まつゆきのいっしゅうかんまつゆきのいっしゅうかん

今日は鬼様がとてもお暇なのだそう。
蹴鞠をして遊ぼうなとお声を掛けていただいたので、待は紫色の綺麗なお鞠で遊んでいただきました。
前よりも上手になったと褒めてくださったけど、そうかしら？
小鬼たちと練習したからかもしれません。
お鞠で遊んだあとは鬼様と一緒にお菓子を頂いたの。
今日は餡の黄色いお菓子。
キラキラしていてとてもきれい。
夜はお星様が見えるかしら。


せっかく起きたのだから、暫く遊んでおいでと鬼様が言ってくださったのだけれど、何をすれば良いのかしら。
お庭を歩いていたら小鬼が紙とお筆を持ってきてくれたから、今日は絵を描くことにしたの。
鬼様の絵を描いてみたのだけれど、これで良いのかしら？素敵に描けていて？
小鬼はとっても喜んでいたから、描いた絵は小鬼にあげました。


今日はお客様がいらっしゃっているみたい。
すらりとしたお方。
鬼様がとても喜んでいらしたわ。
鬼様がお許しになられたから、私もご挨拶をしたら少し驚かれていたけれど何故かしら？
お名前は焔夜さま。とても素敵な方ね。
鬼様といくつかお話をして帰ってゆかれました。
今度いらした時は、この間小鬼と一緒に覚えたぷりんというものをお出しできたらいいな。
つるんとして甘くて、とっても美味しかったのよ。


少し疲れてしまったから、今日はおやすみ。
小鬼の他に、ふわふわとした綿毛を見つけたの。
顔ほどの大きさがあって、勝手にふわふわどこかに動いていってしまうのだけれどこれは何かしら…
でもとても抱き心地はいいものだから、仲間がいたら鬼様にも見せてみましょう。


今日はけぇきというものをつくってみるわ。
小鬼が作り方を教えてくれるのですって。
泡立てたり計ったり、とても難しそうだけれど上手くできるかしら…
焼き上がりを見たら、少し斜めになってしまっていてお手本の絵とは違うみたい。お菓子って難しいのね。
小鬼と味見をしていたら、鬼様が通りかかって摘まれていったの。
「鬼様、美味しゅうございますか？」
と聞いてみたのだけれど、美味しいと頭を撫でて下さったから成功みたい。


お昼頃に、とても賑やかな方がいらしたわ。
かいん様と言って、狼さまなのだそう。
ふわふわのお耳がとってもすてき。
かいんさまはお鞠や凧や、羽子板でたくさん遊んでくださったの。とっても身軽なのね。
ふわっと飛んだらもう見上げるほどなのよ。
「すごい、すごい、かいんさまはかっこいいのね」
と言ったら頬を赤くされていたみたい。
少し暑かったかしら。
逆上せてしまうといけないから、冷たいお水を差し上げたわ。
夕方になってさようならをしたけれど、またお会い出来るかしら。


今日はお星様を見たのよ。
キラキラ光っていてとてもすてき。
私が鬼様のところに来てからどのくらいたったのか、正直なところ覚えていないの。
けれど、鬼様が私をお食べになるまでは、鬼様と一緒にいるのがいいわ。
鬼様が仰る美味しい魂というものに近づけているのかはわからないけれど…
ああ、そろそろ眠たくなってきた。
また、鬼様のお声が聞こえるまで、
__おやすみなさい。