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    百合子

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    百合子

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    夏スバ
    トリスタライブに訪れた際、ニューデイ内が誇るトリスタ過激ファン二人(凛月と瀬名)に交じる夏目(スバルのガチファン)。

    #夏スバ
    ##夏スバ

    全身オレンジカラーをした小物とハッピをまといサングラスをつける夏目の姿に思わず突っ込む青葉つむぎが見たいだけだった…(自供)

    オレンジ色のペンライトの海が広がる観客席。光源の強いスポットライトがステージを照らし、歌い踊る四人の汗がきらきらと反射する。その顔に浮かぶは今が最高の瞬間だと言いたげな誇らしい笑顔。Trickstarのオンステージ。彼らの弾けるきらめきを閉じ込めたステージを見ればたちまち心を奪われてしまい、我を忘れて応援する人も少なくない。相変わらず楽しそうに歌うなと、感嘆の息を吐く青葉つむぎ。その手にはオレンジ色に光るペンライトが一本、観客席側で胸の高さで小さく振る。そう、ステージに立つアイドルに夢中になって、周りに迷惑をかけてはいけないのだ。ライブを見る際守らねばいけない最低限のマナー。ファンとして恥ずかしい行為をしてはいけない…左隣で観賞している顔見知りに声を大にして伝えたい。

    「ゆうくーん!!!!今日もさいっこうに輝いてるよ~!!あぁ、今のウィンク付きの笑顔見た?!すっごいかわいかった!はぁ、マイカメラに今の表情収めたい」
    「セッちゃんきもーい。盗撮なんてしたらマナー違反でライブ中止になるかもだから止めてよね。あっ、ま~くん!!えっ、今のダンスなに?!めっちゃかっこよかった…。ちょっと直接伝えてこよっと」
    「はぁ~!?ちょ、ステージ乗り込みなんてしたらダメだって!それこそライブ中止になるっての!今の俺たちはアイドルじゃない、ただの観客なんだから。常識欠けてるのそっちの方なんじゃない?くまくん」
    「ストーカー盗撮魔のセッちゃんに言われたくなーい」
    「るっさい!べたべた依存体質野郎のくまくんのくせに!」

    おでこをくっつけいがみ合う二人。互いの服装はそれぞれ推しが誰か一目瞭然な恰好をしている。いがみ合う二人を見て苦笑いを浮かべながら、右隣へ顔を向ける。
    「あはは…。あの二人は相変わらず賑やかですね。夏目くんと宙くんはライブ楽しめてますか?」
    「はい!とっても楽しいです~!」
    「ふン。別に普通だヨ。バルくんに無理やりもらったチケットを消費しに観にきただけだかラ、楽しいとか得にないヨ」

    無邪気に喜びの声をあげる宙くんと、不満げに顔を逸らす夏目くん。だけど、夏目くんの姿をじっと観察する。いつも大人っぽい落ち着いた服装を好む彼の恰好が、今はペンライトの光に負けないぐらい鮮やかなオレンジ色のハッピを着ている。背中には【明星スバル生涯推し】という白い文字が書かれている。手には何本ものペンライトを挟み、最後の悪あがきなのか分からないが、顔には大きなサングラスをかけ素顔を隠している。

    「…いやバレバレですから!!!明星くん推しだってもう全身からにじみ出てますよ!!」

    思わず突っ込んでしまった自分は悪くないと言いたい。
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    今日はいつにもましてバルくんのテンションが高い。寮内で色んな人の懐に潜り込んでは、「ねぇ、ポッキーちょうだい?」とあざとくおねだりし、見事ゲットした棒状の菓子をさくさくと口にくわえるバルくん。その姿はまさしく、誰にでも尻尾をふり愛想をばらまく浅ましい犬ぴったりだ。おかしいな、一応人間のはずの彼に飼っている犬そっくりな耳と尻尾がついて見えてしまう。愛玩動物のような振る舞いを見せる彼を見て、深く溜息をつき、自分の腕に下げた袋をちらりと見た。その中にはポッキーを魔法の杖に見立て、魔法をかけるポーズをとっているボク達Switchがパッケージとなったお菓子の箱。味も三人にならって苺、レモン、ブルーベリー、の三種のチョコソースがそれぞれカカオの生地にコーティングされた特別仕様。しかもランダム特典で、ボク達のサイン入りブロマイド入り。そのせいかボク達のファン含む若い女子たちは、コンビニやスーパーでポッキーを買い漁り、奪い合っていると小耳に挟んだ。今日のニューストレンドは、ポッキー祭りならぬ、ポッキー大戦争~Switchの乱~となることだろう。気が重くなり、また溜息が出てしまう。

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    百合子

    DOODLEツイステ5章のデュリド要素VDC本番を終え、寮長からのお茶のお誘いに全部を出し切った体力の残りカスを集め、這うように部屋へ向かった。扉を開ければ、ふわりと紅茶の香りが鼻をくすぐった。なにかフルーツのフレーバーティーのような、甘い香り。部屋に踏み込めば、寮長が顔を上げて手招きしてくれる。

    「ご苦労様。ほら、喉乾いただろう?一緒にお茶をしようじゃないか」
    「あっ。ありがとうございます」

    赤と黒の薔薇が描かれたティーカップ。寮長自ら注いでくれた。いつもは砂糖キューブを一つだけ入れるのだが、寮長が手にしているのは蜂蜜。琥珀色のとろみがある蜂蜜をハニーディッパーですくう。何重の溝からとろとろと零れ、紅茶の中に沈んでいく。召し上がれと差し出された紅茶を一口。甘い。蜂蜜の甘さと林檎の香りがふわりと鼻から抜けた。

    たったひと口。それだけ飲んで受け皿へとティーカップを置いた。

    「…寮長。僕にはこれを飲む資格がありません」
    「どうしてだい?今日のステージ頑張っていたじゃないか」
    「でもっ!一票差で優勝を逃してしまいました。実行委員会である寮長に、学園代表生徒として優勝という王冠を捧げたかったのに。本番前にも無様な姿晒さない 1107