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    Blanca_46red_HU

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    Blanca_46red_HU

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    #創作BL
    Original Bl

    蒼春8夏休みが終わるとすぐ文化祭の話し合いになった。この学校は6月に体育祭を行い、10月に文化祭を行うらしい。この時期に大きめのイベントを行なって3年生の受験は大丈夫なのか?と思うが、その辺り上手く出来ているとのこと。就職予定の自分には関係ないため詳しくは知らないが。

    「それじゃあうちのクラスの展示は天体模型に決定でーす!」

    クラスに歓声が上がった。みんなお化け屋敷や食べ物の屋台をやりたがったが、この学校には一年生は展示系しかしてはいけないという暗黙の了解がある。しかしそれでも文化祭バフというべきか、この時点で既に盛り上がりは激しい。

    「それじゃあ班分けするから入りたいところあったら手あげてねー 」

    黒板に班が書かれていく。太陽、月、地球と、それから展示とは別にフォトスポット……?そこちょっとやってみたいけど……やりたい人多いだろうなぁ。

    「朝倉くん聞いてる?」
    「えっ何?」
    「朝倉くんセンスいいからフォトスポットやってって 」
    「ああ……うん、わかった 」

    返事をすると、フォトスポットの下に自分の名前が書かれた。……待っておれが班長?やりたくないけど……でもセンスいいって言われたしな……。

    そこからどんどん班が決まっていく。全ての班が決まり終わった頃、「学年一の集客数目指すぞー!」と、教室は今日イチの盛り上がりを見せた。



    「って感じで、なんかおれが班長になったんでしばらく一緒に帰れないです 」
    「他のやつに押し付けようぜ。班長だしそんくらい許されるだろ 」
    「片桐先輩じゃないんだから…… 」

    軽口を叩きながら昼食に購入したうどんを啜る。今日はきつねうどん。甘辛く炊かれたお揚げが出汁の味と混ざって美味しい。

    「先輩のクラスは何やるんですか?」
    「カジノ。ルーレットとポーカーしか用意しないけど。一回の入場で500円までチップと交換できて、そのチップで景品と交換できる感じ 」
    「面白そう……」
    「んじゃ当日うちのクラス来いよ。勝たせてやるから 」
    「いらないですよ。おれポーカー強いんで 」

    本当かなーと片桐先輩はニヤニヤしながらこちらを見つめる。真偽はどうであれ、相手してくれるなら全力で勝ちに行かせてもらおう。
    汁まで飲み切って完食。食器を一緒に片付けてくれるらしく、任せて自分は荷物を二人分持っていることにした。



    放課後になり、フォトスポットの場所取り会議……に行く途中。偶然か、片桐先輩と廊下で遭遇した。

    「よっ 」
    「おれちょっと急いでるんですけど 」
    「まだ時間あるだろ。スマホある?」
    「ありますけど……あっ 」

    差し出すと取り上げられ、一枚自撮りをして返された。

    「はい、お守り 」
    「なんのですか……」

    なんとなく写真をチェックした。……なんか気に入らないなこれ。
    「じゃあな」と去ろうとした先輩を呼び止め、撮り直すことに。おれが構ってくれるのが嬉しいのか、片桐先輩はニコニコしながら「こう?」と被写体になってくれている。

    「多分おれの方が人の写真撮るの得意ですから 」
    「ふーん。んじゃツーショする?」
    「調子に乗らないでください 」

    二枚ほど気に入った写真が撮れ満足した。
    ……何か忘れてるような?

    「春樹、会議いいの?帰る?」
    「忘れてた!」

    急いで会議が行われる教室に向かった。案の定ちょっと遅刻だったし視線が痛かった。

    「遅刻くんさぁ、名前なんだっけ朝倉くん?フォトスポットだよね。校門の前でいいんじゃない?」
    「おれもそう思うんですけど……クラス委員にこの場所取ってこいって言われてて 」
    「ふーん。じゃあクラス委員説得してよ。ここアタシらの屋台使いたいから 」
    「何の屋台出されるんですか?」
    「ケバブ 」

    ケバブ。食べたことないからよく知らないけど肉をトルティーヤで巻いたものだ。美味しいんだろうなぁ……

    「もうちょっと映えるやつやりたかったんだけどさぁ、多数決でケバブがいいって 」
    「でも肉うめーじゃん 」
    「それはそう。ていうか朝倉くんクラス委員じゃないの?これ来てるの全部クラス委員だけど 」
    「えっ、製作班の班長が行くって聞いたんですけど……」

    そう答えるとなんだか微妙な雰囲気になった……。「押し付けられたか……」とか聞こえた気がする。

    「可哀想だけどうちもここ使いたいしなー。朝倉くん、なんか特技とかある?」
    「えーと……写真撮るのが上手いです 」

    これとか、とさっき撮った写真を場所の取り合いをしている先輩に見せた。

    「こっちが片桐先輩の自撮りで、こっちがおれの撮ったやつです 」

    ……と説明すると、その先輩はこちらの顔と写真を交互に見た。

    「……あのさ、場所譲るからこの写真全部貰えない?」
    「えっ、いいんですか?」
    「ちょっとキツめの交渉しようかなって思ったんだけど……これくれるならまあいいかなって……」

    どう?と聞かれたため、エアドロで写真を送った。そんなに価値のある写真だろうかと思ったが、そういや片桐先輩顔はいいからなぁ……なんて考えた。自分も自撮りの研究でそれなりに撮影の腕はあるつもりだし。

    「んじゃ議長、そこの場所書いといてよ。クラスどこ?」
    「1-1です 」

    可愛がってくれる先輩が増えたため、スムーズに場所取りすることができた。
    余談だがその先輩は会議中ずっとおれに絡んできて、少々鬱陶しかった……。



    会議が終わって教室から出ると、片桐先輩が廊下に立っていた。おれの荷物も近くにある……。

    「春樹お疲れ。帰ろうぜ 」
    「待たなくてよかったのに 」
    「一緒に帰りたかったんだよ。こないだみたいなことだってあるかもしれないだろ 」
    「そうそう無いですよ 」

    荷物を持とうとしたが「いいから」と持たれた。確かにまだ骨折れてるけど、大丈夫なのに……

    「次病院いつだっけ?」
    「来週の火曜です 」
    「そっか。俺も行こうか?」
    「なんでですか 」

    あの件以降先輩が過保護気味になってる気がする。一人で大丈夫なのにと思いながら雑談をしつつ、二人で靴箱へ向かった。



    準備期間中もみんな真面目に制作して、無事展示品もフォトスポットも完成した。紅葉の下で三日月に座って撮影できるように、フォトスポット班の女子がおすすめした自撮り棒も置いて、持ち出し禁止用にクッソダサい柔らかいバネも括り付けて……外に出して雨が降りそうになったり、上級生に破壊されそうになったり……いやぁ、本当大変だった……。

    『それではこれより、第××回文化祭を開始します!』

    そんなこんなで文化祭当日。歓声が上がり、ステージ公演が始まった。クラスの出席番号順で座れるよう椅子の配置はしてあるものの、生徒はほぼみんな仲のいい人と見ようと移動している。おれはこのままの位置でいいかなーと思ったが……一瞬片桐先輩の顔が頭に浮かんだ。

    「朝倉大丈夫?肋骨痛い?」
    「いや……大丈夫 」

    あの人極度の飽き性なんだよな……。夏休みに映画を見に行った時も、アクション映画なのに冒頭で飽きて寝てたし……。まあおれが気にすることじゃないんだけど。それでもやっぱり気になるから昼休みに声をかけに行くことにして、隣の席に来た友人と一緒に仲のいい軽音部の発表を楽しむことにした。



    軽音部、落語研究部の公演、ダンス部の発表、それから有志発表が終わり昼休みへ。今日は食堂が休みのため、弁当を持ってきてない生徒は全員購買に買いに行くことになる。

    「……うわ 」
    「どしたん 」
    「片桐先輩からめっちゃメッセージ来てた 」

    『飽きた』やら『そっち行きたい』やら……何件も通知は来ていたはずなのに、スマホの画面を付けるまで全く気が付かなかった。

    「付き合ってんの?」
    「いや全く。そもそも同性だし 」
    「ああ……。もう昼から片桐先輩と居れば?」
    「今日はお前らと居たいからこっち居るよ 」

    そう答えると後ろからドンッと衝撃が来た。後ろからぎゅうっと抱き締められる感覚がして「痛たたっ!」と叫ぶと腕が緩んだ。だいたい予想がつくが誰だろうと後ろを向くと……

    「か……片桐先輩 」

    拗ねたような表情で抱き付いてきていた。

    「春樹借りてっていい?」
    「どうぞどうぞ 」

    昼休みには返してくださいね〜と言い、友人は去っていった。抱き付いたままだから他人の視線がちょこちょここちらに向いてくる……。

    「……とりあえず、おれお弁当なんですけど……ご飯行きましょうよ 」
    「行く 」

    了承の返事の後、片桐先輩は俺を押して移動するように体育館の出口に向かった。



    「春樹のクラス店番とかあんの?」
    「無いですよ 」
    「んじゃ明日一番にうちのクラス来いよ。俺朝イチのシフトだから 」
    「いいですよ。友達と寄らせてもらいますね 」

    明日も友達と一緒に回るため先輩と一緒には回れない。友達に言えば最初に行ってくれるだろう。

    「後夜祭は予定ある?」
    「そんなのあるんですか 」
    「あるある。先生がキャンプファイヤー用意してそれ囲むんだけどさ……それ、春樹と一緒に見たい 」

    すすっとテーブルの上に置いた左手に手が這わされ、くすぐったさでぞわりと鳥肌が立つ。「駄目?」と軽く首を傾げる仕草に慣れを感じて、何故だか……本当に何故だか少しずるいと思った。

    「明日、おれに勝てたらいいですよ 」
    「……オーケー。すっからかんにしてやるよ 」

    約束を交わして昼食を終えた後、二人で体育館に戻った。

    +++

    そして迎えた次の日。学外のお客さんもいる中、おれは「これが終わったら客引きに行く」と言った片桐先輩とカードゲームをしていた。

    「ねえ、片桐先輩。バレなきゃイカサマしてもいいんですよ 」
    「お前もしかして……!」
    「してませんって。さっきから連発してるスリーカードもフラッシュも全部運ですよ 」

    掛け金を増やし、手札を伏せる。……別に一緒に居たくないわけでもないし一度くらい負けてもいいんだが、なんかわざと負けるのはプライドが許さない。ため息をつき、相手をしてくれている片桐先輩が勝負に出ると、こちらも伏せたカードをめくった。

    「…………は 」
    「はい、ストレートフラッシュ。残念でしたね、フルハウス出たのに。……それでこれ、ディーラー側がすっからかんになったらどうなるんですか?」

    すると片桐先輩はしばらく黙った末に、「…………出禁で 」と告げた。無論抗議したのだが聞き入れられず、時間をずらして改めて来たら『賭場荒らし出入り禁止』と張り紙をされて、受付している他の先輩にもやんわりとお断りされた……。
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