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    井坂さんの飯Pどこ落ちな絵がとても素敵だったので勝手に続きを書いてしまいました。すみません。

     その時複数の時間軸、複数の世界線の上空に一瞬、緑の光条が流れた。
     決して多数ではないが、何人かが偶然、それを見た。
    --------------------------------------------------
    「あっほら見てトランクス、悟飯くん。あれ」
    と、ブルマが割れ窓から夜空を仰ぐ。
    「うわ綺麗、流れ星……だよね? あいつらの色じゃ、ないもんね?」
    「ああ」
     ならこうしちゃいられない、とトランクスは慌てて組み合わせた手に額を付ける。
    「熱心だなトランクス。何をお祈りしたんだい?」
     碧い流星は一瞬赤く強く輝き、それきり消えた。
     人工衛星の欠片か何かが重力につかまり、大気圏で燃え尽きたのだろうとブルマは思った。
    「悟飯さんの腕が元に戻りますようにって。
     あともちろん、母さんのタイムマシンが早くできますようにって! 決まってるよそんなの」
    「ははっ、相変わらず欲張りだな。あんなに一瞬だったのに二つもお願いできたのかい。大した反射神経と瞬発力だ。
     やっぱりトランクスは俺なんかよりずっと素質があるよ」
    「じゃあ、悟飯さんのお願いは?」
    「……それがドンくさいことに、ワタワタ慌てちゃって、思う前に消えちゃった」
    「なぁんだ、判断が遅い! いつも修行の時言うくせに~」
    「まったく我ながら不甲斐ない師匠でお恥ずかしいよ」
     そう笑ってもう一度、星が時折瞬くだけの空を見上げる。人造人間の暴力が支配するこんな世界でも、夜風は心地良い。
     トランクスも本当は分かっている。
     願いたいことが、取り戻したい命が、たくさんあって、ありすぎて。
     とても星一つぐらいじゃ間に合いっこないんだから、悟飯さんには。
    「俺は今白状したとおり、反応できなくってさ。
     ただ……ピッコロさんみたいな色の流れ星だなって思った。そしたらもう、消えちゃってたよ」
    --------------------------------------------------
    「おう、星が流れたぞ、チチ。きれいなもんだ」
    と、牛魔王は呟く。
    「何かお願いできたか、せっかくの流れ星だ」
    「そんただもん、見てねえ。
     おら、いっつも夜はこうやって全神経集中して世界中の神様にお願いしてるだで。星が流れたぐれえで特別に何かってこたあねえ」
    「うん。こいつはおっ父が浅はかだったな。すまねえすまねえ」
    と、牛魔王は苦笑する。この会話の中でもチチは固く閉じた瞼を開けようともせず、一心不乱にただ悟空と悟飯の無事を祈り続けているのだ。
     チチの傍らには、牛魔王が悟飯の十一歳の誕生日にプレゼントとして買い与えた望遠鏡がある。かと言ってそれを覗き込んで特定の星を見ることも特に彼女はしない。どの星などと限定せず、宇宙すべての星の、銀河の、それぞれの神に願いを送ってやまないのだ。
     昔から見慣れた光景ではあったが、今日は妙な胸騒ぎがした。
    「今に始まったこっちゃねえもん、おらだってお祈りは慣れたもんだ。けんど、悟空さや悟飯ちゃんが怪我だけならまだしも、死んだり別のとこに行くのなんて、慣れる訳ねえ」
    「チチ……」
    「でもなあおっ父、おらみんなのこと信じてるだ。
     たとえ相討ちになったって、絶対倒さなきゃならねえ悪いヤツば倒してくれるだ。今までだって、そうだったべ?
     そんで、どんな姿になってもよう。それこそ骨や灰になったって。絶対、絶対。ここさ戻って来てくれるだ。おらのとこさ、帰って来てくれるだ」
    「うん。んだな。おめえの言う通りだべ」
    「だべ? ところでおっ父」
    「?」
     チチはそう問いかけながら、年を重ねてもつぶらな目を開いて父親を見る。
    「その流れ星、どんな色しとった?」
    「ああ……緑だったなあ、綺麗な緑だ。流れ星ってあんなにはっきり色付いてるの見たことねえからちょっとおったまげたぞ」
    「そっかあ」
    と答えて、空を仰ぐ。
    「星、綺麗だなあおっ父。あん中のどっかさ、悟飯ちゃんたちが頑張っとるんだなあ」
    --------------------------------------------------
    「お、流れ星じゃん。でっか」
     盗んだ車のサンルーフから、長い黒髪の少年は偶然にそれを見上げた。車外でボンネットに腰掛ける少女も、つられて視線を向ける。
    「え……って何だよ、もう消えちゃった」
    と、つまらなそうに足を組み替えた。
    「ラピス、あんたなんかお祈りとかしたわけ?」
     少女の問いに、少年が懐から銃を取り出しつつ答える。
    「ライフルかマシンガン欲しいなーって。
     そろそろこいつもガタ来ちゃったし、パワー不足だしさ。
     ……じゃあ、ラズリは? どーせまた服とか靴だろーけど」
    「それがなんか、超つまんないこと考えちゃった」
    「?」
    「さっきの流れ星、パッって赤く光って終わっちゃったせいだと思うけど」
    「うん」
    「……急に、リンゴ食べたくなった」
    「ぷっ」
     ラピスと呼ばれた少年は、虚を突かれて吹き出し、肩を揺らして笑う。
    「何だよそれ、ダッセエなあ姉ちゃん」
    「しかも割とすっぱいやつ」
    「いよいよ意味わかんねえ、じゃあどっかのスーパーででもガメようぜ」
    「そういうんじゃなくてさあ。誰かから貰ったのが食いたいの」
     自分でもマジで意味不明だけど。
     そう呟いて少女は、再び夜空を見上げる。
     雑多な照明でほとんど星も見えないしけた空でも、汚い街よりはまだマシだった。

    [END]
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    Replies from the creator

    ddg0

    TRAINING初めてのDB二次です。飯Pです。ヌルいですけど絡んでます。
    赤ちゃんなので優しくしてください。

    映画SHの数カ月前ぐらいの感じで書いてみました。自分でもびっくりするほどとりとめがなくてお恥ずかしいです。赤ちゃんなのでお許しください。
    Not Bad 既に日常茶飯事と化してはいるが、夕飯に呼ばれてしまった以上、悟飯の「一杯付き合ってもらえませんか」という言葉を無碍にするわけにも行かなかった。
     夕食のメニューもこれから付き合う「一杯」も、どちらにせよ水なのだが。とはいえ悟飯やビーデルがその都度良質のミネラルウォーターを購入したり、時には山麓まで出向いて清水を汲んでくれたことさえある。
     ナメック星人は水を多少飲むだけで十分生きて行ける。その生態からしばしば誤解されがちだが、水の味の微細な違いを判別できているわけでは決してないのだ。よほど異物が混じったり妙な匂いを発していなければ何のストレスもなく飲めるので、少なくとも上水道の蛇口から出て来る水のレベルならば何一つ不満はない。水道水にいちいちぬるいだの臭いだの果ては微量成分がどうこうと文句を付けて、わざわざ高い金を出して瓶詰の水を買う地球人の方がよほど水にうるさい――と常々感じている。
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