ふわふわ ふいに目が覚めた。
まだ頭の半分は眠っている中途半端な覚醒。濁った水のようにぼんやりとした頭に、ひかえめな物音が聞こえてくる。ジェイドが早朝から山へ行くと言っていたことを思いだした。気をつかって、電気は点けずに暗闇の中で静かに動いているのだろうと思う。
音を立てないようにしているのだろうけれど、静まりかえった部屋では、わずかな音も耳に響く。こういうときは、早く眠りに戻ろうと思えば思うほど気になって、つい、音を追いかけてしまう。着替えている衣ずれの音。リュックに何か詰める音。ゴツゴツした靴を履く音。
立ちあがってリュックを背負う音が聞こえた。ここまで付きあったのだから、声をかけようか悩んだけれど、目を開けて起きるのは負けたような気がする。
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