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    Blanca_46red_HU

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    Blanca_46red_HU

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    #創作BL
    Original Bl

    蒼春12期末テスト最終日。本気で疲れた。テストまで残り一週間なんて片桐先輩の追い込みも凄まじかった。……その分勉強会が終わった後のなんだかんだ理由をつけてされたキスも長かったが。

    「朝倉大丈夫?」
    「疲れた…… 」
    「頑張ってたもんな。最後の方とかクラス来てた片桐先輩も疲れてたし 」
    「てかあの人自分の勉強大丈夫なん 」
    「二学期の中間、学年15位で『えぐいくらい順位落ちたわ〜』って言ってた 」
    「「えぐ……」」

    声を揃えて言う二人に吹き出した。疲れて変なテンションになってるのか笑いが止まらない。話題を変えるように安達が話し始める。

    「二人ともクリスマス用事ある?」
    「朝倉はあるだろ。片桐先輩居るんだし 」
    「空いてるけど。なんで決めんの?」
    「え?でも付き合ってんじゃん 」
    「……どういうこと?」

    質問すると安達と神崎が顔を見合わせる。何か言おうとした瞬間先生が入ってきてその場は一旦解散になった。荷物をまとめていると「マックド行こうぜ」と誘われた。そこで会話を再開することにしたらしい。

    「朝倉そういうの気にするだろうから先に言っとくけど、俺らマジで性別がどうとか気にしないから 」

    ハンバーガーの包みを剥がしながら言う安達の言葉に神崎もこちらを見ながら頷く。真剣なトーンや表情から冗談半分で言ってるわけじゃないようで安心した。

    「……ありがとう 」
    「そんで、なんで朝倉と片桐先輩が付き合ってるかって話なんだけど……あのさ、見間違いだったらほんとごめん。朝倉、片桐先輩と、キス、してたよな……?」
    「それ見ちゃって、『あ、付き合ってんのか』って俺ら思ってたんだけど……」
    「…………マジで?」

    ナゲットをつまみながら聞き返すと頷いた。わざわざ人通りの少ないフロアの空き教室に行ってキス……もとい駄弁ってたのに。

    「あのさ、俺ら朝倉が自分から言うまで黙ってるつもりだったんだよ。絶対気にするからって。でもこのアホがテスト終わってからああ言って 」
    「アホってなんだよ 」
    「人のデリケートなことに口出すのがアホつってんの。そこ本当ごめんな、朝倉。んで話戻すけど……付き合ってる……んだよな?片桐先輩と 」

    ナゲットを咀嚼しながらなんと言おうか迷った。肯定しても否定しても多分面倒なことになる。……それに、いつもつるんでる相手だし嘘を言ってもすぐにばれるような気がする。

    「…………付き合ってない 」

    飲み込み、コーラを一口だけ飲んでからそう答えると、教室で『付き合ってんだろ』と言ってきた神崎が何か大声で言おうとして、安達がそいつの口にバーガーを突っ込んで塞いだ。

    「じゃああれって見間違い?」
    「見間違い……でも、ない。多分嘘ついたり隠しても無駄だからちゃんと言うけど……キスはしてた 」
    「付き合ってもないのにキスすんのってどうなん 」
    「あんまりよろしくないよな、やっぱり 」

    お前もう黙っとけと言うように安達は神崎の頭をはたき、ポテトを二、三本いっぺんに口に運ぶ。

    「弱み握られてるとか、無理やりじゃないよな?」
    「それは無い 」
    「んじゃいいわ。そこずっと心配だった 」

    ポテトを咀嚼もそこそこに飲み込み、あー、と口を開けて安達はハンバーガーを頬張った。神崎も「安達の心配メッセージ見る?」とスマホを見せてきて、よく読んでみると返信してる神崎もこちらを気にしていたのが読み取れる。「割と見えるから気いつけろよ」と忠告もしてくれた。

    「てか朝倉、そういうのダメって言ってなかった?キスは例外?」
    「駄目なはずだったんだけど……なんかやってみたら案外って感じ 」
    「食わず嫌いだったってこと?」
    「そういうわけじゃないけど……」

    詳しく言いたくなくて流石に歯切れが悪くなる。困っていると察してくれたのか安達が「それよりクリスマス」と話題を変えてくれた。

    「空いてんなら他の奴も誘ってカラオケ行かないかって誘おうとしてたんだけど 」
    「行く行く。何時から?」
    「まだ決めてない。色々決まったらクラスのグループの方でまた言うから 」

    開けといてくれよと言って安達はおしゃべりを再開した。おれもそれに参加して……この日の放課後は、いつもと違う楽しさになった。

    冬休みに入っても日常は普段の休日とそんなに変わらない。朝起きるのが少し遅くなって、寒いから布団から出たくなくって……おかげでクリスマスイブにずれ込んだカラオケに遅刻しかけたが、なんとかギリギリ間に合った。ピアスはつけてる時間がなかったから全部持ってカラオケで付けた。

    「朝倉って明日予定あんの?」
    「うん。片桐先輩にクリパ呼ばれてる 」
    「ほんと好かれてんな。今日はいいの?」
    「今日は向こうもカラオケって言ってた 」

    それでもやっぱり飽きてきてるらしく、ちょくちょくメッセージと……女子数人との自撮りが飛んできた。なんか腹立つな。

    「……朝倉何してんの?」
    「あんま盛れてない自撮り送られてきたから送り返す目的で編集してる 」
    「ようやるわ 」

    呆れたように告げるクラスメイトに適当に返事をしながら編集を続ける。……ちょくちょく来る裏アカの通知が鬱陶しくておやすみモードにした。

    「ていうかそもそもの写真がカス寄りなんだよな……」
    「口悪。朝倉ならどんなん撮るの?」
    「あー……ライトがあの辺ならカメラこの辺にして……ちょっとごめん、肩抱く 」
    「ん 」

    隣にいるクラスメイトの肩を抱いて何枚か写真を撮る。……どれもちょこちょこ気に入らないところはあるが、さっき送られてきたやつよりはマシ。

    「んで影消して明るさ上げたり彩度いじってー……どう?」
    「いいと思う 」

    送ったれ送ったれと煽るクラスメイトに後押しされ、まず編集を終えた片桐先輩の写真を送り返した後にダメ出しをつける。『せめてこれくらい盛ってから送ってください』とさっき撮ったのを送ると、少しした後に片桐先輩から着信が入ってきた。歌っていたため無視していたけど数秒おきにずっとかかってくる。

    「ちょっと出てくる 」
    「はいよー 」

    ため息をつき廊下でずっとかかってくる着信に出……ようとしたが、直前に切れたためメッセージを確認した。おやすみモードにしていて全然気付かなかったが色々来ている。

    [は?]
    [何これ]
    [当てつけ?]
    [なあ]
    [春樹]
    [返事して]
    [怒ってる?]
    [ごめん]
    [ごめんなさい]

    そこからずっと不在着信が続いている……。なんだこのメンヘラDMと思っていたらまた着信が入ってきた。

    「もしもし 」
    『……なんで出なかったんだよ 』
    「歌ってたんですよ。ていうか……先輩こそなんですか、あのメンヘラDM 」
    『……だってさぁ……俺にはああいうのしないくせに 』
    「そもそも自撮り自体あんましないじゃないですか 」
    『そうだけど……でもなんかやっぱモヤモヤする 』

    別に付き合ってるわけでもないのに……。ため息をついてそう言おうとしたら、向こうが『明日』と口を開いた。

    『来るんだよな、うち 』
    「そりゃ誘われてますから。家知らないんで迎えに来てくださいね 」
    『わかった 』
    「あと……写真送ってきたのはそっちが先ですからね 」
    『……そっか。春樹も妬いてたんだ 』
    「は?」

    片桐先輩は笑うように「また明日」と言い残し通話を切った。別に妬いてないなんて言おうとしてももう遅く、向こうが勘違いしたまま終わってしまった。
    ……明日のクリパ、何着て行こうか。ピアスも新しいやつ……フォロワーにクリスマスっぽいのを貰ったからそれを付けてもいい。

    「朝倉、通話終わった?そろそろ時間だから出なきゃなんだけど 」
    「あ、うん。今終わった 」

    ぞろぞろクラスメイトが出てきた。はい、と神崎に荷物を渡され、おれもそれに付いていく。

    「片桐先輩なんて?」
    「明日のクリパの確認。から揚げと一緒に呼ばれてるから 」
    「から揚げ要員かー 」

    朝倉のやつ美味いもんなと褒められた。一回食べさせただけなのに美味いというのは覚えているらしく、少し嬉しくなる。

    「朝倉くん今からどうするの?うちら今からファミレス行くけど 」

    幹事に割り勘した料金を預けた後、女子グループから声をかけられた。一緒に行く?と誘われたが……

    「帰る。明日の服決めてないし 」
    「明日なんかあんの?デート?」
    「片桐先輩がクリパ開くからって、から揚げ込みで呼ばれてる 」
    「あーね 」
    「やっぱデートじゃん 」
    「他の先輩も来るから違うよ 」

    ごめんな、と誘いを断って帰路に着く。
    駅前だからか色々店もあって……ドラッグストアの店先に大量陳列されたリップクリームが目に入り、冬休みに入るまでしょっちゅうキスをしていたのを思い出した。

    ……解散したらするのかな、キス。

    ……するんだろうな。そういう関係……キスフレになってるし、おれもなんだかんだでキス自体に抵抗はなくなってきてる。

    唇を指でなぞるとカサついていた。流石にこんな状態でキスはしたくない……なんて考えて、軽く首を振る。別に片桐先輩のためじゃないし……なんて言い訳しながら、一番ポピュラーな緑色のリップクリームを手に取った。
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