運とは手繰り寄せるもの 好き─… 嫌い─… 好き─… 嫌い─…
ぷちっ。ぷちっ。そんな音をさせながら、鈴音は手にした一輪の花の花弁を毟る。
毟った花弁をひらひらと落とし、また花弁を毟る。
「何やってんの?」
「あら、白珠様。こちらは、花占いというものです」
「うらない〜?」
ぺたりと座り込む鈴音の後ろからやってきた白珠。鈴音の手元を覗き込み、眉根を寄せて訝しげな顔をする。
「こうして花びらを一枚ずつ、好き、嫌いって言いながら毟るんです。あの人は私を、好き、嫌いって、願いをこめて」
「それこめてるって言うの?」
「乙女の願いですよ?」
「乙女って…」
鈴音は頬を染め、愛しい人を想い浮かべながら、また花弁に手を伸ばす。
案外女らしいところがある。特に驚きはない。鈴音は武器を持たなければ、どこにでもいるような女だ。
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