矯正の話 iv→tl ――今日はティルと口を利いてない。
ガーデンの外で受けなければならないプログラムが重なっていたので、そう気づいたのは夜の自由時間になってからだった。気がついてしまうと放っておくことはできないもので、今更、きょろきょろとあたりを見回してみると……いた。ティルは今日も隅っこで一人、広げた紙に何か書き連ねている。
またがりがりと熱心そうだが、あいつ、夕食には手を出したんだろうか――そんなことが気になったのは、その背中を見つけたのが食堂の椅子じゃなくて、外の芝生の上だったからだ。まだ食事中の奴だっている時間なのに。
食べずに取っておいたパンをこっそりしまって、ティルの元へ向かう。だがいつも通り近寄ろうとして、気がついた。口を利いてないんじゃない。わざと、利いてもらえていないんじゃないのだろうか、と。たしか、昼食をとりに戻ってきたときもこうやって近づいたけれど、そのときに不自然に無視をされた。
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