誕生日おめでとう!「遊飛〜お風呂出来てるヨ〜。」
「わ、わかってるって…」
今日も今日とて仕事を終えたUTS。そんな会社兼家の中で遊飛は双子の妹・遊歩に引っ張られる形で風呂場へと向かっていく。
(元の時代に帰って来て、ユウディアスとも再開出来て、そこまでは良かったんだけど…)
(遊歩の距離がなんか近い!)
(通学中に手繋ぐどころか腕に抱きついてくるし、寝る時はベッドに入ってくるし、風呂だって前は一人ずつ入ってたのに…!)
再開してから更に距離が近くなったユウディアスに影響されたのか?と遊飛が考えている間に遊歩は服を脱ぎ始めていた。
「ほら、遊飛も早く〜」
「あ、あぁ…」
押されるがまま服を脱ぎ始めた遊飛だったが…
(やっぱ…二人で無言で服を脱いでるの、すげードキドキする…!)
沈黙に耐えきれず、遊飛が口を開く。
「そ、そういえばユウディアスは今日どうしたんだ?」
「ユウディアスはサビュアス達と一緒にエポックの所に行ってるヨ。早めに帰る予定だったけど、エポックがもっといて欲しいって言うから今日は泊まるって。」
「そ、そうか…」
そんなことを話す間に服を脱ぎ終わり二人は浴室へと入ったいった…
シャワーを浴びながらも、沈黙を回避するために遊飛は話を続けていく。
「…なぁ、やっぱり別々に入らないか?俺達もう中学生だぜ?前までは一人ずつ入ってたんだしさ…」
「ユウディアスに言われたでしョ?寂しいから三人で入りたいって。」
「でも、今日はユウディアスも居ないんだし…」
「それでも水道代の節約になるの。それに、昔はよく二人で入ってたって田崎さん言ってたヨ?」
「昔の話だろぉ…」
その後もなんとか話を続けた遊飛だったが、湯船に入った所で…
(…話題が切れた。話すこと思いつかねー…)
話題が無くなり、恐れていた沈黙の時間が来た。遊歩は向かい合うように湯船に浸かったままだ。何か話題がないかと遊飛が思考を巡らせていると…
「…ねえ遊飛。ちょっと話しておきたいことがあるんだ。」
「…え?あ、あぁ。」
「…私ネ。ユウディアスが帰って来て…改めて思った。自分がしてきたことが…なんてバカだったんだろうって。」
「…ダークマイスターのことか?」
遊飛の問いに遊歩が小さく頷く。
「みんなに迷惑かけたし、酷いことだって沢山してきた。…でも一番悪いと思ってるのは…遊飛とユウディアス、二人を置いてったことだヨ。」
「…え?」
「遊飛がオーティスになってた時と、ユウディアスが戦国時代に行ってた間。私、ずっと寂しかった。こんな気持ちを二人にもさせてたって思うと…」
遊歩の言葉を遮る形で遊飛が話す。
「…それは俺だって同じだ。オーティスになってた時、みんなにはすげー迷惑かけたし、遊歩とユウディアスにも寂しい思いをさせた。…お前一人だけが悪いわけじゃねーよ。」
「…ありがとう。優しいネ、遊飛は。」
「礼を言うならユウディアスにも、だぜ?」
「ふふっ、そうだネ…。…ねえ、遊飛?」
「ん?」
「私ネ、ユウディアスともそうだけど…遊飛とずっとずっと一緒にいたい。だから…」
そこまで言って遊歩が、遊飛に抱きついた。
「なっ…!」
「…約束して?私は、遊飛の側を離れないから…遊飛も、私の側から離れないで?」
一瞬の沈黙の後、遊飛は自分からも手を回して…
「…ああ、約束するよ。…俺は遊歩の側を離れない。これから先ずっとな。」
「…約束、だヨ。」
その後少しの間抱きあったのち……遊飛がふと思った。
(よくよく考えると、風呂で裸で抱き合ってるってかなりヤバい状況なんじゃ…)
考え始めると止まらなかった。
「お、おい遊歩!すぐ出るぞ!離せって!」
「…私はもっと深く抱き合ってもいいんだヨ?」
そう言いながら遊歩は遊飛の腰に足を絡めた。
「よくないって!ちょ、離せってえ!」
結局、遊歩を抱きかかえる形で遊飛は浴室をあとにするのだった…