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    nicnask

    @nicnask

    思いついたことを好きなだけ書くつもりです。


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    nicnask

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    狭い所に閉じ込められる話が好きなので書きたいところだけ書きました。
    ハルとアレックスが両片想いっぽい話です。

    #StardewValley
    #SDV_alex
    #oc_haru

    心音と雨音(アレックス×ハル)納屋の扉がバタン、と閉まった瞬間、「うそだろ……」とアレックスが呟いた。
    外は突然の嵐。開け放っていたドアが風にあおられ、鍵が内側から落ちた。
    「大丈夫?」
    「いや、閉まった。……くっそ、なんでこんな時に限って……!」
    慌てて引き戸をがちゃがちゃするアレックスの後ろ姿を見て、ハルは少しだけ眉尻を下げる。
    「ごめんね、こんな天気なのに手伝わせちゃって──」
    「お前のせいじゃないって。俺がちゃんとドア閉めてればよかったってことなのに、
    そんな、すぐ謝んなよ……」
    ふたりの距離が近い。
    棚と干し草の隙間、せまい納屋の片隅。体を向け合えば膝が当たるほど。
    アレックスの広い肩越しに、雨の音がぽたぽたと聞こえる。
    「暗くなったらまずいな。携帯持ってるか……?」
    「ううん。家に置いてきちゃった」
    「……マジか」
    「アレックスこそ大丈夫?」
    「ああ、ハルんとこ行くって言ってあるからウチは平気」
    「そっか」
    会話が途切れ、お互い言葉を探るように視線を彷徨わせる。
    すると、惹かれ合うように視線が絡まり、お互い目を見開いた。
    「……その、ごめん。扉確認しなくて」
    「気にしないで。それにアレックスと一緒だから何も怖くないよ」
    遠雷の音を気にしつつハルがそう告げると、アレックスは手を額に当てた。
    「……あー……マジで、それ言う?」
    「え? うん。閉じ込められたのがアレックスとで良かったと思ってる」
    ハルが軽く笑うと、アレックスの喉がごくんと鳴った。
    たぶん、無意識だ。
    でも距離が近いせいで、お互いの呼吸まではっきりと伝わってくる。
    「あのさ、……こんな近くにいると、俺、バカなこと考えそうになるんだけど……」
    「考えるだけならいいんじゃない?」
    「それっていいのか悪いのかわかんないじゃん……、ああもう……」
    目を覆うように手を当て、屋根を仰ぎ見るアレックス。
    ハルはアレックスの身体から伝わる熱が上がった気がして、ハッと彼の顔を見た。
    「あのさ、俺……今、ちょっとヤバいかも。俺、ハルのこと……」
    「──あ、それは……言わなくて、いい」
    ハルが手でそれを制すと、アレックスは泣きそうな顔でハルを見下ろす。
    「……なんで?」
    「だって、そういうのは……閉じ込められてないときがいい」
    アレックスから目を逸らしたハルは、拗ねたような口ぶりでそう告げた。
    「……っ、はぁ、マジでさぁ……」
    諦めたように笑って、アレックスはそのまま頭をハルの肩に埋める。
    「ハルってそういうとこ……」
    「ごめんね、ワガママ言ったかも」
    「いや。いい。お前の言った通りだと思うし」
    「ありがと」
    納屋の隅、干し草の隙間の小さな空間で、お互いの心音は同じリズムを刻んでいる。
    二人とも、今はそれを感じられるだけで充分だと思った。
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