室に飛び込んだ俺は、思わず急停止してしまった。だって、マグニスさまが、まさか、
「どうした?」
執務室の机には、数冊の本。そしてマグニスさまの手にも本。ただ、ここから見えるそのタイトルの感じ、どうも……数学の、本のように見える……マグニスさまが? 数学の本を? 全然そんなイメージないのだが。実はカバーだけ小難しい本で、取り繕っているだけとかじゃないだろうか?
「なんだ? 俺がこんな本を読むわけがないと思ったか?」
バレてる。どうしよう。処刑される。途端に冷や汗をだらだら流す俺を見て、マグニスさまは豪快にガハハと笑った。あ、機嫌がいいみたいだ。よかった。ということは本当にマグニスさまは読書が趣味だったのか……?
「まぁ、おまえがそう思うのもわからんでもない。だがよぉ」
マグニスさまはニヤッと笑い、自分の頭をとんとんと指で叩いた。
「本当の強さってヤツは、ここも使うんだよ。よーく覚えておけよ?」
やっぱり、マグニスさまも五聖刃なのだ。力だけでのし上がったと思っていたけど、頭もいいんだなぁ。……あ。しまった。報告があったんだった。でもこれ、いま言ったら絶対マズいんだよな、でも言わないともっとマズいもんな。
「マグニスさま! ご報告です!」
覚悟を決めて、俺は叫んだ。
「レネゲードが潜入し、我らのエクスフィアを強奪した模様です!!」
途端にマグニスさまのマナが凄まじく膨れ上がった。ヤバい。やっぱり俺、だめかも……