「やったぁーーー!」
「イッ!?」
深夜の静けさを切り裂くような大きな歓声をあげながら整備室のドアから飛び出してきたクライゴアは、そのまま部屋の前を巡回していたマイクに抱きついた。
「おおマイク聞いてくれ、やっと完成したのだよ!物質転換機というのだがこれは座標さえ指定すればあらゆる物質を好きな所へ送れる装置でこれさえあればゆくゆくは」
「そ、ソウデスカ、とりあえず寝てクダサイ」
マイクはクライゴアの言葉を遮りながら苦笑いを浮かべた。
クライゴアは時折、より深く集中するためにワリオたちはもちろん、ペニーやクリナ、助手であるマイクまで閉め出して研究に没頭することがある。こういうときのクライゴアは飲み食いはおろか風呂も疎かにしており、睡眠さえちゃんと取っているのか怪しい。
つまるところ今の彼は、極限に限りなく近い状態にあるのだ。
「っ、ウオッ!!」
突然ぐっと腰から抱き寄せられ、マイクは身動きが取れなくなった。軽く身じろぎしてみたが、背後からがっちり抱きしめられており全く離れられそうにない。クライゴアは普段からスキンシップがやたらに多い男ではあるが、こうも力強く触れてくることは滅多にないため内心どよめいていると、尻にグリっと固いモノが押し付けられた。
「ハ」
「…………マイク。」
ちゅ、と頬にキスを落としながら、ゆっくり全身をまさぐりはじめた手をマイクは思いっきり抓った。
「っ」
「先にフロ入るトカしてクダサイヨ!つーかまず寝、ァアっ♡……コノヤロウ!!!」
いつの間にか外された頭のマイクに向かってフーっと息を吹きかけられ、思わずビクッと肩が跳ねる。
「私は今がいいんだ」
(ゲェーッ目が据ワッテヤガル!)
実験・開発が無事終わった喜びやシンプルな寝不足からくる情緒不安定からハイになっているのか、バイザーで目が隠れているはずなのに妙にギラギラした視線を感じる。自分より身長が低いはずのクライゴアがやけに大きく見えた。気圧されたマイクはクライゴアの両手を自分の胴からひっぺがしながら、クライゴアの方に振り向いた。
「ワカッタ、ワカリマシタカ、……、!ん、んッ」
マイクが言い終わる前に唇を重ねたクライゴアは、無遠慮に舌を挿し込んだ。口内のセンサーが反応するところを的確に舐めあげられ、力が抜けたマイクはくたりと壁にもたれかかって、同時にハッとした。
ここは寝室でもなんでもないただの廊下であり、しかもよりにもよって壁一面が大きなガラス窓で出来た階層であるということを思い出してしまった。
「ちょ、っと……!クライゴア、す、スるナラせめて部屋、ニッ……!」