刑事パロ1刑事パロ1話
十二年前の、そろそろ夏に入ろうかという頃。そんな日の朝。
俺は一人で朝食を作り身支度をしていた。
クルーズ船で結婚記念日の旅行に向かった両親の帰りを、独り身の祖母と待っていた。
そんな中、付けていたニュース番組から慌ただしい声が聴こえてきて、飲んでいた味噌汁を置きそちらに視線を流す。
画面には、海上で黒い煙をあげて沈もうとしているクルーズ船が一隻。ヘリコプターのプロペラが騒がしく回転する音と、それに掻き消されないように現場の説明をするリポーターの大きな声。
"船長や乗組人、一般客含む半数の人々の安否が確認されていませんレスキュー隊によれば、、、"
信じたくなどなかった。
別のクルーズ船だ、と願いたかったが、自分の記憶力がこの時人生で初めて疎ましくなった。その船の名前と、両親が乗っていた船の名前が一致していたのだ。
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