『分かってるさ』「あはは。」
「フリスク、それは変だよー。」
一階から聞こえる、二人の楽しそうな笑い声。
弟が楽しそうで何より。
フリスクが‥彼女が楽しそうで何より。
読んでいる雑誌のページを、ペラっと一枚、二枚。
内容は入ってこない。
適当に読んで、見ているからだろうか。
大体雑誌なんて、写真が掲載されてて、デカデカと書かれたフォントを見れば大体は予想がつくもの。
誰と誰が密会しただの。
ほら、グルメ特集なんて写真だけで十分だろう?
「ふふ。だからー」
「えー?」
十分‥だ。
2人の会話が気になって、雑誌どころではない‥余裕がない、わけではないはずだ。
「‥‥。‥俺は馬鹿だな‥。」
一人でいる静かな部屋に吸い込まれるように、その言葉は誰の耳にも届くことはない。
乾いた笑いが出そうになって、サンズはその部屋から外へとソッと抜け出した。
「‥‥分かってるさ。」
たった一言、そう言い放つ事で、醜い気持ちに蓋をして。
彼はいつもの酒場(グリルビーズ)に、足を進めたのだった。