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    Blanca_46red_HU

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    Blanca_46red_HU

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    #創作BL
    Original Bl

    蒼春11片桐先輩の告白キャンセルを経てから、放課後の駄弁り中にキスされることが増えた。軽く唇が触れるだけの時もあれば耳を塞がれて舌が重なる時もある。
    嫌悪感はない。中学の時に半ば無理やりされた時の、ナメクジが這い回るような感覚とは違う。相手が違うからか、それとも片桐先輩が慣れているからなのかはわからないが……嫌だった記憶が全部、気持ちいい感覚に塗り替えられる。

    「……今日は、ここまでな 」

    唇が離れ、ゆっくりと目を開ける。頭を優しく撫でる手がそのまま頬に降り、口の端を親指で拭った。息を整えようと深呼吸をするが逸る心臓は落ち着きそうにない。

    「じゃあそろそろ……いつものやるか 」
    「いつもの……?」
    「いつもの。もうすぐ期末だし勉強会 」

    ほら、と目の前にいつものプリントを置かれ、一気にさっきの興奮が冷めた。「はぁ〜……」と機嫌悪くため息をつくも片桐先輩は「頑張れよ」と笑いながら言うしかしない。

    「冬休み遊びたいだろ?」
    「遊びたいです 」
    「じゃあ頑張れ 」

    応援され、指導を受けるもやる気がわかない。それでも解かないと帰してもらえないためにペンケースを取り出し回答欄を埋めていく。幸い面白くて覚えやすい単元の問題のため、覚えていてすぐに解けた。

    「えーと、合ってる、合ってる、これは違う……今日正答率高いな 」
    「ここの勉強面白かったんで覚えました 」
    「へえ、偉いじゃん 」

    得意げに答えるとわしゃわしゃと頭を撫でられた。キスする時の優しい撫で方も好きだが、こういう犬を可愛がる感じの撫で方も嫌いじゃない。

    「やっぱ春樹はやればできんだって。期末は期待していい?」
    「この一教科の単元だけで……?」
    「これできんなら他の授業もできるだろ 」

    はいよ、と別の教科のプリントを渡される。……ていうかこういう問題どこから引っ張ってきてるんだろう。

    「そういやさぁ、春樹キスとか無理って言ってたじゃん。やっぱしてる時も怖い?」
    「…………それは、別に 」
    「だよな。顔近付けたら自分から目閉じてるし 」
    「ああ、それただの癖です 」

    なんて告げると「は?どういうこと?」と詰められた。ガン見すればいいのかと思ったがきっとそういうことでもない。この人本当めんどくさいなぁ。

    「ボールがぶつかる時に目を瞑っちゃうじゃないですか。あれです 」
    「…………俺ってボールってこと?」
    「……まあ 」

    返事すると「ボール……」とぶつぶつ呟いていた。無視して回答欄を埋める作業を再開する。

    「……まあ、ボールはいいや。違う、ボールじゃなくてキス 」
    「そうですね 」
    「んでさ、『気持ち悪いから嫌』とも言ってたよな。……あんま嫌じゃなかったりするだろ、本当は 」

    ぴた、と手が止まった。
    ……違う、気持ち悪いのは本当にそうなんだ。確かにあの日の感覚から塗り替えられはした。でもだって、男同士でなんて、『みんながおかしいって言うから』。

    「……嫌じゃないって言ったら、するんですか。キスから先 」
    「しねえよ。合意が大事だろ、こういうの 」
    「そう……ですか 」

    少し安心した。微かに声が震えていた気がする。手も震えていたのか書いていた文字も少しブレていて、一旦消して書き直し。

    「片桐先輩って男女とか気にしないんですね 」
    「まあな。相手がどっちでも気持ちいいのは一緒。ネコやる時は準備いるからめんどくさいけど 」
    「準備?」
    「あ、知らない?ケツほぐすの 」
    「ほぐ……?」

    ケツを……?どうやって?なんて考えていると「早く解いちまえよ」と指でプリントを叩かれた。先に教えたのはそっちだろうがという言葉を飲み込み、少しイライラしながらも文字を書く。

    「……てことは、春樹ってまだ処女?だよな?」
    「おれ男ですけど 」
    「じゃなくてまだ誰ともしたことないのかって 」
    「当然じゃないですか。本当に無理なんですよ、そういうの 」
    「でも試してみないとわかんないだろ 」
    「だっから無理だって……」
    「でもさ、キスはできたじゃん。もしかしたらそっちも……」
    「できないって言ってるだろ!」

    思わず怒鳴ってハッと口を押さえる。なんと言い訳しようか悩んでいると、「ごめん」と謝られた。

    「……おれこそ、怒鳴ってすみません。でも、本気でそれだけは無理……かも。怖いし……おれは、性別、とか……気持ち悪いから 」

    ……とは考えるも、この間のことや最近のキスを考えるといけるんじゃないか?と思うことがある。だけど怖い気持ちも本当だし、気持ち悪いのも———きっと、本当……だと、思う。

    「その『気持ち悪い』って誰かに言われた?春樹がそう思ってんの?」

    そうだと答えるだけなのにすぐに言葉が出てこない。気持ち悪い原因は、原因は……だって、『男同士なんて気持ち悪い』って……

    「……おれが、そう思ってる 」

    みんなが、そう言ってるから。

    「そっか 」

    返事をした片桐先輩は特に追及もせずに んーっと背を伸ばした。

    「飽きた。帰るかぁ 」
    「おれの勉強は……?」
    「明日もあるって。だし、今日は二教科もやってんだから疲れるだろ 」
    「プリントやっただけじゃないですか…… 」
    「でももう30分経ってる 」

    キスしたから30分も経ってるんじゃ……?なんて思ったが面倒ごとになりそうで言わなかった。大人しく自分も荷物を片付けて……

    「春樹 」

    名を呼ばれ、そちらを向いて目を閉じる。唇に触れる柔らかい熱が、触れ合う舌が思考を溶かした。
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