どんぐりひろいやさん かんたろお3 布団の中の夏太郎を抱き寄せる。もふもふとした感触に思わず頬が緩んだ。寝る前は人間の姿でも、寝ている間にタヌキに戻ることはよくある。
よくあるが、ここ三日ほど夏太郎はずっとタヌキのままだ。これは今までになかった。何故? とは思うが、夏太郎の様子はいたって普通だ。どんぐり拾いに出ることはなかったが、食事は今まで通り食べるし、どこか痛がっているわけでもない。
ただタヌキのままなだけだ。人間にしろタヌキにしろ夏太郎は暖かくて抱き心地がいい。尾形は夏太郎の後頭部に頬ずりをした。
「かーん?」
「きゅぅー」
くすぐったそうに夏太郎が笑う。フーッとわざと息を吹きかけると、きゅうきゅう抗議の声を上げながら夏太郎が手足をばたつかせる。抱きしめる力を弱めると、くるりと体を回して尾形を見上げた。
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