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    KmSn

    @KmSn_foelov

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    カミュセニャ

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    どうしようもなく暑いのでみんなバギとヒャド呪文をおぼえようね
    (暑くなってきたのでまた再掲載)

    #カミュセニャ
    camusenya
    #ドラクエ11
    dracula11
    #カミュ
    camus
    #セーニャ
    sesna

    夏の愚痴と静かな幸せあー、ほんとやってらんねえ。
朝からこの暑さ、マジで殺す気かってくらい太陽が容赦ない。
地球温暖化なんてクソ喰らえ、なんて思いながらセーニャの隣で夏に向かって唸る。

    駅に向かって歩くだけでシャツが背中に張り付いて、通勤ラッシュの電車は冷房なんか全然効いちゃいないし、汗で全身ベタベタ。
誰だよ“夏は活動的な季節”とか言い始めたやつ……地獄の間違いだろうが。
    ホームで電車待ってたらさ、高校生のグループがアイス舐めながらゲラゲラ笑いながら通り過ぎてく。「今日プール行かね?」とか「夏休みこそ痩せる」とか言い合ってて、あー、そうだよ今って夏休みなんだよな、と気づく。
何が素晴らしいって、朝っぱらから「もう昼寝しようぜ」とか言えるお前らのその自由よ。
しかも3年くらい前まで、自分もあっち側だったはずなのに、一度大人になると二度と戻れねぇのがこの理不尽。
    会社着くなり、デスクに突っ伏してだらける。
周りもみんな大してやる気ねぇ。
「暑いね~」が合言葉みたいになってて、唯一水分補給だけは全力。
    セーニャが横からひょっこり顔を出す。
    「カミュさま、ボーっとして大丈夫ですか」
    
「いや、無理だろ、こんなん。今日とかもう無気力デーでいいじゃん」
    
「気持ちは分かりますけど……」

    「てかさ、見てろよ。学生連中、今ごろエアコンの効いた部屋で昼寝してるか、友達とプール行ってるんだぜ?やってられなくね?」
    
「そんな妬ましそうに言われても……」

    「夏休み特権とかわけわかんねえ。もうずっと授業なくて、旅行も行けて、昼過ぎまで寝れて、終業式が終わった瞬間『俺の夏は始まった!』みたいに叫べる。逆に何が不満なんだあいつら」
    セーニャは静かに笑ってる。俺がこうやって愚痴る時、だいたいいつも流してくれる。
    
「じゃあ、カミュさんも会社を何日かお休みしては?」
    
「無茶言うなよ……。取れてもせいぜい三連休くらいだぞ。しかもその前後は仕事の調整地獄だし」
「まぁ、夏休みの長さは学生さんの特権ですね」
    ひたすら暑いし、昼休みになっても外なんか出る気がしない。
ご飯はコンビニの冷やし中華だし、食後は自動販売機で買った麦茶を飲みながらぼんやりスマホいじる。
インスタのタイムライン、親戚の人が「浴衣で花火した」とか載せてて、また腹が立ってくる。

    あーあ、あの頃に戻りて~。

    とっくに無理な話だけど。

    仕事終わって定時ダッシュ。
    
それでも体力ギリギリ、ヒーヒー言いながら家に帰った。
    玄関で靴脱いだら、エアコンの効いたリビングからセーニャがひょっこり顔を出す。
    
「お帰りなさい、ものすごく疲れてそうですね」
「もう無理……今日一日“夏休みマジでくれ”しか頭に浮かばなかった」
    
ソファに倒れ込んだまま動けない。
汗まみれのワイシャツが気持ち悪すぎて脱ぎ捨てて、冷蔵庫直行。
そこにアイス棒が入ってて、思わず「これだこれ、これが俺の相棒………」と呟いてしまう。
    セーニャが笑いながら麦茶も持ってきてくれて、「今日はスイカも買ってきました」なんて小ぶりのタッパーに切ったスイカまで出してきた。
    
「まさかカミュさまがここまで夏休みを羨ましがるとは思いませんでした」
    
「だって、羨ましいだろ?目ぇ閉じれば、朝から夜まで自由で、宿題以外誰にも叱られない世界だぞ?社会人の夏って、どこにも夢もロマンもクソもねぇ……」
    「でも、大人になったからこそできることもあるじゃないですか」

    「例えば?」
    
「学生だと、お小遣いも時間も場所も制限されてました。でも今なら、好きなタイミングで美味しいものも飲みに行けるし、どこへだっていける。夜更かししても問題ありません」
    
「……確かに、それはあるかもな。でも“この一ヶ月は全部休み!”って感覚、もうこの先一生味わえねえのはデカい」
    
「じゃあ、今度二人で一週間くらい夏旅でもしませんか」
    
「……無理だ、上司殺す気か。でもサボって計画立てるくらいならやる価値あるな」

    こうしてグチグチ愚痴ってると、なんだかだんだん馬鹿馬鹿しくなってくる。
    「まぁ結局、大人の夏も悪くないよな。」
    
「そうですね。お休みの短さは残念ですけど……こうしてカミュさまと好きな時間に冷たいビール飲んだり、まったりしたりできる。私も、それで充分幸せですよ」
ストレートすぎて、ちょっと照れる。
    冷えたガリガリ君を半分に割って「ほら」とセーニャに手渡す。
セーニャは「ありがとうございます」とちょこんと受け取る。
    「でもさー……」
    
口の中が冷たくなりすぎて、つい言葉が詰まる。
「社会人用の夏休み補助金制度とか作ってほしいよな~。『会社休んで、薪のプールで泳ごうキャンペーン』とか。給与保証で…ほら、夏離宮みたいな」
「そんな制度があったらみんな使いますね」
    
「どうせ財政難で“有志だけ”とか言われて消えるんだろうな……」
    
「でももし三日以上休みが取れたら、カミュさんは何をします?」

    「うーん、昼まで寝て、家で映画三本くらい観て、夜はラーメン食いに行って、あとは……セーニャとどっか避暑地にドライブとか。何も考えず、とにかくダラダラしたい」

    「それはすごくいいですね。私も郊外の空気が好きです」

    「でも実際三日休みがあると、最終日に“明日から仕事か……”って地獄みたいに憂鬱になるんだよな」
「ふふ、社会人は“休み明けの絶望”も、全部セットですね」
    しばらく無言。
遠くで近所の子供たちがミニ花火をやってるみたいで、パンパンと音だけやけに賑やかに響いてくる。
    「学生って、今一番楽しい時期なんだなぁ……」
「そうかもしれませんね。でも、カミュさまには“今だからこそ楽しめる夏”もあると思いますよ」
「今だけの夏……?」

    「ええ。学生の時は早く大人になりたかった。けど今は、好きに冷房もつけて、お金で欲しいものも買えて、しかも誰にも邪魔されず。わたしはこうしてカミュさまとゴロゴロできる時間がうれしいです」
なんだか、その言葉でほんの少しだけ気持ちがほぐれる。
    「じゃあ、大人のこの“ゴロゴロ夏休み”満喫しますか」

    「はい、今日はノー残業デーですし、とことんのんびりしましょう」
    
2人でアイス片手にYouTube観て、扇風機を独り占めしながらソファに寝転がる。
    社会人の夏は短い。
毎日が予定とやることの山盛りだし、だるい満員電車もあるし、
学生みたいに“冒険”も“無敵の自由”も確かにないけど――
こうして好きな人とちょっとだけ息抜きできる、それって結構贅沢なのかもしれない。
    また明日は普通に仕事。
きっとまた愚痴るんだろうけど、それでも「もうちょっとだけ頑張ってやるか」
って思えるのは、たぶんこういう“何でもない幸せ”をちゃんと味わえてるからだと思う。
    「セーニャ、明日の朝もしんどかったら名目だけ通勤ってことでサボってごろ寝して、たまってる映画でも観ようぜ」
    
「もうそれ意味ないじゃないですか……でも、時々はずる休みも必要ですね」
    
「だろ?大人の悪だくみってやつだよ」
    
「ふふ、いいですね…それではおやすみなさい、カミュさま」
    
「おやすみ」
    夜風がカーテンを揺らして、
ちっぽけな“社会人の夏休み”が、そっと始まる。
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