最終話「あ~、くそっ」
苛立ったようにフリードはくしゃくしゃと髪をかき混ぜた。
明かりもつけず薄暗い部屋の中で目の前のモニターだけがフリードを照らしている。
そのモニターには「データ転送中」の表示が映し出されているが途中からほとんど進む事なく止まっているような状態だ。どうする事もできず、フリードはただため息をついた。
もう潮時だと思った。
記憶が戻っている事をスピネルに気づかれている気がする。直接的なことがあったわけではない。しかしその言葉から、視線から含まれているものを感じるのだ。
スピネルの方も確信が持てないだけなのか、それともただ泳がされているだけなのか。ともかく早くここから脱出した方がいいだろう。
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