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    フィガファウ冥婚企画(https://mhyk.web.fc2.com/meikon.html)で書いたお話です。
    レノックスと任務で東の国に行くファウストの話。
    任務についてがっつり書いて、恋愛要素は潜ませました。
    ああそういう事だったのね、という感想待ってます。

    #フィガファウ
    Figafau
    #冥婚

    赤い川を渡って そこに横たわっていたのは血のように赤い色をした川だった。
     流れがひどく緩慢なため、横に伸びた池のような印象がある。大地が傷つき、血を流した結果出来たのがこの川だという言い伝えがあってもおかしくは無いだろう。濁っているわけではなく、浅い川であることも手伝って川底の砂利まで視認出来た。尤も、生きた生物は視認出来なかったが。
     任務でこの地を訪れたファウストは、地獄を流れる川のようだと感想を持った。
    「きみは驚かないんだな」
    「見慣れた風景ですので……懐かしさすら覚えます」
     水質を調べようとファウストは手を翳したが、既に手遅れであることは誰の目にも明らかだ。オズくらいの魔力があれば力業で全ての水を入れ替えてしまえるのかもしれないが、正攻法であれば浄化になる。媒介は何が必要で、どのような術式で、とぶつぶつ呟きながら暫く考えていたが、少なくとも今打てる手はファウストには無い。
     この土地にいた筈の妖精の気配は既に無く、力を借りる事も出来なかった。ここまで汚染が進んでいる状況を見て見ぬ振りをすることに心を痛めた。
    「ファウスト様、そろそろ向かわないと日が暮れてしまいます」
     レノックスの声に顔を上げると、小さく頷いて返した。今回の目的は河川では無い。それを越えた先の墓地にあるのだから。

     二人が東の国の山中に足を運んだのは、例に違わず賢者の魔法使い宛てに届いた依頼のためだった。
     依頼内容を簡潔に説明すると、『墓場から死体が盗まれる事件が多発している。原因を突き止めて欲しい』というものだ。
     賢者の魔法使いがすべき依頼なのかは疑問だが、中央の国で行われた月の召喚術を彷彿とさせる内容だったため無視も出来ない。誰にお願いすべきか頭を悩ませていた賢者に助け船を出したのがファウストである。本人曰く「東の国で墓場の任務ときたら、僕しか適任はいない」との理由で。レノックスが同行することを申し出たため、賢者はほっと胸を撫で下ろした。
     まさかファウストをひとりで行かせる事は出来ない。

     事前に用意された地図を広げながら、ファウストは唸った。
    「近隣の墓地からも遺体が消えているとなれば、単独犯では無いな。それにこれは人間の仕業だ」
     印をつけておいた墓地を一通り見て回った後、そう結論付けた。
     魔法使いの仕事にしてはあまりにも雑過ぎる。証拠隠滅どころか、掘り起こした棺は蓋が開いたまま放置されていた。埋める手間を惜しんだに違い無い。即日所業が明るみに出ても良いと言わんばかりの大胆な犯行は組織ぐるみだ。
     妙なのは共に納められた副葬品は見向きもされていない点だ。通常盗人であれば真っ先に手が伸びる筈の宝飾品はそのままだった。つまり死体はそれよりも価値があるという事だ。
    「盗まれたのはどれも妙齢の女性の遺体だったとの事です。それも死後一年以内のものを選んでいるようですね」
     一年も経てば体の一部は白骨化してしまうし、殆どは腐乱死体になっていた筈だ。出来る限り原形を留めるならば棺のまま運び出す他ないが、それだと嵩張ってしまう。つまり盗人は状態の保全よりも数を優先したという事だ。
     この墓場の荒らされ様では、とてもじゃないが丁寧な扱いなどしてはいないだろう。死者を冒涜する行いにファウストは無言で眉間に皺を作る。
    「俺に考えがあります。明日、川の上流へと向かってもよろしいでしょうか」
     レノックスがそのように言い出すのは滅多にある事では無い。あるとすれば、確信している時だとファウストは理解している。反対する理由など無く、言葉少ない彼を信じることにした。

     出発は早朝だった。日の出の後間も無く宿を出て、二人は山を登り始めた。レノックスは目的地を告げなかった。場所がはっきりしているというよりも、条件に適合する場所を探していたためだ。煙を見付けるとそこに立ち寄り情報収集をした。話を横で聴いていればファウストも何を探しているのかはおのずと検討がつく。黙々と赤い川沿いに山を登り続けた。
     そして辿り着いたのが、石炭を採掘する坑道の入口だった。
     積まれた砂や砂利の山を背景に煙草をふかしている男がいる。怒号を発しているのを見るに採掘場の責任者なのだろう。その男にレノックスは「休憩中の所悪いのだが」と声をかけた。
    「この近くで競りが行われている場所を教えてくれないだろうか」
     余所者が横からしゃしゃり出て品物を奪おうとするのが気に食わないらしく、男は顔いっぱいに不快感を顕わにした。良くも悪くもレノックスは真っ直ぐで硬いのだ。交渉役としては不適切で、このままでは情報を得る事は出来ないだろう。それはファウストにも言える事なのだが、このままではレノックスの顔に唾を吐きかけられかねないと思い、一歩前に出た。
    「入札する気は無いんだ。ただ場所を教えてくれるだけで良い。礼も用意がある」
     そう言って服のポケットから取り出した布袋を男の手の平に置いた。ジャラとぶつかり合う音がして男は口端を持ち上げる。
    「この奥だ。地図には載っていない村がある。天幕が張られてるからすぐ分かるだろうよ。早く行かないと終わっちまうぜ」
     男は坑道の脇道を親指で指した。獣道のような見た目で周囲の木々に隠されている。その道が行き着く先を地図で確認していると、坑道の中からざわざわと切羽詰まった声が聞こえてきた。
    「何があったんだ」
     反射的に顔を上げ、声がする方に視線を向ける。すると出て来たのは担架に寝かされた中年の男と、それを運んでいる二名の炭鉱夫だ。
    「ああ、またか……そいつは使い物になんねぇな」
     責任者の男がのろのろと歩み寄ると、担架で運ばれてきた炭鉱夫の状況を見てそう言い放った。診察の必要も無く症状を把握しているのを見るに、日常茶飯事である事が窺える。炭鉱夫は苦しそうに呼吸を繰り返しており、その手指はまあるく腫れ上がっていた。
    「暫く寝かしておけ。他の奴は持ち場に戻るんだ!」
     すぐに治療が必要なのではないかと、駆け寄ろうとしたファウストをレノックスが止めた。それ以上近付いて欲しくないのだと伝わる強さで、少し腕が痛い。
    「どうして止めるんだ、放せ」
     だがレノックスは頑なに首を横に振る。
    「きみはあの病を知っているんだな?」
    「……恐らく塵肺症でしょう」
     口や鼻などから入り込んだ石炭の粉塵が体内に蓄積される事で発症する肺の病の事を指す。俗に言う職業病だ。殆どの場合は無症状であるが、病変する事もある。
     病人を運んできた二人も咳をする回数が多かった。恐らく他にも体を害する要素があるに違い無い。
    「俺の故郷もそうでした。炭鉱は事故だけで無く病気も多い現場です。毎日のように頭痛や吐き気をもよおす仲間もいました。彼らのように咳が続く者も」
     原因と症状がはっきり分かっているなら尚のこと対処の仕様があるのでは無いか。体内に溜まった石炭を取り除く事が出来ればとファウストは頭の中にある知識を総動員しているのに、やはりレノックスは良い顔をしない。
    「根本的な解決になりません」
     何かに耐えるような表情で、レノックスは淡々と言葉を重ねた。
    「中央の国でも防護マスクが普及していますし、西の国では魔法科学の利用で事故の件数が減ったそうです。それなのにこの現場は俺が働いていた頃と何一つ変わっていません。あれから四百年経っているのに」
     レノックスが抱えている感情が怒りだと分かった時、ファウストはハッとなった。誰より歯がゆい思いをしているのが彼であると気付ければ、ファウストの中にあった小さな正義感が霞んでいく。
    「……炭鉱の現場に魔法使いがいれば、格段に死傷者は減るのにな」
    「ここは東の国ですから、魔法使いだと名乗り出る者はいないでしょう。……必要なのは政治です。俺やあなたが苦手な」
     腕を掴んでいるレノックスの力が緩み解放されると、ファウストは屋外の粗雑な簡易ベッドに寝かされた男の元へと歩いて行って膝をつく。そして両手を病人の胸部へと翳しながら口に馴染まない短い呪文を発した。
    「ファウスト様……」
    「それでも、目の前で苦しんでいる人がいるなら出来る限りの事はしたいと思うよ。……行こうか」
     責任者の男は二人が魔法使いだと分かった途端、早く出て行けと急き立てた。渡した賄賂はしっかりと服の内側にしまい込みながら、大量に吐き出された煙は追い立てているかのようだった。

     獣道を通り抜けると、確かにその村は存在していた。民家らしきものは殆ど無く、集会時のみ方々から人間が集まってきているようだった。その中に天幕は一つだけ、三十名弱の人間がその中にひしめき合っているのが見える。その最後尾に二人はつき、状況を窺うことにした。
     レノックスはここで何が行われているのかを最初から分かっていたが、ファウストは自分の目で見るまで半信半疑であった。
     競り――つまり競売、オークションである。ただそれが一般的に想像する美術品などが出品されているわけでは無い。
     雰囲気だけを見るなら、魚介類の競りに近かった。漁港で釣ってきた魚に買い手が手やりで値段をつけていく。それと同じ光景であるのに、一段高い所に出されているのは布に巻かれた死体であるのがあまりに異常だった。
    「次は死後ひと月の遺体だ、状態が良いものは珍しいな」
     先に配られているらしい出品リストを見ながら、二人の前方にいる男女が囁いているのが聞こえた。
     独特の死臭が漂っているのにも関わらず、天幕の内側にいる人間たちは誰も気にした様子は無い。よく目を凝らせば虫だって近くを飛び回っている。あれが値段のつく商品である事を未だにファウストは受け入れられずにいた。
    「麓で盗んできた死体を、山を登って運んできたというのか」
    「需要がここにあるので、仕方なくでしょうね。棺ごと持って来られない訳も説明がつきます」
    「需要……?」
     死体の使い方など、それこそ呪いか召喚術しか用途が思い浮かばない。魔法を使えない人間が何の目的で必要としているかがサッパリ見当がつかずに、レノックスの答えを待った。
    「冥婚という言葉を聞いた事はありませんか?」
    「無い。だが、死人の婚姻の儀である事は分かる。どうしてそこまで推測出来たんだ」
     墓場を見るよりも早くにレノックスは真相に気が付いていた。レノックスは一の出来事から十を推測する技能を持っているわけでは無いというのに、レノックスが分かって、ファウストには分からなかった。何かヒントを見落としていたのではないかと考えこみながら、レノックスを窺う。
     すると苦虫を嚙み潰したような表情で、淡々と答えを教えてくれた。
    「あの色をした川が流れるのは鉱山です。炭鉱夫は若くして死に易いので、圧倒的に冥婚の数が多いんですよ。ここに集まっているのは死んだ息子の嫁を探している人々です。若い女性の遺体は山中では少ないので、こうして競りが行われているんでしょう。故郷でも墓荒らしが出た事がありました」
     なるほど、とファウストは納得した。レノックスからしたらどこにでもある話しなのかもしれない。しかし話を聞いた今でも、目の前で死体が売買されている状況は普通とは思えなかった。
    「悪用する者がいなければ…本来は優しい文化なんですよ。未婚のまま死んだ人間同士があの世で結ばれる事を願う、親族にとって大事な物なんです」
    「本人の意思はどうなるんだ」
    「そういう土地に生まれれば抵抗はありません。死んでも誰かと結ばれるのだと夢見る人もいますし、死んだ後の事はどうでも良いと思う人もいるでしょう」
     自分がマナ石となった後の処遇と似たようなものか、とファウストは思った。石になってしまえば、誰かに食べられようが、魔法科学の燃料にされようが分からない。特別希望のある者は生前に遺書を遺しておくのだろうが、そうで無ければ生きている者の好きにされるだけだ。そこで初めて、自分が石になった後の事を考えた。
    「結局は遺された者の自己満足なのかもしれませんが」
     そうレノックスは苦笑しながら会場を眺めた。盗品は一部で、後は自らの娘の遺体を競りにかけている。全てが罪なわけでは無い。この集会だって、荒らして良いものでは無い筈だ。
     しかし、次に台に上がった商品を見て目を瞠る。
    「……競りというのは、生きた人間も出品されるのか?」
     レノックスも驚いた顔をしていたが、可笑しな話では無いのだろう。現に買い手側は誰も動揺した様子は無い。商品である少女も同じく、緊張した面持ちをしているが状況を理解していた。
    「生きているのに、どうして死人と結婚する必要があるんだ」
    「目的は金でしょうね。生きている者同士の結婚は金を失いますが、死者との結婚は金を得られます。生活が苦しくなれば、この手段を取る事も考えられます」
     死ねば既に亡くなっている男と同じ墓に入る約束をするのだという。それまで女性は身綺麗なまま、操を捧げるのだ。顔も知らない男のために。
     ふ、と無意識にファウストは笑っていた。
    「どうされましたか?」
    「いや、少し羨ましいと思ってしまっただけだ。……これで最後の出品らしい。盗人が報酬を受け取って逃げる前に動くぞ」
     厄災やノーヴァどころか魔法とも全く無関係ではあったが、ここまで追ってきたのだ。受けた依頼は全うする真面目さを二人とも持っている。

     その晩、魔法舎に帰ったファウストは夕食も断って四階の自室へと直行した。埃っぽい外套を魔法で浄化しながら着込んだ服を崩していく。
     そしてどっかりと寝台に腰掛けると、指先を振って棚から蒸留酒とグラスを二つ机に引き寄せる。ストレートグラスの八分目まで注いだ酒を目線の高さまで掲げて、「乾杯」と声に出した。
    「今日は少し疲れたよ。山登りに捕り物だ、魔法なんて殆ど使わなかったな。帰りは箒だったが、空の上はなんだかほっとしたよ」
     聞き込みの必要があるため自らの足を使う羽目になったが、あれも良い運動ではあった。最近は図書館で調べ物ばかりしていたので、体が鈍っているのを感じていたので丁度良い。座学ばかりを強いているシノもそろそろ我慢の限界だろうから明日あたりは実技でも良いかもなと考えたが、ファウスト自身が疲れているのでやはり座学になるだろう。実技は明後日だと予告しておけばシノも大人しくなる。
    「東の国の墓地なら適任は僕だなんて大口叩いたけれど、レノがいなければ時間がかかっていた。はは、笑えるだろう。何の役にも立たなかったよ」
     すぐ空になったグラスに再び手酌をし、啜るように飲んだ。強い酒が飲みたい気分だったから、いつも以上にペースが早い。喉を何度でも焼きたくなっていた。
    「飲み過ぎるなって? お前が言うな」
     自棄になっている訳でも、悲しい気分でも無かった。ただ飲みたい。それだけだ。けれど目の前に浮かぶ顔は少し困ったような表情をしている。
    「まあ、今のお前は飲めないんだけど」
     一滴も量が減らない対面のグラスを見下ろしながら、ファウストはひとりで飲み続けていた。その様子を楽しげに、時に寂しげに見ているだけの男は、ファウストの隣に座ってきた。温かみは感じないし、寝台は軋まない。
    「……僕がお前と話している所を見られてから、皆が腫れ物みたいに扱ってくる。お前が死んで頭がおかしくなったんだって北の魔法使いに陰口を叩かれたよ。……あれは陰口というより嘲笑かもな。どちらでも良いけど、お前が見えるのは僕だけみたいだ」
     初めはホワイトと同じく自分がこの世に繋ぎ留めてしまった幽霊なのかと思った。だから当然そこに居る体で周りに話しかけてしまったのだ。「フィガロがここにいる」のだと。
     だが結果は自分にしか見えない。そして喋る事もなかった。触れる事も叶わない。どこもホワイトとは違っていた。
     しかし確かにこの目に映る男の存在を、ファウストは幽霊のようなものだと仮定した。
    「……お前は生前、いくら僕がせがんでも結婚してくれなかったな」
     至近距離で見つめ合っているというのに、手は伸ばせない。触れられないのだと強く自覚する事を恐れていた。言葉だけしか届かないなら、それを重ねるしかファウストには方法が無い。
    「もうすぐ死ぬからとかなんとか言って、そんなの百も承知なのにな」
     しょっちゅう逸らされていた視線は、今はじっとファウストを見ていた。それは瞳くらいでしか語れないからだろうか。本人は冷たい色だと言っていた瞳が、優しく歪む。
    「僕たち魔法使いに墓という概念は無いけど、考えた事があるんだ」
     まるで新たな発見をした子どもみたいに笑いながらファウストは報告をした。
    「レノに、僕が死んだらフィガロの石と一緒に飲み込んでくれと言ったら、断られてしまったよ。僕たちは手に負えないんだそうだ」
     そして、「ファウスト様はどうか長生きをして下さい」と真剣な表情で乞われてしまった。可哀想な事をしたと反省しているが、適任だと思ったのは本当だ。
     それなら次は誰に頼もうか。
    「ふふ、結婚の約束もしてくれなかったから、死んだ後で好き勝手されるんだ。ざまあみろ」
     フィガロは悪態を吐かれた事を気にした様子は無く、ただ弱々しく微笑んでいる。生前マナ石のその後については一切口にしなかったから、きっと自分の成れの果てには興味が無いのだとファウストは考えていた。遺された石をどうして良いか分からずに過ごしていたけれど、一つの方法を思い付いた事でファウストは浮かれていた。
    「……生きている方が自由に出来るんだよ、死後のあなたとでも僕は約束出来るんだから」
     寝台に倒れこむと、冷たいマナ石を抱きかかえながら目を瞑る。

     僕が死んだら、あなたと同じところに行きたいのです。
     たとえ赤い川を渡る事になったとしても。
     願いはたった、それだけだった。








    【参考にしたもの】
    ・鉱害wiki(ttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%B1%E5%AE%B3)
    ・リオ・ティント川(ttps://www.excite.co.jp/news/article/Karapaia_52289900/)
    ・炭坑夫塵肺症(ttps://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/07-%E8%82%BA%E3%81%A8%E6%B0%97%E9%81%93%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E7%92%B0%E5%A2%83%E6%80%A7%E8%82%BA%E7%96%BE%E6%82%A3/%E7%82%AD%E5%9D%91%E5%A4%AB%E5%A1%B5%E8%82%BA%E7%97%87)
    ・せりのしくみ(ttps://www.shijou.metro.tokyo.lg.jp/faq/shikumi/1-5/)
    ・冥婚用の遺体の売買についての記事を読んで、炭鉱夫=レノックスの話を絡めようと決めました。(ttps://www.fujisan.co.jp/articles/courrier/09/)
    ※解析避けのため、気になる人はコピペしたら頭にhを入れてね。
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    DOODLEフィガファウ冥婚企画(https://mhyk.web.fc2.com/meikon.html)で書いたお話です。
    レノックスと任務で東の国に行くファウストの話。
    任務についてがっつり書いて、恋愛要素は潜ませました。
    ああそういう事だったのね、という感想待ってます。
    赤い川を渡って そこに横たわっていたのは血のように赤い色をした川だった。
     流れがひどく緩慢なため、横に伸びた池のような印象がある。大地が傷つき、血を流した結果出来たのがこの川だという言い伝えがあってもおかしくは無いだろう。濁っているわけではなく、浅い川であることも手伝って川底の砂利まで視認出来た。尤も、生きた生物は視認出来なかったが。
     任務でこの地を訪れたファウストは、地獄を流れる川のようだと感想を持った。
    「きみは驚かないんだな」
    「見慣れた風景ですので……懐かしさすら覚えます」
     水質を調べようとファウストは手を翳したが、既に手遅れであることは誰の目にも明らかだ。オズくらいの魔力があれば力業で全ての水を入れ替えてしまえるのかもしれないが、正攻法であれば浄化になる。媒介は何が必要で、どのような術式で、とぶつぶつ呟きながら暫く考えていたが、少なくとも今打てる手はファウストには無い。
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    tono_bd

    DOODLE同級生の中で一番初体験が早かったのが生徒会長だったら良いな……って思いながら書きました。
    スペースに集まった人全員「夏の現代学パロ」というお題で一週間で作り上げるという鬼畜企画でした。
    私が考える「現代学パロ」はこれだ!!って言い切るつもりで出します。
    どう見ても社会人パロとかは言わない約束。
    ノスタルジーが見せる 夏休みを失って二年が経った。
     手元で弾けている生ビールの泡のように、パチパチと僅かな音を立てて消えていく。気付いたら無くなっているような二年だった。社会に出れば時の流れは変わるのだという言葉の信憑性を疑った時期もあったが、自分がその立場に立ってはじめて理解出来るものだ。
     ノスタルジーが生み出す感傷だろう、自分らしくないなと思いながらジョッキを傾ける。
     同窓会なんて自分には縁の無いものだとファウストは思っていた。誘う友人もいないし、誘われるような人柄では無いと自覚している。それなのに今この場にいるということは、認識が間違っていたという事だろうか。今日の事を報せてくれた淡い空色の髪をした友人は目立つ事も面倒事も厭うきらいがある。そんな彼が声をかけてくれたのは、単に僕がのけ者にされないよう気を遣ったのか、巻き添えを探していたのだろう。
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    DOODLEフィガファウ冥婚企画(https://mhyk.web.fc2.com/meikon.html)で書いたお話です。
    レノックスと任務で東の国に行くファウストの話。
    任務についてがっつり書いて、恋愛要素は潜ませました。
    ああそういう事だったのね、という感想待ってます。
    赤い川を渡って そこに横たわっていたのは血のように赤い色をした川だった。
     流れがひどく緩慢なため、横に伸びた池のような印象がある。大地が傷つき、血を流した結果出来たのがこの川だという言い伝えがあってもおかしくは無いだろう。濁っているわけではなく、浅い川であることも手伝って川底の砂利まで視認出来た。尤も、生きた生物は視認出来なかったが。
     任務でこの地を訪れたファウストは、地獄を流れる川のようだと感想を持った。
    「きみは驚かないんだな」
    「見慣れた風景ですので……懐かしさすら覚えます」
     水質を調べようとファウストは手を翳したが、既に手遅れであることは誰の目にも明らかだ。オズくらいの魔力があれば力業で全ての水を入れ替えてしまえるのかもしれないが、正攻法であれば浄化になる。媒介は何が必要で、どのような術式で、とぶつぶつ呟きながら暫く考えていたが、少なくとも今打てる手はファウストには無い。
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