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    Rxme07Nysn

    @Rxme07Nysn

    ツイートしてない自カプの短編
    よその夢カプさんを書いたのものせるかも

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    Rxme07Nysn

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    鈴音ちゃんと白珠くんのほんのひととき

    鈴音ちゃんは占いが好き
    白珠くんは胡散臭いからとあんまり好きじゃない

    運とは手繰り寄せるもの 好き─… 嫌い─… 好き─… 嫌い─…

     ぷちっ。ぷちっ。そんな音をさせながら、鈴音は手にした一輪の花の花弁を毟る。
     毟った花弁をひらひらと落とし、また花弁を毟る。

    「何やってんの?」
    「あら、白珠様。こちらは、花占いというものです」
    「うらない〜?」

     ぺたりと座り込む鈴音の後ろからやってきた白珠。鈴音の手元を覗き込み、眉根を寄せて訝しげな顔をする。

    「こうして花びらを一枚ずつ、好き、嫌いって言いながら毟るんです。あの人は私を、好き、嫌いって、願いをこめて」
    「それこめてるって言うの?」
    「乙女の願いですよ?」
    「乙女って…」

     鈴音は頬を染め、愛しい人を想い浮かべながら、また花弁に手を伸ばす。
     案外女らしいところがある。特に驚きはない。鈴音は武器を持たなければ、どこにでもいるような女だ。
     楽しそうに花弁を毟る姿に、無邪気さを思うが、同時に容赦のなさも垣間見えてしまい、白珠は感想がうまくでてこない。

    「あっ」
    「ん?」
    「き、きらい……」

     鈴音の声に振り向くと、一枚残った花弁を見つめ震えている。どうやら最後の一枚は〝嫌い〟らしい。占いを終わらせなければという使命感と、嫌いで終わらせたくなんてない女心と、そんな葛藤をしている鈴音。
     しばらく葛藤を続ける鈴音を見つめ、白珠は仕方ないとため息をつく。そして、すっと手を伸ばし、鈴音の持つ花の、花弁をつまむ。

    「白珠様?」
    「嫌い」
    「ひゃあ!」

     容赦なく花弁を引き千切りながら嫌いと言う。
     無惨に落とされる花弁に悲鳴をあげる鈴音。それを無視して、次に白珠は茎の部分を鷲掴む。

    「好き」
    「………………」
    「茎だって花の一部だろ?」

     半分になった茎から白珠に視線を移す。
     白珠はぽいと残骸を捨てて、呆れたように呟いた。

    「…………これは、イカサマって言うんですよ」
    「いかさま?」
    「ズルです」
    「知るかよ。そんなんチマチマやってられっか」

     弓兵で、正確無比な矢を放つくせに、案外大雑把で豪快。
     情緒がない。と言ってしまえたら楽だが、「そんなん知るか」とまた返ってくるに決まっている。それに、今は白珠のその性格に救われた気がする。

    「つーか、どうせそれ王翦様のことだろ?」
    「……それ以外にいませんけど」
    「王翦様がどうでもいい奴ずっと隣に置かねえだろ。そもそも好き嫌い問う方がおかしい。まあ、お前はちゃんと好かれてるよ、じゃなきゃ屋敷にまで連れてかねえって」

     欠伸混じりのその言葉。
     長く王翦軍に所属し王翦に仕えているから、ある程度主の感情の機微は察せる。それが正解なのか不正解なのかはわからないが、それほど間違いではないと、白珠は自負している。
     遠くから白珠を呼ぶ声がして、白珠はそれじゃあと鈴音の隣から離れた。
     その背を呆然と見つめ、鈴音はとさりと倒れ込む。

    「…………白珠様って、罪作りな人」

     きゅんとしてしまったのは、しょうがない。誰だって、男前なところを見せられたら、いいなって思うでしょう?だからこれは違うの。ギャップにやられて、慰められたから、ちょーっと胸がどきどきしてるだけ!

    「心変わりでも、浮気でもないんだからぁ……」

     ほんのり赤く染まる頬を両手で抑え、鈴音のか細い叫びは風に溶けて消えた。
     
     
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    Rxme07Nysn

    DONEえむ氏から「晴天」とお題をもらって書きました
    自カプの白珠くんと亜光様のお話です

    晴天ぽさがなくなりましたことをお詫びします
    晴天 メーデー メーデー 本日は晴天なり


    「何だそれは?」
    「知らん。鈴音が言ってた」

     隣で手製の矢を作る白珠が、空を見上げた。聴き慣れない響きの言葉に、剣の手入れを止める。
     鈴音はたまに、意味のわからない言葉を使う。どこから来たのかもわからない女の言葉に、耳を傾けるものじゃない。それはわかっているのだが、妙に耳に残る言葉。
     なんて言ってたかな、たしか…、そう。豊穣を司る女神のための日。だったかな。

    「女神か」
    「ははっ!女神なんて眉唾もん信じて、鈴音もかわいいよな」
    「女系の神を信仰しているのも珍しい」
    「あと面白い事言ってたぜ?」
    「面白い?」
    「俺は春みたいなんだってよ」

     少し嬉しさが強くはにかむ。
     常ながら「もう少し落ち着け」と言われて、白珠は遺憾を感じていた。精密な矢を放つための集中力や洞察力だってある。それなのにこれ以上どう落ち着けと言うのか。辟易としていた時に、鈴音から「春みたいに暖かくて、生命に満ちていて、小さなお花みたいなかわいらしさがあります」そう言われた。かわいらしいという言葉には反論したいが、褒められている事に変わりはないだろうと、素直に受け取った。
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