Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    ottotto503

    続きが書けそうにないお話とか 練習とか

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 29

    ottotto503

    ☆quiet follow

    クラティ ひとめぼれ

    ##クラティ

    忙しいというのに、朝、鏡越しに見えた彼につい一目惚れしてしまった。
    無表情、鏡の中の彼自身を見つめる青い瞳は、誰かを見るための目でも私を見るための目でもない。他人を意識することなく自分自身だけを見つめながら身なりを整える姿は、普段と何かが違うわけでもないのに新鮮に感じた。

    「……」

    つい口を小さく開けて、彼の後ろで立ちすくむ。歯磨きをしようと思っていた。ベッドから出たタイミングが一緒だったから、洗面台争いになるのはよくあること。だけど基本的にクラウドはすぐ私にその場を譲るから、なかなか髪のセット中にで食わすことはない。

    「…あ」

    そんなことを思っているうちに、案の定彼が背後にいる私に気づく。鏡越しに目が合う。彼の雰囲気が変わる。私はつい……目を逸らす。

    「悪い、使うか」
    「う、ううん、大丈夫!あとでいいや」

    ほんとはちょっと急いでる。鏡の中の彼に恋をするまで、冗談を織り交ぜ、彼に場所の交代をお願いする予定ではあった。
    すっかり身だしなみを整えたクラウドが私を振り返って首を傾げる。ふしぎ。鏡の中から王子様でも飛び出してきたみたい。

    「……」
    「ティファ?」
    「…へ?」
    「まだ寝ぼけてるのか」

    おかしそうに、なぜか得意げにクラウドは笑う。私はむくれる。いつだって彼に罪はない。

    寝ぼけてませんと言いながら、ちょっとした意地悪をこめ、お尻でクラウドを洗面台から押しのけた。クラウドがわざとらしくよろける。私は笑う。クラウドも笑う。

    ああこれはもうどうしようもないなあと、歯ブラシを手に取り笑みをこぼした。私の心はこの先何度リセットを繰り返すのだろうと、同じくお揃いの歯ブラシを手にとった彼の隣で考えた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😍😍😍😍😍😍💯💖❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    ottotto503

    DONEはつこい 無印ED後?何事もなかったかのように服を纏い直して、何事もなかったかのように呼吸を整える。月さえどこかに隠れた真夜中、ひっそり元通りの姿に戻っていく私の様子を、彼は服も纏わずベッドに腰掛け黙ったまま見つめている。

    ここで眠ってもいい? 朝まで一緒にいたいの。一緒に過ごしていたこと、ばれてしまっていいんだよ。悪いことは何もしていないのだから。

    頭の中で暴れ、駄々をこねる本音に蓋をして、元に戻った私は彼を振り返る。彼は「戻る準備」のできた私を、私とおんなじ作り笑顔で出見送る。

    「……じゃあ戻るね」
    「…ああ」

    引き止めて。せめてもう少しだけ一緒にいようよ。お日様が目を覚ます前には戻るから、それまで隣でまどろみを感じさせて。

    かちこちの笑顔を構成するわがまま。戻ると言いつつ部屋の出口を振り返れないことが、その強さを物語る。

    彼の目を見る。彼は私の目を見てる。言葉で表現するのが下手な私たちは、視線で気持ちをやり取りする。受け取る気持ちが、受け取る想いが、正しいのかどうかもわからないまま。

    このままだと本当に、時間が止まって動かない。お月様も眠れないし、太陽は朝を連れてこれない。小さなため息と 1050

    recommended works