寝転がる寝転がる
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璃月の街並みが見える小高い丘の上で妖魔達を狩り終わった夜叉と毒蛇が話す。風を受けて流れる猫っ毛を気にもせず蠱毒は地べたに寝転がって両肘を付いた。
「空がそう言ってたのか?」
「ああ。お前の話し方は独特で分かり易いと言っていた」
「…はは、分かり易いなら良かった」
蠱毒は眠たそうにパチパチ瞬きすると大欠伸をする。今日の退魔は魈と蠱毒で地区を分担して行った事もあり、予想の時間より早く終わることが出来た。
魈は持ち場でもある璃月周辺を狩り、蠱毒はその反対側のモンド側を重点的に。
月が空に高く昇るころには二人しての降魔は終了を迎えていた。
「…しっかし、可愛いって。俺ぁ、雌じゃねぇんだけど」
「凡人にはそう見えるのだろう」
「他人事みたいな顔してんなよ、」
「我の事ではないからな」
顔は魈からは見えないが、きっと頬を膨らませて拗ねた顔でもしているのだろう。黙り込んでしまった蠱毒の傍らに片膝を立てて座ると、魈はその背中に上半身をあずけた。
ビクッと跳ねた蠱毒を気に止めることなく、瞼を閉じる。
「!!…動けねぇ」
「時間が来たら起こせ」
「は?おい、魈…?」
己の背中からスヤスヤと寝息が聞こえてきた頃には、諦めた蠱毒が大きな溜息を吐いた。
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